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第2章 王位継承
第22話 謁見
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謁見の間の扉が開く。
中は明かりがともされ、十分な光量がある。
奥に人がいるということはわかるが、玉座のある位置は階段の上にあるため、ここからではよく見えない
私たちはソルフィン殿下を先頭に中に入る、私たちは玉座に至る階段の前で、跪き顔を伏せる。
玉座の方から声を掛けられる、
「おもてをあげたまえ」
私達は顔あげ、玉座の方を見る。
中央には銀色のオオカミが横になって座っているような玉座に、甲冑姿で頭に金色の王冠を被り白髪を頬まで伸ばした髪の初老男性が座っている。
王の左側には本を持った黒い髪をオールバックにしたやせ型の男性が立っており、右側には甲冑姿の筋肉質でいかにも強そうな男性が立っている。
この国では、王を補佐するものを王の右手、左手と言っており、右手は主に軍事を左手は内政の補佐をすると聞いたことがある。
つまり左側にいる男が王の左手、右側にいる男が王の右手ということだ。
沈黙が流れ、国王陛下がゆっくりと口を開く。
「そなたが、ソルフィン王子か」
殿下はまっすぐに王を見つめ、堂々と答える。
「はい、私がザナビル国、第3王子ソルフィン・ザナビルです」
「ふむ、して何故余に謁見したいと」
国王は、ソルフィンの品定めをするように眼光するどく睨みを効かせ、王の威厳をにじませる。
殿下はそれにも怖じず、目をそらさず国王に話しかける。
「我が国ザナビルは、逆臣の徒により、滅びの時を迎えております、ゆえに、賢明なるポルト王国、国王アロルカ様にご助力をいただきたいと、私ソルフィンはこの場におりまする」
「ふむ、逆臣とな」
「はい、我が国国王ガルシア崩御の混乱に乗じて、宮廷騎士団団長フロイトが謀ったのです」
それをきいて国王陛下は、表情を崩し
「あはははは、これは愉快、腹心に裏切られるとは、ガルシアも目が曇ったのぉ、なあ、ルーファウスよ」
王の左側に立つものが答える。
「ええ、宮廷騎士団という王を最も近くでお護りするものが、裏切るとは滑稽の極みでございますな」
それを聞いて殿下は、強くこぶし握り、悔しさをにじませ体を震わせている。
「そんなことありません!!」
力強い女性の声であった。
ケフィア様が殿下の傍に駆け寄り、体を抱きしめ、
「いくら国王陛下とは、言え我が父、弟を蔑むような言動聞き捨てなりませぬ!」
震えながら王の所業を、否定する。
ルーファウスと呼ばれた男が怒りをあらわにして
「いかに、ケフィア様といえど、我が王に楯突くのは如何なものか!」
国王陛下は冷酷な笑みを浮かべ
「ケフィアよ、そなたの祖国は無くなり、そなたに利用価値は無くなった、世継ぎも出来ぬ貴様には、なんの価値もない、ゆえに今ここでそなたを叩き斬ることもできるのだが?」
「…」
ケフィア様は殿下を抱きしめたまま、目に涙をため、真っ直ぐに王を見つめている。
沈黙を破るように、アンリ王子が怒りを露わにし。
「父上!いかに父上と言えど我が妻に対してあまりにも酷くありませぬか!」
国王陛下は表情を変えず。
「アンリよ、いかに我が息子とて我に刃向かうことが許されると思うてか?」
アンリ王子は下を向き答える。
「いえ…」
そして下を向いたまま、小声でつぶやく。
「ケフィアすまない」
王が右手を挙げる、右側に立っていた男が階段をおり、ケフィア様の前に立ち、腰の剣に手をかけ口を開く。
「我が王を愚弄した罪、しかと受けられよ」
体が勝手に動いていた。
私は立ち上がり、ケフィア様の側に駆け、剣を抜こうとする男の右手を掴み、国王陛下に向け叫んでいた。
「王よ!」
右手を掴まれた男が怒りをあらわに
「たかが使用人風情が無礼ではないか!貴様もここで叩き斬ってくれるわ!」
男は剣を抜こうとするが、私に右手を掴まれ抜けずにいる。
「くそ、なんでこんな男に、こんな力が…」
男は顔を真っ赤にさせている。
私は、それを無視し、国王陛下に直接話しかける
「王よ、たしかにケフィア様はあなたに刃向かった、これは許されざることではない、しかし、いかに王とて父や弟が眼前で愚弄されておるのを見過ごせますか?」
「……」
国王陛下は全く表情を変えることなく、意にも介していないようにみえる。
私は続ける。
「王よ、そこにいるソルフィン殿下はまだ若干10歳の幼さもある少年でございます、そのような少年が祖国の為、必死に陛下に窮状を訴えておるのです」
ルーファスと呼ばれる男が口を挟む
「陛下はそなたのような、下賤の民と交わすような口は持っておらぬわ!」
私は無視をし国王陛下に語りかける。
「そのような少年の声を無視し、かつ愚弄するような王は、王の器にありません」
国王陛下は表情を緩ませるが目の奥は笑っているようにはとても見えない。
「わしが王の器にないとな?」
王の目をそらすことなく真っ直ぐに見つめ答えをだす。
「とてもそんな器に見えません」
「あははは、これは愉快、愉快、たかが使用人風情が王の器を語るとは」
国王陛下は一気に表情を変え、眼光するどく、私を睨みつけ話す。
「ふむ、では王の器とはなんだ、答えろ使用人」
その迫力、プレッシャー、全てにおいて、目の前にいるのは、まさに王そのものというものが感じとれる。
すーっと一呼吸入れ、私は答える。
「王の器とは…」
もう一呼吸置いて
「それは歴史です」
「どういう意味だ?」
「王の所業を見て、後世の歴史家が決めるという意味です、今のあなたの所業は必ずや後世に汚点として残りましょう」
国王陛下は玉座からたち上がり、表情を緩ませ右手を前に出す。
「なるほどな、それは面白い答えよ、ガロンよ下がれ」
剣を抜こうとした男は、手の力を抜いた、それを感じ
私も手を離した。
男は再び王の右側にもどる。
国王陛下が玉座に座り、目を閉じしばらく考えた後、口を開く
「決闘裁判を行う」
――決闘裁判、ポルトならではの裁判であると聞いたことがある、ポルトは武術が盛んであり、勝者は常に正しいということから行われているという。
ルーファウスが慌て、
「しかし、陛下よ、陛下を愚弄した罪は決して、許されるものではありませぬ、ゆえ死罪が当然、それを決闘裁判などと」
国王陛下は、ルーファスを睨み
「貴様、余が決めたことに口を出すのか?」
「い、いえめっそうもありません」
「では、3日後、決闘裁判で真剣にて決着をつける、これに勝ったものが正しい、ゆえに余の代行者が勝てば、ケフィア以下4名は死罪、お主らが勝てば、ザナビルの支援を約束する」
殿下が国王陛下を真剣な表情で見ながら答える。
「分かりました」
中は明かりがともされ、十分な光量がある。
奥に人がいるということはわかるが、玉座のある位置は階段の上にあるため、ここからではよく見えない
私たちはソルフィン殿下を先頭に中に入る、私たちは玉座に至る階段の前で、跪き顔を伏せる。
玉座の方から声を掛けられる、
「おもてをあげたまえ」
私達は顔あげ、玉座の方を見る。
中央には銀色のオオカミが横になって座っているような玉座に、甲冑姿で頭に金色の王冠を被り白髪を頬まで伸ばした髪の初老男性が座っている。
王の左側には本を持った黒い髪をオールバックにしたやせ型の男性が立っており、右側には甲冑姿の筋肉質でいかにも強そうな男性が立っている。
この国では、王を補佐するものを王の右手、左手と言っており、右手は主に軍事を左手は内政の補佐をすると聞いたことがある。
つまり左側にいる男が王の左手、右側にいる男が王の右手ということだ。
沈黙が流れ、国王陛下がゆっくりと口を開く。
「そなたが、ソルフィン王子か」
殿下はまっすぐに王を見つめ、堂々と答える。
「はい、私がザナビル国、第3王子ソルフィン・ザナビルです」
「ふむ、して何故余に謁見したいと」
国王は、ソルフィンの品定めをするように眼光するどく睨みを効かせ、王の威厳をにじませる。
殿下はそれにも怖じず、目をそらさず国王に話しかける。
「我が国ザナビルは、逆臣の徒により、滅びの時を迎えております、ゆえに、賢明なるポルト王国、国王アロルカ様にご助力をいただきたいと、私ソルフィンはこの場におりまする」
「ふむ、逆臣とな」
「はい、我が国国王ガルシア崩御の混乱に乗じて、宮廷騎士団団長フロイトが謀ったのです」
それをきいて国王陛下は、表情を崩し
「あはははは、これは愉快、腹心に裏切られるとは、ガルシアも目が曇ったのぉ、なあ、ルーファウスよ」
王の左側に立つものが答える。
「ええ、宮廷騎士団という王を最も近くでお護りするものが、裏切るとは滑稽の極みでございますな」
それを聞いて殿下は、強くこぶし握り、悔しさをにじませ体を震わせている。
「そんなことありません!!」
力強い女性の声であった。
ケフィア様が殿下の傍に駆け寄り、体を抱きしめ、
「いくら国王陛下とは、言え我が父、弟を蔑むような言動聞き捨てなりませぬ!」
震えながら王の所業を、否定する。
ルーファウスと呼ばれた男が怒りをあらわにして
「いかに、ケフィア様といえど、我が王に楯突くのは如何なものか!」
国王陛下は冷酷な笑みを浮かべ
「ケフィアよ、そなたの祖国は無くなり、そなたに利用価値は無くなった、世継ぎも出来ぬ貴様には、なんの価値もない、ゆえに今ここでそなたを叩き斬ることもできるのだが?」
「…」
ケフィア様は殿下を抱きしめたまま、目に涙をため、真っ直ぐに王を見つめている。
沈黙を破るように、アンリ王子が怒りを露わにし。
「父上!いかに父上と言えど我が妻に対してあまりにも酷くありませぬか!」
国王陛下は表情を変えず。
「アンリよ、いかに我が息子とて我に刃向かうことが許されると思うてか?」
アンリ王子は下を向き答える。
「いえ…」
そして下を向いたまま、小声でつぶやく。
「ケフィアすまない」
王が右手を挙げる、右側に立っていた男が階段をおり、ケフィア様の前に立ち、腰の剣に手をかけ口を開く。
「我が王を愚弄した罪、しかと受けられよ」
体が勝手に動いていた。
私は立ち上がり、ケフィア様の側に駆け、剣を抜こうとする男の右手を掴み、国王陛下に向け叫んでいた。
「王よ!」
右手を掴まれた男が怒りをあらわに
「たかが使用人風情が無礼ではないか!貴様もここで叩き斬ってくれるわ!」
男は剣を抜こうとするが、私に右手を掴まれ抜けずにいる。
「くそ、なんでこんな男に、こんな力が…」
男は顔を真っ赤にさせている。
私は、それを無視し、国王陛下に直接話しかける
「王よ、たしかにケフィア様はあなたに刃向かった、これは許されざることではない、しかし、いかに王とて父や弟が眼前で愚弄されておるのを見過ごせますか?」
「……」
国王陛下は全く表情を変えることなく、意にも介していないようにみえる。
私は続ける。
「王よ、そこにいるソルフィン殿下はまだ若干10歳の幼さもある少年でございます、そのような少年が祖国の為、必死に陛下に窮状を訴えておるのです」
ルーファスと呼ばれる男が口を挟む
「陛下はそなたのような、下賤の民と交わすような口は持っておらぬわ!」
私は無視をし国王陛下に語りかける。
「そのような少年の声を無視し、かつ愚弄するような王は、王の器にありません」
国王陛下は表情を緩ませるが目の奥は笑っているようにはとても見えない。
「わしが王の器にないとな?」
王の目をそらすことなく真っ直ぐに見つめ答えをだす。
「とてもそんな器に見えません」
「あははは、これは愉快、愉快、たかが使用人風情が王の器を語るとは」
国王陛下は一気に表情を変え、眼光するどく、私を睨みつけ話す。
「ふむ、では王の器とはなんだ、答えろ使用人」
その迫力、プレッシャー、全てにおいて、目の前にいるのは、まさに王そのものというものが感じとれる。
すーっと一呼吸入れ、私は答える。
「王の器とは…」
もう一呼吸置いて
「それは歴史です」
「どういう意味だ?」
「王の所業を見て、後世の歴史家が決めるという意味です、今のあなたの所業は必ずや後世に汚点として残りましょう」
国王陛下は玉座からたち上がり、表情を緩ませ右手を前に出す。
「なるほどな、それは面白い答えよ、ガロンよ下がれ」
剣を抜こうとした男は、手の力を抜いた、それを感じ
私も手を離した。
男は再び王の右側にもどる。
国王陛下が玉座に座り、目を閉じしばらく考えた後、口を開く
「決闘裁判を行う」
――決闘裁判、ポルトならではの裁判であると聞いたことがある、ポルトは武術が盛んであり、勝者は常に正しいということから行われているという。
ルーファウスが慌て、
「しかし、陛下よ、陛下を愚弄した罪は決して、許されるものではありませぬ、ゆえ死罪が当然、それを決闘裁判などと」
国王陛下は、ルーファスを睨み
「貴様、余が決めたことに口を出すのか?」
「い、いえめっそうもありません」
「では、3日後、決闘裁判で真剣にて決着をつける、これに勝ったものが正しい、ゆえに余の代行者が勝てば、ケフィア以下4名は死罪、お主らが勝てば、ザナビルの支援を約束する」
殿下が国王陛下を真剣な表情で見ながら答える。
「分かりました」
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