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終章 復讐の果て
第36話 市場
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私は宮殿を抜け出し、元の服に着替え、手には侍従の服を持ち自宅に戻った。
明日の予定はたしか父とガレオンの市街の視察、夜は劇場での戯曲観覧、確かに命を狙うとすればここが一番やりやすいか…
私は髪の油を落とし、横になった。
ーー翌朝
窓から入ってくる太陽の光で、目を覚ました私はいつものくたびれた革の上着に袖を通し、麻のズボンに革のブーツといういでたちで、いつものように味付けの濃い腸詰を口の中に放り込む。
市街の視察に関しては、この服のほうが色々と都合がよい、侍従の格好をしていればそれだけで目立ち警戒されてしまう。
私は先回りして怪しい人間を捕まえるそれだけでいいのだ、これほど大それたことを行うということは、それなりの挙動不審な動きをしているはずだし、それに私はあの『蜃気楼』の老人の顔を覚えている。
あの老人が現れれば、捕まえてエイルが黒幕であるという動かぬ証拠をつかむ。
剣は壁にかけたまま、騎士やガレオンの兵士以外帯刀をしているものは近づくことは許されない、私は胸にナイフを括り付け視察現場である、ガレオンの市場に先回りして向かった。
ルントの市場、ガレオン市街の真ん中に位置をするガレオン市民の台所ともいわれる場所で、様々な国からさまざまなものがこの市場で流通している、その物の多さと広さはガレオンの力を示しているともいわれる。
ーーソルフィン陛下は紆余曲折あり国王になられた、それは国内外に広くしられるところとなり、ガレオンではその国王への道程が戯曲化され大人気の演目になっている。
今夜観劇を予定されている帝国劇場をはじめ、田舎の大衆劇場など大小さまざまな劇場で演じられ、国民のだれもが知っているといわれている。
その主役である国王を一目見ようということなのだろう、市場にはいつもよりまして人が多い、恐らく陛下がくるということが事前に伝わっていたのだろう。
あいつが立てた計画であるということは、これも織り込み済みのはず、この人ごみに乗じて暗殺を企んでいる?
しかしどうしても、腑に落ちないあいつが暗殺をガレオン内で行うということはあいつの汚点になるというのに…
市場の商店は人の多さなどお構いなしに店を開き、客引きをしている。
「そこのお兄さん、この野菜新鮮だよ、野菜足りてない顔してるよ」
「ちょっとそこのお兄さん、この卵朝どれの新鮮そのもの」
人で溢れかえる、市場の通路。
たしかに、ザナビルの市場やポルトの市場より店も品数も多く、並んでいるものはどれも新鮮なものや東方でしかとれない珍しいキノコなども置かれている。
市場に店を構える商店のほかにいつものように露店も立ち並んでおり、その人の多さもあいまっていつも以上の賑わいをみせている。
騎士たちが走ってきて
「今から、ソルフィン陛下をお招きする、道をあけよ」
そういって騎士たちは市民たちを押しのけ、道を開けさせ縄を取り出し規制線を敷き、内側に人を入れないようにしている。
帯刀しているものは市場の外に連れて行かれている。
私はそれをみて少し離れた高台から様子をうかがう。
騎士たちに押しのけられた、市民たちは怒り心頭といった感じで文句を言ったりしているが、騎士が剣に手をかけると押し黙る。
前に見た腰の曲がった老人の姿は目に留まらない…いるのかこの場所に?あの予定通り…明後日という言葉の意味は…今日決行するという意味ではないのか?
空気が震えるような歓声があがり市場の入り口を見る。
市場の入り口に馬車が2台が到着し前の馬車から宰相である父がおり、もう一台からソルフィン陛下が降りてこられる、すぐ近くにフリージアさんと侍従長の姿も見える。
周囲をみるがとくに怪しそうな人物はいない。
騎士たちは陛下と父の予定された行先の先回りし、規制線として敷かれた縄の外側と内側に立ち警戒をしている。
父と陛下は縄の内側を歩き、時に商店に入って品物を購入したりしている。
ん?あれは…
陛下たちが通るのを予定している道に、騎士たちが縄をはっている。
その場所に見覚えのある腰のまがった白髪の老人が杖をつき歩いている。
私はその姿を見るや否や駆けだしていた、無我夢中で走り、人をかき分け、あの老人のもとへ。
「よってくれ、頼む」
「うわっ、こんなところ走るなよ」
「すまん、ちょっといそいでる」
体が人にぶつかり文句を言われたりしているが急ぐ。
あの角を曲がって、あそこをまっすぐいけば!
見つけた、後ろ姿を捉えた、あの白髪、あいつだあの老人だ間違いない。
私は懐にしのばせたナイフ手に取り、老人に背後から突き付ける。
「やっと見つけた、お前には洗いざらい全部話してもらう、いいな」
すると老人は何も言わずに振りかえろうとする。
「振り返るな、そのまま前を向いたまま、後ずさりしろ」
「なんじゃ?」
そういって老人は振り返った。
そこにはあの晩の老人の顔ではなく、優しそうな柔和な顔をした普通の老人が立っている。
「年をとるとな耳が遠くなっていかん、でなんのようじゃ?」
ナイフをすぐ胸に納め、私は表情を緩め老人の耳元でゆっくりと大声で話しかける。
「ソルフィン陛下はいらっしゃいましたか!」
「もうすぐこられるようじゃが」
「ありがとうございます」
そういうと私はその場を立ち去った。
老人は首を傾げていたが、特に怪しむこともなくソルフィン陛下に手を振っていた。
陛下と父は無事に市場での視察を終え馬車に戻られた。
暗殺の場所はここではなかった…ということは今夜の戯曲観覧か
今夜帝国劇場で行われる演目は『復讐の少年国王』
そうソルフィン陛下の物語だ。
明日の予定はたしか父とガレオンの市街の視察、夜は劇場での戯曲観覧、確かに命を狙うとすればここが一番やりやすいか…
私は髪の油を落とし、横になった。
ーー翌朝
窓から入ってくる太陽の光で、目を覚ました私はいつものくたびれた革の上着に袖を通し、麻のズボンに革のブーツといういでたちで、いつものように味付けの濃い腸詰を口の中に放り込む。
市街の視察に関しては、この服のほうが色々と都合がよい、侍従の格好をしていればそれだけで目立ち警戒されてしまう。
私は先回りして怪しい人間を捕まえるそれだけでいいのだ、これほど大それたことを行うということは、それなりの挙動不審な動きをしているはずだし、それに私はあの『蜃気楼』の老人の顔を覚えている。
あの老人が現れれば、捕まえてエイルが黒幕であるという動かぬ証拠をつかむ。
剣は壁にかけたまま、騎士やガレオンの兵士以外帯刀をしているものは近づくことは許されない、私は胸にナイフを括り付け視察現場である、ガレオンの市場に先回りして向かった。
ルントの市場、ガレオン市街の真ん中に位置をするガレオン市民の台所ともいわれる場所で、様々な国からさまざまなものがこの市場で流通している、その物の多さと広さはガレオンの力を示しているともいわれる。
ーーソルフィン陛下は紆余曲折あり国王になられた、それは国内外に広くしられるところとなり、ガレオンではその国王への道程が戯曲化され大人気の演目になっている。
今夜観劇を予定されている帝国劇場をはじめ、田舎の大衆劇場など大小さまざまな劇場で演じられ、国民のだれもが知っているといわれている。
その主役である国王を一目見ようということなのだろう、市場にはいつもよりまして人が多い、恐らく陛下がくるということが事前に伝わっていたのだろう。
あいつが立てた計画であるということは、これも織り込み済みのはず、この人ごみに乗じて暗殺を企んでいる?
しかしどうしても、腑に落ちないあいつが暗殺をガレオン内で行うということはあいつの汚点になるというのに…
市場の商店は人の多さなどお構いなしに店を開き、客引きをしている。
「そこのお兄さん、この野菜新鮮だよ、野菜足りてない顔してるよ」
「ちょっとそこのお兄さん、この卵朝どれの新鮮そのもの」
人で溢れかえる、市場の通路。
たしかに、ザナビルの市場やポルトの市場より店も品数も多く、並んでいるものはどれも新鮮なものや東方でしかとれない珍しいキノコなども置かれている。
市場に店を構える商店のほかにいつものように露店も立ち並んでおり、その人の多さもあいまっていつも以上の賑わいをみせている。
騎士たちが走ってきて
「今から、ソルフィン陛下をお招きする、道をあけよ」
そういって騎士たちは市民たちを押しのけ、道を開けさせ縄を取り出し規制線を敷き、内側に人を入れないようにしている。
帯刀しているものは市場の外に連れて行かれている。
私はそれをみて少し離れた高台から様子をうかがう。
騎士たちに押しのけられた、市民たちは怒り心頭といった感じで文句を言ったりしているが、騎士が剣に手をかけると押し黙る。
前に見た腰の曲がった老人の姿は目に留まらない…いるのかこの場所に?あの予定通り…明後日という言葉の意味は…今日決行するという意味ではないのか?
空気が震えるような歓声があがり市場の入り口を見る。
市場の入り口に馬車が2台が到着し前の馬車から宰相である父がおり、もう一台からソルフィン陛下が降りてこられる、すぐ近くにフリージアさんと侍従長の姿も見える。
周囲をみるがとくに怪しそうな人物はいない。
騎士たちは陛下と父の予定された行先の先回りし、規制線として敷かれた縄の外側と内側に立ち警戒をしている。
父と陛下は縄の内側を歩き、時に商店に入って品物を購入したりしている。
ん?あれは…
陛下たちが通るのを予定している道に、騎士たちが縄をはっている。
その場所に見覚えのある腰のまがった白髪の老人が杖をつき歩いている。
私はその姿を見るや否や駆けだしていた、無我夢中で走り、人をかき分け、あの老人のもとへ。
「よってくれ、頼む」
「うわっ、こんなところ走るなよ」
「すまん、ちょっといそいでる」
体が人にぶつかり文句を言われたりしているが急ぐ。
あの角を曲がって、あそこをまっすぐいけば!
見つけた、後ろ姿を捉えた、あの白髪、あいつだあの老人だ間違いない。
私は懐にしのばせたナイフ手に取り、老人に背後から突き付ける。
「やっと見つけた、お前には洗いざらい全部話してもらう、いいな」
すると老人は何も言わずに振りかえろうとする。
「振り返るな、そのまま前を向いたまま、後ずさりしろ」
「なんじゃ?」
そういって老人は振り返った。
そこにはあの晩の老人の顔ではなく、優しそうな柔和な顔をした普通の老人が立っている。
「年をとるとな耳が遠くなっていかん、でなんのようじゃ?」
ナイフをすぐ胸に納め、私は表情を緩め老人の耳元でゆっくりと大声で話しかける。
「ソルフィン陛下はいらっしゃいましたか!」
「もうすぐこられるようじゃが」
「ありがとうございます」
そういうと私はその場を立ち去った。
老人は首を傾げていたが、特に怪しむこともなくソルフィン陛下に手を振っていた。
陛下と父は無事に市場での視察を終え馬車に戻られた。
暗殺の場所はここではなかった…ということは今夜の戯曲観覧か
今夜帝国劇場で行われる演目は『復讐の少年国王』
そうソルフィン陛下の物語だ。
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