転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん

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第2章 王位継承

第12話 騎士団長フロイト

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「それじゃ、ソルフィン殿下、中庭にでもいって練習しますか」
「はい、レクシア先生、いいでしょフリージア」
「…歴史の勉強が終わっているのならば構いません」
 わたしとソルフィン殿下、フリージアは部屋を後にする。
「それではあとのことはフリージアに任せておるゆえ」
 そういってグレンさんとリディムさんは別室に向かう、現王陛下に謁見の予定があるとのことで、今後の方針などを話をするらしい。

 3人で中庭に向かう、フリージアの手には子供用の木剣が握られている、廊下を渡ると、中庭が見えてきた。
 ガレオンの騎士学校をおもわせるような中庭で、青々とした芝生が張られ、大きな木が丁度いい木陰を作っている。
「ここで昼寝したら気持ちよさそうですね殿下」
「そうだね…でもフリージアが怒るよ?」
「決めました、今日の練習は昼寝です!」
「え?いいの?」
「いいんです私が指南役なのでフリージアさんには口出しさせません」
 私が、フリージアさんの方を見る。

 フリージアさんはムッとしたような表情をし私が笑いかけるとプイっと別の方向をむいた。
「これも剣術の練習なんですよ、リラックスしないと勝てるものも勝てません」
「殿下には時間がないのです、こんなところでゆっくりと昼寝なんてする暇ありません」
「それじゃソルフィン殿下、横になりましょう」
 殿下はいいの?というような表情をしていたが、私が横になるなのを見ると一緒に横になった。
 横になるとすぐに寝息が聞こえる。

「かわいらしい寝顔ですね」
「そんなところで寝るなんてはしたない…」
 フリージアさんはまだそっぽを向いている
「フリージアさん、寝顔みて」
 小声で話しかける。
「そんな殿下の寝顔など……」
 そういいながらも近づいてきて、フリージアさんは殿下の横にきて座った。

「殿下はお疲れなんですね、こんなにすぐ眠れるなんて」
「はい、最近は少々ご無理をされているようで」
「まだ子供なのに、巻き込まれてかわいいそうに…」
「ええ、なんとしても私たちが守ってあげなければ」
「そうですねぇ…」

 目を開けると陽が傾いてきており、体に薄い毛布が掛けられていた。
 ソルフィン殿下も目を覚まされ、手を上げのびていた
「昼寝ってきもちいいね」
「ええ、この場所は格別です」
「フリージアも寝ればよかったのに」
「…私は人前で寝るなどはしたない真似はできません、殿下も今回だけですからね」
「わかったよお」
 ソルフィン殿下は自室に戻られ、私はフリージアに部屋に案内される。
 ほこり一つ落ちてない廊下に、装飾された壁、貴族時代に住んでいたノーベルの家よりも広く、装飾品も美しいものばかりであった。

 私がしばらくお世話になる部屋のドアが開けられる。
 2人は横になれるようなベッドに、ガラスの入った窓、窓枠は金や銀で装飾されており、かなり豪華な印象を受ける。

 フリージアさんが表情を変えずに
「いい部屋でしょ」
「はい、こんな部屋与えられていいんですか?」
「一応お客様ですので」
「あーなるほど」
「しかし、今日の昼間のようなことを勝手にされては困ります」
「でも殿下も喜ばれてたでしょ?」
「それは殿下はまだ子供ゆえ…」

「そう、フリージアさんまだ殿下は10歳の子供なんだ、だから私は子供らしいことをさせてあげたい」

「しかし、現王陛下が、病に伏されているいま、時間がないのです」
「だからこそ、私といる間はせめて子供にしてあげたい」

 フリージアさんは、少し悲しそうな表情をみせ、少しの沈黙の後口を開いた。
「…わかりました……剣術の授業に関しては私は口をだしません」
「ありがとうフリージアさん、あとちょっと笑った方がかわいいとおもうよ」
 そういうとフリージアさんは顔を真っ赤にさせて、走っていってしまった。

 ーー翌日

 ソルフィン殿下は午前中はいろいろと座学をするということなので、午後から剣術の練習ということになっている。
 そのため午前中は、暇を持て余し、宮殿の中を散歩をしていた。
 中庭にをつなぐ渡り廊下を歩いていると、甲冑をきた筋肉質で立派な金色のひげを生やし、左頬に大きな傷あとのある男性とやせ形で身なりは貴族風の神経質そうな男、小太りでずんぐりむっくりとした体形で、黒い髪を肩まで伸ばした20代ぐらいの青年の3人が、向こう側から歩いてきた。

 その男たちの前を会釈をしすれ違うと筋肉質の男が声を張り上げた
「おい、見ない顔だな?私に挨拶もないとは」

 手を払い、足を引き頭をさげ名乗る
「ソルフィン殿下の剣術指南役のレクシアと申します、大変失礼いたしました」

 するとその男は嫌な笑顔を浮かべ
「ふーん、お前が新しい剣術指南役ねぇぇ、強そうにはみえんがな」
「一応、この前のギルド対抗戦では優勝しております」
「ふん、騎士団の出ない大会などただの遊びも同然、そんな大会勝ったところで」
「まあそうかもしれませんね」

「わかった、よし、余がソルフィン殿下の剣術指南にふさわしいか試してやる」

 神経質そうな男が声をかける。
「フロイト、あまり目立つようなことはするな」
「あくまでも、試験だよ試験、事故がおきるかもしれんがな」
 小太りな男が初めて口を開く
「フロイト殺しちゃってもいいぞ」
「殿下もこういってらっしゃる」
 神経質そうな男の方をみた。

 神経質そうな男は知らないという感じで肩をすくませる

 フロイトという男は、中庭におり、腰に下げた、にぶく銀色に光る剣を抜いた。
「さあ、お主の実力を見せてみろ」

 さてどうしたものか…この男はおそらく騎士団長のフロイトということが、隣にいる神経質そう男がバルバドス公、じゃあこの小太りな男がコフィン殿下…

 ーーなるほど王の器ってがらではなさそうだ

「それじゃ仕方ないですね、ケガをしても自業自得ってことで」
 シュワーーンと鞘から心地よい音とともに、ファニル鋼でできた剣を抜く。

 剣を構えフロイトの前に立つ。

 確かに、この男から圧迫感、殺気を感じる、相当な修羅場をくぐってきたに違いない。
 普通に切りあったなら両者ただでは済まない。

 じり、じりとお互いが一定の距離を保っている。

 どちらが先に仕掛けるか、様子をみている、先にしかるべきか否か。

 突然、私の背後から女性の大声で
「何してるんですか!!!宮殿内で剣を抜くなんて!!!」
 その声に、フロイトは肩をすくめ、剣を鞘に納めこちらに近づいてきて耳打ちする。
「命拾いしたな」
「そちらこそ」
 私も剣を収める。
 声の方をむくと、フリージアさんが怒ったような表情で立っている。

 そのまま3人はどこかにいき、フリージアさんがよってきた。
「前回の剣術指南役もフロイト団長に斬られて、おやめになりました」
「そのことをソルフィン殿下は?」
「しりません、用事ができたという理由でお辞めになったとだけお伝えてしております」
「たしかに、あの男、フロイトは強いな」
「斬られる前に、お辞めになればどうですか?」

「まあ強いけど、私には及びませんよ、あの男には絶対に負けません」
「それは、それは心強いですね」
 棒読みで何の感情もなくフリージアさんは言った。

「それ信じてないでしょ?」
「それでは、私仕事がありますので」
 フリージアさんはそういうと、宮殿の方へいった。

「今日の練習は何して、遊ぼうかなー」





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