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第6章 剣聖剥奪
第113話 海岸線
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大きな湖のほとりにあるサウストンの街を通り抜ける。街では王都を思わせるほど活況な市に人々が沢山あつまり買い物をしたり、物を売ったりしている。
王都の市は閉鎖され人々は騒然としていた……それに王都が陥落……今の王都の状況は分からない……が、とにかく俺は今ペンタグラムに行くことだ。
街を抜けると広い平原が続いている、その平原を貫くように一本道が通っており、その道をひたすら西へ馬を走らせる。途中で作物を沢山積んだ馬車とすれ違ったりと平原に家畜を放し飼いにしたりと平時と変わらないのどかな風景が広がっている。
こののどかな風景は、サウストンの気候のせいもあるのだろう。気温が年中変わらず、熱くもなく寒くもない。過ごしやすい土地である。
ひたすら真っすぐに3時間ほど馬を走らせると、ほのかに潮の香りが風に乗っているのが分かる。
もうすぐ海に出る。そして海岸線をひたすら西に進み、タウレル山脈が見えたら北上する。
タウレル山脈が見えるまで3日、タウレル山脈を越えるのに2日はかかるとカイトさんが言っていた。その向こうに目指すペンタグラムがある。
西からの風が強くなり風が運ぶ潮の香りも徐々に強くなる、そして目の前に青い風景が広がる。
海に出た。
海岸線は切り立った崖になっており、荒波が崖に当たり弾ける。そんな崖の上には白いレンガの家が数件あり、その集落の真ん中に大きな風車が置かれその風車は浜風を受け勢いよく回っている。
そして同じような集落が一定の間隔にあり、それぞれに大きな風車が風を受けて回っている。
そのままその海岸線をまっすぐに進む。
よそ者が物珍しいのか、家から出てきて手を振ってくれる人などがいる。
そして大きな太陽が水平線に沈んでいく。もうすぐ陽が落ちる。
俺は馬から降り、積まれた荷物を下ろす、馬はその辺の草をついばみ始め、俺は野営の準備を進める。風が強く火をつけるのに難儀はしたが、なんとか火を起こすことに成功する。
カイトさんは一週間分の食料をもたせてくれている。その食料の中から、香辛料の効いた干し肉を口の中に放り込み、両手サイズの樽に入ったワインを樽ごとぐいっと飲む。
これは……王都に出回っているものとは味が違う。王都の干し肉などは香辛料の味しかせず、革を噛んでいるような感覚になる。しかしこの干し肉は一噛みごとに肉の味と旨味が口の中に広がっていく。
そしてこのワインだ。一口飲むと鼻の奥に残るブドウ本来の香りに加え、舌の上で広がる心地よい渋み。
……飲みすぎない様に注意しないとな……
この干し肉をつまみながらワインを飲んでカイトさんと話がしたい。
カイト・ベルディンとはもう一度会って話がしたい。酒を飲みながら腹を割って話がしてみたい。そう思わせるだけの人物だった。もっと早くに会っていれば貴族の印象だって変わったのかも知れない。
そうして俺は横になり眠りにつく。パチパチと焚き火にくべた木が音を立てる。
朝を迎え、荷物を再び馬に積み込み。俺は西へ急ぐ。
そうして3日が経ち、北に雪を冠した山々が見え始めた。
「あれがタウレル山脈。あの向こうにペンタグラムが……」
王都の市は閉鎖され人々は騒然としていた……それに王都が陥落……今の王都の状況は分からない……が、とにかく俺は今ペンタグラムに行くことだ。
街を抜けると広い平原が続いている、その平原を貫くように一本道が通っており、その道をひたすら西へ馬を走らせる。途中で作物を沢山積んだ馬車とすれ違ったりと平原に家畜を放し飼いにしたりと平時と変わらないのどかな風景が広がっている。
こののどかな風景は、サウストンの気候のせいもあるのだろう。気温が年中変わらず、熱くもなく寒くもない。過ごしやすい土地である。
ひたすら真っすぐに3時間ほど馬を走らせると、ほのかに潮の香りが風に乗っているのが分かる。
もうすぐ海に出る。そして海岸線をひたすら西に進み、タウレル山脈が見えたら北上する。
タウレル山脈が見えるまで3日、タウレル山脈を越えるのに2日はかかるとカイトさんが言っていた。その向こうに目指すペンタグラムがある。
西からの風が強くなり風が運ぶ潮の香りも徐々に強くなる、そして目の前に青い風景が広がる。
海に出た。
海岸線は切り立った崖になっており、荒波が崖に当たり弾ける。そんな崖の上には白いレンガの家が数件あり、その集落の真ん中に大きな風車が置かれその風車は浜風を受け勢いよく回っている。
そして同じような集落が一定の間隔にあり、それぞれに大きな風車が風を受けて回っている。
そのままその海岸線をまっすぐに進む。
よそ者が物珍しいのか、家から出てきて手を振ってくれる人などがいる。
そして大きな太陽が水平線に沈んでいく。もうすぐ陽が落ちる。
俺は馬から降り、積まれた荷物を下ろす、馬はその辺の草をついばみ始め、俺は野営の準備を進める。風が強く火をつけるのに難儀はしたが、なんとか火を起こすことに成功する。
カイトさんは一週間分の食料をもたせてくれている。その食料の中から、香辛料の効いた干し肉を口の中に放り込み、両手サイズの樽に入ったワインを樽ごとぐいっと飲む。
これは……王都に出回っているものとは味が違う。王都の干し肉などは香辛料の味しかせず、革を噛んでいるような感覚になる。しかしこの干し肉は一噛みごとに肉の味と旨味が口の中に広がっていく。
そしてこのワインだ。一口飲むと鼻の奥に残るブドウ本来の香りに加え、舌の上で広がる心地よい渋み。
……飲みすぎない様に注意しないとな……
この干し肉をつまみながらワインを飲んでカイトさんと話がしたい。
カイト・ベルディンとはもう一度会って話がしたい。酒を飲みながら腹を割って話がしてみたい。そう思わせるだけの人物だった。もっと早くに会っていれば貴族の印象だって変わったのかも知れない。
そうして俺は横になり眠りにつく。パチパチと焚き火にくべた木が音を立てる。
朝を迎え、荷物を再び馬に積み込み。俺は西へ急ぐ。
そうして3日が経ち、北に雪を冠した山々が見え始めた。
「あれがタウレル山脈。あの向こうにペンタグラムが……」
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