愛され女は、秘されたギフトを惜しまない

月山 歩

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4.アリスとレイモンド

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ロイのための推薦状ができあがると、レイモンドは、

「アリス推薦状書いたよ。
 じゃお返しに何してくれるのかな?」

 レイモンドはイタズラっ子のような表情で、アリスに尋ねる。

「そうねぇ、今度レイの好きなクッキーを焼いて来るわ。」

「いいねぇ、チョコチップをたっぷり入れて。」

「わかったわ。
今度持って来る。
 推薦状ありがとう、じゃあね。」

 アリスはすぐに帰ろうと立ち上がる。

「ちょっと待って。
 その子が騎士学校に入れるように、うちの私兵団で鍛錬をつむといい。
 そのまま、フリップに案内させよう。」

 そう言うとレイモンドは控えていた側近フリップに頷く。

 すると、フリップは心得たとばかりに、アリスとロイを伴い、鍛錬場に向かって行った。

 もし、アリスでなければ、レイモンドの持つ公爵家の力をたったのクッキーで得ようとする人間がいたら、レイモンドはその美しい顔を歪めて、冷たく突き放していたであろう。

 でも、レイモンドは昔から笑顔が可愛くて、素直でみんなのために一生懸命になっているアリスが大好きだった。

 だから、アリスがレイモンドに頼りに来るとにやつきを抑えるのに必死になりながら、せっせと世話を焼いている。

 アリスの作ったクッキーは昔からレイモンドの大好物で絶対に誰にも渡さずに一人で食べることにしている。

 アリスは孤児院で出会った子供達の未来を少しでも良いものにするべく、本人の望む仕事とギフトで見える適職が合致した場合、その職業になれるように子供達を導く。

 また、ギフトで見える適職と違う仕事に就こうとしている場合は本人の意志を尊重して、本人の希望に沿った仕事を一緒に訪問するなどして、仕事先の人との間を取り持つ。

 一度仕事についても、折り合いが悪かったり、合わないなどして困っている元子供達にも関わって行く、いわゆる手厚い支援をしているのだ。

 それが、わかっているのでレイモンドはできるだけ手助けしている。

 ドレスや宝石、お茶会でのおしゃべり好きな他の子女達とは違い、一生懸命に子供達の世話をするアリスのことがずっと好きなのだ。

 そして、本当はアリスとの結婚を望んでいる。
 しかし、この国の筆頭公爵子息と言う肩書きがあり、国外の王族との政略結婚の可能性もあるため、未だ国王からの許可がおりず、アリスと婚約できないでいる。

 アリスには結婚できない可能性もあるため、まだ、伝えてないけれども、アリスの父親である男爵には、事情を話し、アリスに結婚を申し込む他の子息達を跳ね除けてもらっている。

 その見返りとしてアリスは現在19歳であるが、結婚できる16歳から秘密裏に資金を援助している。

 でも、表向きはただの幼馴染ということになっているのが、レイモンドの最大の悩みだった。

 もし、アリスに好きな人ができてしまったら、彼女の父親はどんなに資金を援助していたとしてもレイモンドを切り捨てるだろう。

 もし、他の子女のようにドレスと宝石で心を得られるなら、いくらでも山のようにプレゼントしているが、それでは、アリスの心を得ることはできないとレイモンドはわかっている。

 アリスが求めるのは子供達への手助けだけだ。

 だから、レイモンドは心の中はいつも必死だった。
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