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終章 復讐の果て
第39話 エイル・ノーベル
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エイル・ノーベル
彼は常に2番だった。
「兄上にはかなわない」
これが彼の口癖になるほど彼の人生の先にはこの人がいた。
アレクシア・ノーベル、彼の双子の兄で千年に一人の逸材と言われた男。
エイルはいつの頃か、アレクシアの存在を妬み疎ましく思うようになった。
俺は生まれた時から2番だった、あの男、あの男さえいなければ、俺の人生は輝けるものになり日向を歩む人生になれるだろう、あの男、あの男さえいなければ俺は…
しかし彼は常に正しくありたかった、彼の父親は常に正しいことをする人物、彼の人生の標榜に値する人間であった。
それはエイルが18歳の頃、あれは剣術大会の3か月前のことだった。
いつも入ることを禁じられていた父の書斎。
ほんのちょっとの好奇心だった。
いつもは硬く閉ざされている父の書斎のその日は開いている。
誰かによばれた気がしてそのまま吸い込まれるように書斎に入っていった。
机の裏の金庫はなぜか扉が開いていた、その中には禍々しく怪しく光る指輪が置かれていた。
その指輪を見たエイル何かに魅入られるように指輪を手にした。
手にした瞬間、エイルは真っ白で何もない空間に立っていた。
すーっと現れる白髪の男性はエイルの顔を見るなりこう告げた
「ククク、欲望と嫉妬に焦がれるいい眼をお持ちだ」
「お前はだれだ、いったいここはどこなんだ!」
「申し遅れました、私はあそこに封印されていた深淵の魔女」
エイルは怪訝そうな顔をして
「魔女?おまえは男ではないか!」
「魔女というのはただの概念なのです、わたしの体は常にどうにでもなる」
すると深淵の魔女となのるものは顔中しわだらけの老婆へと姿を変える
「この姿のほうが馴染みが深いですか」
「…」
老婆はもとの白髪の青年の姿に戻る。
「私は人間がすきだ、欲望と嫉妬にまみれた人間がね」
「俺はそんな人間ではない!父親のように清く正しく生きていくのだ」
「フフフ、あなたは心の薄皮を一枚はがせば、そこは嫉妬と欲望にまみれている」
「そんなことはない!」
「アレクシア・ノーベル」
「兄上がどうした」
その青年は一冊の本を取り出す。
「ここにあなたの父上の秘密が書かれています」
それはアレクシアの出生の秘密が書かれた、父上の日記だった。
「そうアレクシア、あなたの兄はノーベル家の人間ではありません」
「なんだと…」
「しかし、あなたの父上は家督をアレクシアに継がせるおつもりだ」
エイルは拳を握り、激昂する。
「そんな!あの男が家督を継ぐだとそんなことあってたまるものか!!」
「フフフ、心の皮が一枚剥がれましたな」
「俺は、俺はどうすればいい!なあおしえてくれ、この胸の奥からあふれてくる、どす黒い泥ような感情をどうすればいい!!」
「そうですねぇ、あなたは欲望に素直になればいい、ただそれだけです」
「欲望に素直になる…」
「ええ、あなたの枷はすでに外れた、素直になるのです素直に」
エイルは全てを悟ったというような表情をして
「分かった…」
とだけ呟いた。
するとエイルは元の世界に戻り、指輪は元の場所に安置されており、机の上にはアレクシアの出生の秘密が書かれた日記が置かれていた。
その時、ちょうど父であるフリューゲルが書斎にもどってきた。
「エイル何をやっている!書斎に入るのは禁じていたはずだ!!」
フリューゲルはエイルを見るなり叱りとばす。
エイルは父親を睨み、机の日記を床に叩きつける。
「父上、ここに書かれている兄上はノーベル家の人間ではない、本当のことなのですか!」
「お、おまえなにをいっているんだ」
「俺は…すべてを知りました嘘を言わないでください」
フリューゲルは机の椅子に座り、手を組み頭を抱えながら話した。
「ああ、本当のことだ、アレクシアはお前たちの母ノインの妹の息子だ」
「おばは、亡くなったと…」
「アレクシアを産んだあとすぐになくなった、ちょうど生まれた日が同じだったエイルと双子ということにして育てようとノインと話をしたのだ」
「じゃあ兄上に家督を継がせるということは、ノーベル家の人間ではないものが家督を継ぐということですよ!」
「私はな、血よりも大切なものがあると思っている、アレクシアはノーベル家で生まれ育ったということだエイル、もうこれは変えようのないものだ」
「そんな…名門貴族であるわが家系がどこの馬の骨ともしれないようなものにとってかわられるとは、私はとても受け入れられません」
「…分かった、エイルお前がノーベル家のことを一番に考えてくれる気持ちはうれしい」
「それならば!」
「3か月後、3か月後に剣術大会があるのだろう?そこでお前がアレクシアよりも優れているということを見せてみろ、そうすれば家督をお前に譲ること考えてもいい」
「分かりました、俺が優勝します」
こうしてエイルは父の書斎から離れ、自室に戻った。
「おい、聞いていたか魔女よ」
すると白髪の青年が現れる。
「ククク、剣術大会ですか、それは楽しみだぁ」
「あの男は必ず決勝に勝ち上がってくる…しかしそれでは面白くない」
「ほう、とすると?」
「あの男には最大限の屈辱と絶望を味合わせたい、お前ならできるのだろ魔女よ」
「ええ、そんなことはいともたやすいことです、私をあの狭いところから出してくださったお礼です手を貸しましょう」
「では、俺の計画はこうだ」
そうしてアレクシアは賭けに乗り、1回戦で敗北しエイルは剣術大会で悲願の優勝を果たしのだ。
アレクシアはエイル達の前から姿を消した。
姿を消した直後に、アレクシアに似た人物が身を投げたのを見たという人物も現れ、海流が激しい場所で死体はもう上がってこないだろうという結論になった。
クレアは悲しみに暮れていたが、エイルがずっと側に寄り添い次第にエイルに心を開いて行った。
皇帝もアレクシアの死を嘆いていたが、クレアの相手としてエイルを認めた。
魔女もまたエイルのもとを去り、エイルはアレクシアが歩む筈であった人生を歩むことになり、順風満帆な日々であった。
ある日、ザナビルの騎士団長フロイトという人物がガレオンにやってきていた。
彼は現ザナビル王家に対して不信感を持っていた。
エイルはこう考えた、ザナビルとポルトを離間させれば、ポルト侵攻がたやすくなるなと、上手くいけば俺の手柄になる失敗してもこの男を切り捨てればいいだけのこと…
「フロイトさん、ザナビル王家を裏切りませんか、ノーベル家いやガレオン帝国が全面的に支援します」
フロイトはそして反乱を起こしたが失敗に終わった、ガレオンからみれば遠く離れた地で行われたことに過ぎない、そしてエイルがかかわっていたことは誰もしらない。
そのころをあたりから、エイルは裏の顔を持つようになり、蜃気楼と呼ばれる暗殺者集団の一人サイゾウという人物を自らの子飼いとした。
サイゾウが知る東方の秘術を使い、自らの出世のためにエイルは手を汚していった。
ある日、エイルの前に例の魔女が突然現れた。
「ククク、あなたが地獄に放り込んだアレクシアがまたガレオンに戻りましたがどうなさいます?」
「なんだと…」
「あの男はお前への復讐に燃えていますなぁククク」
「で、どこにいるのだ」
魔女は場末の酒場をエイルに教えた。
「で?どうするんだい?」
エイルは少し考えるそぶりをした後
「いい案が浮かんだ、あの男には邪魔者を排除してもらう」
「久しぶりにあった思えば、己の欲望に忠実になりましたのぉククク」
「お前のおかげだ、魔女よ」
そうしてエイルはアレクシアがいる酒場へと足しげく通うようになった。
そうして3年ほどがたった。
エイルは皇国親衛隊副隊長となり、クレアとの結婚を果たし子供まで授かることとなった。
あとは目の上のたんこぶであるあの人物さえいなくなれば…
そしてエイルは計画の実行に移した。
アレクシアがいるところで、外遊中のザナビル国王の暗殺計画を漏らす。
アレクシアとザナビル国王はただならぬ関係、そのことについてはサイゾウから情報得ていた。
絶対に暗殺阻止に動くはずである。
アレクシアは予想通りの動きをした。
「サイゾウ、これをみろ」
エイルはサイゾウに手紙を見せる。
「ええ、予想通りですな」
「その証文が偽物だということもしらずにな」
「はい、あの証文書かれた墨は3日で消える我が蜃気楼に伝わる秘伝の墨」
「まあよい証文など必要なくなる」
「しかし、東方のものが主をこうも簡単に売るとおもわれるのは癪でございますな」
「それもそうだな、お前のプライドを汚すことになってすまなかったな」
「そういってもらえるとは有り難き幸せでございます」
そういうとサイゾウは闇に紛れきえていった。
エイルは第8倉庫をあとにし一人暗い夜道をランタンの明かりのみで帰宅している。
闇からサイゾウが現れる。
「エイル様すべてがうまくいきましたな」
「これほどうまくいくとはな、あの男あそこまで甘いとはな」
「して、あの男アレクシアは皇帝のおとし子なので?」
「そんなわけあるか、あの男を信じ込ませる嘘よ、前皇帝の世継ぎなどおらぬは」
「ほほう、エイル様のあの演技、さすがでございましたな、帝国劇場で主演が張れるかと」
「はははは、うまいことをいうな」
「あとは父上さまを」
「そうだ、あの男に父上を討ちとらせ、罪を被せるそして、私は悲劇の主人公となり、最年少で騎士団長、そして宰相となる、ハハハ果ては皇帝か?それも面白い」
サイゾウは闇に消え、エイルは一人自宅に戻った。
ノーベル家の豪邸を見上げるサイゾウ。
その姿は白髪の青年に変わり
「足下をすくわれなければ、いいですなエイル殿」
そう呟いて魔女は姿を消したのであった。
彼は常に2番だった。
「兄上にはかなわない」
これが彼の口癖になるほど彼の人生の先にはこの人がいた。
アレクシア・ノーベル、彼の双子の兄で千年に一人の逸材と言われた男。
エイルはいつの頃か、アレクシアの存在を妬み疎ましく思うようになった。
俺は生まれた時から2番だった、あの男、あの男さえいなければ、俺の人生は輝けるものになり日向を歩む人生になれるだろう、あの男、あの男さえいなければ俺は…
しかし彼は常に正しくありたかった、彼の父親は常に正しいことをする人物、彼の人生の標榜に値する人間であった。
それはエイルが18歳の頃、あれは剣術大会の3か月前のことだった。
いつも入ることを禁じられていた父の書斎。
ほんのちょっとの好奇心だった。
いつもは硬く閉ざされている父の書斎のその日は開いている。
誰かによばれた気がしてそのまま吸い込まれるように書斎に入っていった。
机の裏の金庫はなぜか扉が開いていた、その中には禍々しく怪しく光る指輪が置かれていた。
その指輪を見たエイル何かに魅入られるように指輪を手にした。
手にした瞬間、エイルは真っ白で何もない空間に立っていた。
すーっと現れる白髪の男性はエイルの顔を見るなりこう告げた
「ククク、欲望と嫉妬に焦がれるいい眼をお持ちだ」
「お前はだれだ、いったいここはどこなんだ!」
「申し遅れました、私はあそこに封印されていた深淵の魔女」
エイルは怪訝そうな顔をして
「魔女?おまえは男ではないか!」
「魔女というのはただの概念なのです、わたしの体は常にどうにでもなる」
すると深淵の魔女となのるものは顔中しわだらけの老婆へと姿を変える
「この姿のほうが馴染みが深いですか」
「…」
老婆はもとの白髪の青年の姿に戻る。
「私は人間がすきだ、欲望と嫉妬にまみれた人間がね」
「俺はそんな人間ではない!父親のように清く正しく生きていくのだ」
「フフフ、あなたは心の薄皮を一枚はがせば、そこは嫉妬と欲望にまみれている」
「そんなことはない!」
「アレクシア・ノーベル」
「兄上がどうした」
その青年は一冊の本を取り出す。
「ここにあなたの父上の秘密が書かれています」
それはアレクシアの出生の秘密が書かれた、父上の日記だった。
「そうアレクシア、あなたの兄はノーベル家の人間ではありません」
「なんだと…」
「しかし、あなたの父上は家督をアレクシアに継がせるおつもりだ」
エイルは拳を握り、激昂する。
「そんな!あの男が家督を継ぐだとそんなことあってたまるものか!!」
「フフフ、心の皮が一枚剥がれましたな」
「俺は、俺はどうすればいい!なあおしえてくれ、この胸の奥からあふれてくる、どす黒い泥ような感情をどうすればいい!!」
「そうですねぇ、あなたは欲望に素直になればいい、ただそれだけです」
「欲望に素直になる…」
「ええ、あなたの枷はすでに外れた、素直になるのです素直に」
エイルは全てを悟ったというような表情をして
「分かった…」
とだけ呟いた。
するとエイルは元の世界に戻り、指輪は元の場所に安置されており、机の上にはアレクシアの出生の秘密が書かれた日記が置かれていた。
その時、ちょうど父であるフリューゲルが書斎にもどってきた。
「エイル何をやっている!書斎に入るのは禁じていたはずだ!!」
フリューゲルはエイルを見るなり叱りとばす。
エイルは父親を睨み、机の日記を床に叩きつける。
「父上、ここに書かれている兄上はノーベル家の人間ではない、本当のことなのですか!」
「お、おまえなにをいっているんだ」
「俺は…すべてを知りました嘘を言わないでください」
フリューゲルは机の椅子に座り、手を組み頭を抱えながら話した。
「ああ、本当のことだ、アレクシアはお前たちの母ノインの妹の息子だ」
「おばは、亡くなったと…」
「アレクシアを産んだあとすぐになくなった、ちょうど生まれた日が同じだったエイルと双子ということにして育てようとノインと話をしたのだ」
「じゃあ兄上に家督を継がせるということは、ノーベル家の人間ではないものが家督を継ぐということですよ!」
「私はな、血よりも大切なものがあると思っている、アレクシアはノーベル家で生まれ育ったということだエイル、もうこれは変えようのないものだ」
「そんな…名門貴族であるわが家系がどこの馬の骨ともしれないようなものにとってかわられるとは、私はとても受け入れられません」
「…分かった、エイルお前がノーベル家のことを一番に考えてくれる気持ちはうれしい」
「それならば!」
「3か月後、3か月後に剣術大会があるのだろう?そこでお前がアレクシアよりも優れているということを見せてみろ、そうすれば家督をお前に譲ること考えてもいい」
「分かりました、俺が優勝します」
こうしてエイルは父の書斎から離れ、自室に戻った。
「おい、聞いていたか魔女よ」
すると白髪の青年が現れる。
「ククク、剣術大会ですか、それは楽しみだぁ」
「あの男は必ず決勝に勝ち上がってくる…しかしそれでは面白くない」
「ほう、とすると?」
「あの男には最大限の屈辱と絶望を味合わせたい、お前ならできるのだろ魔女よ」
「ええ、そんなことはいともたやすいことです、私をあの狭いところから出してくださったお礼です手を貸しましょう」
「では、俺の計画はこうだ」
そうしてアレクシアは賭けに乗り、1回戦で敗北しエイルは剣術大会で悲願の優勝を果たしのだ。
アレクシアはエイル達の前から姿を消した。
姿を消した直後に、アレクシアに似た人物が身を投げたのを見たという人物も現れ、海流が激しい場所で死体はもう上がってこないだろうという結論になった。
クレアは悲しみに暮れていたが、エイルがずっと側に寄り添い次第にエイルに心を開いて行った。
皇帝もアレクシアの死を嘆いていたが、クレアの相手としてエイルを認めた。
魔女もまたエイルのもとを去り、エイルはアレクシアが歩む筈であった人生を歩むことになり、順風満帆な日々であった。
ある日、ザナビルの騎士団長フロイトという人物がガレオンにやってきていた。
彼は現ザナビル王家に対して不信感を持っていた。
エイルはこう考えた、ザナビルとポルトを離間させれば、ポルト侵攻がたやすくなるなと、上手くいけば俺の手柄になる失敗してもこの男を切り捨てればいいだけのこと…
「フロイトさん、ザナビル王家を裏切りませんか、ノーベル家いやガレオン帝国が全面的に支援します」
フロイトはそして反乱を起こしたが失敗に終わった、ガレオンからみれば遠く離れた地で行われたことに過ぎない、そしてエイルがかかわっていたことは誰もしらない。
そのころをあたりから、エイルは裏の顔を持つようになり、蜃気楼と呼ばれる暗殺者集団の一人サイゾウという人物を自らの子飼いとした。
サイゾウが知る東方の秘術を使い、自らの出世のためにエイルは手を汚していった。
ある日、エイルの前に例の魔女が突然現れた。
「ククク、あなたが地獄に放り込んだアレクシアがまたガレオンに戻りましたがどうなさいます?」
「なんだと…」
「あの男はお前への復讐に燃えていますなぁククク」
「で、どこにいるのだ」
魔女は場末の酒場をエイルに教えた。
「で?どうするんだい?」
エイルは少し考えるそぶりをした後
「いい案が浮かんだ、あの男には邪魔者を排除してもらう」
「久しぶりにあった思えば、己の欲望に忠実になりましたのぉククク」
「お前のおかげだ、魔女よ」
そうしてエイルはアレクシアがいる酒場へと足しげく通うようになった。
そうして3年ほどがたった。
エイルは皇国親衛隊副隊長となり、クレアとの結婚を果たし子供まで授かることとなった。
あとは目の上のたんこぶであるあの人物さえいなくなれば…
そしてエイルは計画の実行に移した。
アレクシアがいるところで、外遊中のザナビル国王の暗殺計画を漏らす。
アレクシアとザナビル国王はただならぬ関係、そのことについてはサイゾウから情報得ていた。
絶対に暗殺阻止に動くはずである。
アレクシアは予想通りの動きをした。
「サイゾウ、これをみろ」
エイルはサイゾウに手紙を見せる。
「ええ、予想通りですな」
「その証文が偽物だということもしらずにな」
「はい、あの証文書かれた墨は3日で消える我が蜃気楼に伝わる秘伝の墨」
「まあよい証文など必要なくなる」
「しかし、東方のものが主をこうも簡単に売るとおもわれるのは癪でございますな」
「それもそうだな、お前のプライドを汚すことになってすまなかったな」
「そういってもらえるとは有り難き幸せでございます」
そういうとサイゾウは闇に紛れきえていった。
エイルは第8倉庫をあとにし一人暗い夜道をランタンの明かりのみで帰宅している。
闇からサイゾウが現れる。
「エイル様すべてがうまくいきましたな」
「これほどうまくいくとはな、あの男あそこまで甘いとはな」
「して、あの男アレクシアは皇帝のおとし子なので?」
「そんなわけあるか、あの男を信じ込ませる嘘よ、前皇帝の世継ぎなどおらぬは」
「ほほう、エイル様のあの演技、さすがでございましたな、帝国劇場で主演が張れるかと」
「はははは、うまいことをいうな」
「あとは父上さまを」
「そうだ、あの男に父上を討ちとらせ、罪を被せるそして、私は悲劇の主人公となり、最年少で騎士団長、そして宰相となる、ハハハ果ては皇帝か?それも面白い」
サイゾウは闇に消え、エイルは一人自宅に戻った。
ノーベル家の豪邸を見上げるサイゾウ。
その姿は白髪の青年に変わり
「足下をすくわれなければ、いいですなエイル殿」
そう呟いて魔女は姿を消したのであった。
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