8 / 8
8.君を探す
しおりを挟む
エルベルトは、深くフードをかぶり、王都に来ていた。
もう半年も、時間を見つけては、ミレイアの捜索をしている。
だが、一向に消息は掴めずにいる。
各領に遣いをやり、その領の民の中で、数人の美人を領主達に、紹介させる。
それが、ハーシェルと話し合って決めたミレイアを探し出すための方法だった。
闇雲に探そうと思っても、絶対に見つからないからである。
「エルベルト様、僕は、もうすべての領の美人と会いましたけど、南の端の領の方がタイプです。」
表向きは、領主に、アーサーの結婚相手を探していると言うことにしている。
アーサーは、近衛騎士で、離宮の門番をしていた男爵家の次男である。
腕の立つ男だし、ミレイアと何度も話しており、顔を見れば、ミレイアかどうか、すぐわかるから、特別任務として、王国中の美人の民と会う大役をさせていた。
そして、半年後、成果がないまま、帰還した。
だが、彼的には、運命的な出会いがあったらしい。
「もし、アーサーの親が、君の結婚相手が平民でもいいと言うなら、正式に書状を送り、会う算段をするよ。」
「ありがとうございます。
エルベルト様のおかげで、王国中で一番タイプの女性とのチャンスをもらえました。」
「げんきんなやつだな。
好きになってもらえるかは、アーサー次第だから頑張れよ。」
以前ならば、執務に集中するばかりで、人と関わると言う認識がなかったのかもしれない。
それに、職務に恋愛を持ち込むなどと言ったら、眉を顰めただろう。
僕は今、自分の恋愛のために、近衛騎士を使っている。
前なら、そんな自分は、許せなかった。
だが、ハーシェルは、
「王族の婚姻は、国家の維持に関わる重要案件だから、近衛騎士を使うのは、私的利用にならない。」
のだそうだ。
頭の固い僕より、よっぽど、ハーシェルは、王に向いてる。
今日は、美人を探せば、ミレイアに辿り着くと言う作戦が失敗したので、王国一の占い師に、ミレイアのいる場所を探してもらうと言う、これまた信じられない作戦のため、王都の占い師の店に来た。
ハーシェルの婚約者の王女が言うには、重要な判断を、お抱えの占い師に相談する指導者は、多いのだそうだ。
「ここから、東」
とか、雑に言われても、本当に探し出せるのか、わからない。
でも、王女の提案を、蔑ろにできなかった。
僕個人としては、全く信じられないけれども、ミレイアを探すのに、僕の主観は必要ない。
会えさえすれば良いのだ。
なので今、アーサーを伴い、店内に入る。
「いらっしゃい。」
「探してほしい人がいるんだが?」
「でしたら、この椅子に座って。
私の占いは、3000ルバよ。」
「ああ、構わない。」
「じゃあ、手を出して。」
エルベルトは、占い師に手を差し出す。
「その探している人は女性?」
「そうだ。」
「好きなの?」
「ああ。」
「結婚線が、出てるわ。
もうまもなく、結婚できるわね。
心配ないわ。」
「今、会えていないのに?」
「ええ、間違いないわ。
あなた、隠しているけれど、いい男ね。
探している人は、美人?」
「そうだ。」
「もしかして、水色の瞳?」
「そうだ。」
「ピンクの髪で?」
「ああ。」
「それなら、見つけたわ。
あなた、その女性を大切にできるの?」
「命に替えても。」
「なら、隠してもムダね。
どの道あなたは、ここに辿り着く。
あなたがここに来たのは、正解よ。
彼女がいないと、あなたに真の安らぎは、訪れない。
でも、彼女がいる限りあなたは、いくらでも強くなれるし、本当の自分に戻れる。
彼女を大切にするといいわ。
今までの出来事はすべて、これからあなたがすることの、予行練習みたいなものなの。
どうすれば、相手に気づかれず、心も身体も、包み込んでしまえるか。
それを知るための、時間だったの。
私は、マデリンと言うの。
あなたのせいで、私の邸は、また、汚れていくわ。
彼女を大切にしなければ、私は、彼女の優しさにつけ込んで、再び彼女を取り返す。
彼女は、素直だから、そのことに気づかない。
彼女を欲しがる人間が、ここにもいることを、覚えておいてね。」
そう言って、占い師は、握手をして来た。
僕とアーサーは、料金を払うと、疑問に思いながら、言われた通り後ろの邸に向かった。
「すみません、誰かいますか?」
誰かが、尋ねてきたような声が、遠くに聞こえる。
ミレイアが、マデリンと一緒に住み始めてから、この邸に人が訪れたのは、初めてだった。
私は、急いで玄関に向かう。
「はい、今、ここの主は、留守にしています。」
と言いながら、ミレイアが、邸のドアを開けると、そこに立っているのは、エルベルト様と、アーサーだった。
「エルベルト様、どうしてここに?」
驚きで、動けない。
「話があって、探していたんだ。
入れてくれるかい?」
「ここは、前にある店の人の家だから、勝手に入れられないわ。」
「じゃあ、人目につくから、馬車の中で話さないか?」
「はい、わかりました。」
二人は、エルベルト様が乗って来た馬車に移動した。
そして、アーサーは、御者台に乗り、警備をしているようだ。
「元気だったかい?」
「はい、この通り元気です。」
「エルベルト様は、このようなところに来て、大丈夫なのですか?」
「ああ、君に求婚したくてここに来た。」
その言葉に、期待してはいけないと思ってみても、胸が高鳴る。
「えっ、そんなこと、できるはずがありません。」
「僕は、君を妃にする覚悟を持ってここに来た。
でなければ、君を訪ねて来たりはしない。」
「そんなの無理です。」
「無理じゃない。
僕は、ミレイアを愛している。
君じゃなきゃ、ダメなんだ。
君とじゃなければ、僕は、癒されることがない。
君といたあの離宮での生活が、恋しいんだ。
幽閉されていたのに、おかしいだろう?
君を失った今、何も、幸せを感じない。
食欲だって、湧かない。
君といたあの時は、笑いがあり、温かった。
常に未来に、目を向けることができたんだ。
だから、僕と、結婚してほしい。」
「でも、私は平民だし、何の後ろ盾もないし、あなたの妾と噂された女です。
私と関わると、エルベルト様の評判が悪くなる、そう手紙にも書いたはずです。」
「読んだよ。
実際、あの手紙を見た時は、幽閉された次に、ショックを受けたよ。」
「すみません。」
「でも、あの手紙を見て、初めて君が僕のために、すべてを捨てて、そばにいてくれたことを知ったんだ。
幽閉されていたのに、何故、幸せだったのか、やっとわかったんだよ。
ミレイアは、僕のことを、今どう思っている?
僕は、立場とか、そう言うものを抜きにして、君の気持ちが知りたいんだ。」
「私は、…、エルベルト様のことが好きです。」
この先どうなったとしても、愛するエルベルト様に真っ直ぐ見つめられて、問われたら、嘘などつけるわけがない。
「ありがとう。」
エルベルト様は、初めて満面の笑みを見せる。
「じゃあ、僕達は結婚できるね。」
「それとこれは、話が別です。」
「別じゃないよ。
僕がほしいのは、ミレイアの気持ちだけだよ。
君に言ってなかったけれども、僕は、王位継承権を放棄したから。」
「えっ、何てことを。
エルベルト様こそ、王にふさわしい方です。」
「僕も以前は、そう思っていた。
けれども、今は、僕にその資格は、ない。
僕には、命をかけてもついて来ると言う家臣は、一人もいなかった。
疑惑が晴れて、王宮に戻ってから、泣いて謝られても、冷めた自分がいたんだ。
だから僕は、家臣や民を信用する王には、なれない。
元々は、僕が王子として、力不足だと言うことさ。
ハーシェルの方が、もっと上手くやっているよ。
ハーシェルと話し合って、彼が王になり、僕が支えることで、合意したんだ。
だから、僕は、君と結婚できる。
僕は、ハーシェルとミレイア以外には、人間不信気味でね、王子には、どんなに結婚が必要だと言われても、君以外の女性が眠る横で、安眠することはないと思う。
自分の利益のために、人の人生を狂わすほどのことを、平気で行う人がいると思うと、心を許すのが怖い。
だから、君以外と、結婚できない。
すぐじゃなくていいから、僕との結婚を考えてほしい。」
幽閉された時の心の傷は、解放された後も、ジワジワと影を落とし、彼をただの輝ける王子にさせることは、二度とない。
エルベルト様の話を聞いた後では、私の答えは決まっている。
だって、どれほどエルベルト様を好きか、自分が一番わかっているのだから。
止められない思いに涙が溢れる。
大丈夫です。
エルベルト様、私が、一生あなたの心を守ります。
疑心暗鬼になってしまうあなたを、丸ごと抱きしめます。
あなたは、私のそばならば、眠れない夜も、心穏やかにいられるのでしょう。
ならば、私は、一晩中だって、あなたを抱きしめます。
だから、安心してそばにいさせてください。
「エルベルト様、私、あなたが好きです。
だから、あなたと結婚したいです。」
「本当か、ありがとう。
僕の愛するミレイア。」
そうして、手一つ触れたことのない二人は、初めて抱き合ったのだった。
その後、王宮の教会で、ハーシェルやアーサーに見守られながら、二人はひっそりと結婚した。
そして、エルベルト様は、王宮ではなく、私と二人で暮らしたいと、離宮を改築して、二人の新しい新居にした。
なので私は、妃なのに、ほとんど王宮にいる人達にも、この国の民とも会うことがない。
そんなことはないとは思うけれど、エルベルト様は、まるで私を隠すように、人に会わせようとしない。
旅行も、二人きりでいることを大切にし、いつも人のいない場所を選びがちだ。
マデリンさんが、言っていたことは、このことと関係あるのかしら。
私には、よくわからない。
彼といる限り、特に人と会いたいとも思わないので、いいのだけれど。
エルベルト様は、毎日、離宮から王宮にハーシェル様と執務できるように通っている。
だから私は、離宮に帰って来たエルベルト様が癒されるように、今日も掃除から始めるのだ。
完
もう半年も、時間を見つけては、ミレイアの捜索をしている。
だが、一向に消息は掴めずにいる。
各領に遣いをやり、その領の民の中で、数人の美人を領主達に、紹介させる。
それが、ハーシェルと話し合って決めたミレイアを探し出すための方法だった。
闇雲に探そうと思っても、絶対に見つからないからである。
「エルベルト様、僕は、もうすべての領の美人と会いましたけど、南の端の領の方がタイプです。」
表向きは、領主に、アーサーの結婚相手を探していると言うことにしている。
アーサーは、近衛騎士で、離宮の門番をしていた男爵家の次男である。
腕の立つ男だし、ミレイアと何度も話しており、顔を見れば、ミレイアかどうか、すぐわかるから、特別任務として、王国中の美人の民と会う大役をさせていた。
そして、半年後、成果がないまま、帰還した。
だが、彼的には、運命的な出会いがあったらしい。
「もし、アーサーの親が、君の結婚相手が平民でもいいと言うなら、正式に書状を送り、会う算段をするよ。」
「ありがとうございます。
エルベルト様のおかげで、王国中で一番タイプの女性とのチャンスをもらえました。」
「げんきんなやつだな。
好きになってもらえるかは、アーサー次第だから頑張れよ。」
以前ならば、執務に集中するばかりで、人と関わると言う認識がなかったのかもしれない。
それに、職務に恋愛を持ち込むなどと言ったら、眉を顰めただろう。
僕は今、自分の恋愛のために、近衛騎士を使っている。
前なら、そんな自分は、許せなかった。
だが、ハーシェルは、
「王族の婚姻は、国家の維持に関わる重要案件だから、近衛騎士を使うのは、私的利用にならない。」
のだそうだ。
頭の固い僕より、よっぽど、ハーシェルは、王に向いてる。
今日は、美人を探せば、ミレイアに辿り着くと言う作戦が失敗したので、王国一の占い師に、ミレイアのいる場所を探してもらうと言う、これまた信じられない作戦のため、王都の占い師の店に来た。
ハーシェルの婚約者の王女が言うには、重要な判断を、お抱えの占い師に相談する指導者は、多いのだそうだ。
「ここから、東」
とか、雑に言われても、本当に探し出せるのか、わからない。
でも、王女の提案を、蔑ろにできなかった。
僕個人としては、全く信じられないけれども、ミレイアを探すのに、僕の主観は必要ない。
会えさえすれば良いのだ。
なので今、アーサーを伴い、店内に入る。
「いらっしゃい。」
「探してほしい人がいるんだが?」
「でしたら、この椅子に座って。
私の占いは、3000ルバよ。」
「ああ、構わない。」
「じゃあ、手を出して。」
エルベルトは、占い師に手を差し出す。
「その探している人は女性?」
「そうだ。」
「好きなの?」
「ああ。」
「結婚線が、出てるわ。
もうまもなく、結婚できるわね。
心配ないわ。」
「今、会えていないのに?」
「ええ、間違いないわ。
あなた、隠しているけれど、いい男ね。
探している人は、美人?」
「そうだ。」
「もしかして、水色の瞳?」
「そうだ。」
「ピンクの髪で?」
「ああ。」
「それなら、見つけたわ。
あなた、その女性を大切にできるの?」
「命に替えても。」
「なら、隠してもムダね。
どの道あなたは、ここに辿り着く。
あなたがここに来たのは、正解よ。
彼女がいないと、あなたに真の安らぎは、訪れない。
でも、彼女がいる限りあなたは、いくらでも強くなれるし、本当の自分に戻れる。
彼女を大切にするといいわ。
今までの出来事はすべて、これからあなたがすることの、予行練習みたいなものなの。
どうすれば、相手に気づかれず、心も身体も、包み込んでしまえるか。
それを知るための、時間だったの。
私は、マデリンと言うの。
あなたのせいで、私の邸は、また、汚れていくわ。
彼女を大切にしなければ、私は、彼女の優しさにつけ込んで、再び彼女を取り返す。
彼女は、素直だから、そのことに気づかない。
彼女を欲しがる人間が、ここにもいることを、覚えておいてね。」
そう言って、占い師は、握手をして来た。
僕とアーサーは、料金を払うと、疑問に思いながら、言われた通り後ろの邸に向かった。
「すみません、誰かいますか?」
誰かが、尋ねてきたような声が、遠くに聞こえる。
ミレイアが、マデリンと一緒に住み始めてから、この邸に人が訪れたのは、初めてだった。
私は、急いで玄関に向かう。
「はい、今、ここの主は、留守にしています。」
と言いながら、ミレイアが、邸のドアを開けると、そこに立っているのは、エルベルト様と、アーサーだった。
「エルベルト様、どうしてここに?」
驚きで、動けない。
「話があって、探していたんだ。
入れてくれるかい?」
「ここは、前にある店の人の家だから、勝手に入れられないわ。」
「じゃあ、人目につくから、馬車の中で話さないか?」
「はい、わかりました。」
二人は、エルベルト様が乗って来た馬車に移動した。
そして、アーサーは、御者台に乗り、警備をしているようだ。
「元気だったかい?」
「はい、この通り元気です。」
「エルベルト様は、このようなところに来て、大丈夫なのですか?」
「ああ、君に求婚したくてここに来た。」
その言葉に、期待してはいけないと思ってみても、胸が高鳴る。
「えっ、そんなこと、できるはずがありません。」
「僕は、君を妃にする覚悟を持ってここに来た。
でなければ、君を訪ねて来たりはしない。」
「そんなの無理です。」
「無理じゃない。
僕は、ミレイアを愛している。
君じゃなきゃ、ダメなんだ。
君とじゃなければ、僕は、癒されることがない。
君といたあの離宮での生活が、恋しいんだ。
幽閉されていたのに、おかしいだろう?
君を失った今、何も、幸せを感じない。
食欲だって、湧かない。
君といたあの時は、笑いがあり、温かった。
常に未来に、目を向けることができたんだ。
だから、僕と、結婚してほしい。」
「でも、私は平民だし、何の後ろ盾もないし、あなたの妾と噂された女です。
私と関わると、エルベルト様の評判が悪くなる、そう手紙にも書いたはずです。」
「読んだよ。
実際、あの手紙を見た時は、幽閉された次に、ショックを受けたよ。」
「すみません。」
「でも、あの手紙を見て、初めて君が僕のために、すべてを捨てて、そばにいてくれたことを知ったんだ。
幽閉されていたのに、何故、幸せだったのか、やっとわかったんだよ。
ミレイアは、僕のことを、今どう思っている?
僕は、立場とか、そう言うものを抜きにして、君の気持ちが知りたいんだ。」
「私は、…、エルベルト様のことが好きです。」
この先どうなったとしても、愛するエルベルト様に真っ直ぐ見つめられて、問われたら、嘘などつけるわけがない。
「ありがとう。」
エルベルト様は、初めて満面の笑みを見せる。
「じゃあ、僕達は結婚できるね。」
「それとこれは、話が別です。」
「別じゃないよ。
僕がほしいのは、ミレイアの気持ちだけだよ。
君に言ってなかったけれども、僕は、王位継承権を放棄したから。」
「えっ、何てことを。
エルベルト様こそ、王にふさわしい方です。」
「僕も以前は、そう思っていた。
けれども、今は、僕にその資格は、ない。
僕には、命をかけてもついて来ると言う家臣は、一人もいなかった。
疑惑が晴れて、王宮に戻ってから、泣いて謝られても、冷めた自分がいたんだ。
だから僕は、家臣や民を信用する王には、なれない。
元々は、僕が王子として、力不足だと言うことさ。
ハーシェルの方が、もっと上手くやっているよ。
ハーシェルと話し合って、彼が王になり、僕が支えることで、合意したんだ。
だから、僕は、君と結婚できる。
僕は、ハーシェルとミレイア以外には、人間不信気味でね、王子には、どんなに結婚が必要だと言われても、君以外の女性が眠る横で、安眠することはないと思う。
自分の利益のために、人の人生を狂わすほどのことを、平気で行う人がいると思うと、心を許すのが怖い。
だから、君以外と、結婚できない。
すぐじゃなくていいから、僕との結婚を考えてほしい。」
幽閉された時の心の傷は、解放された後も、ジワジワと影を落とし、彼をただの輝ける王子にさせることは、二度とない。
エルベルト様の話を聞いた後では、私の答えは決まっている。
だって、どれほどエルベルト様を好きか、自分が一番わかっているのだから。
止められない思いに涙が溢れる。
大丈夫です。
エルベルト様、私が、一生あなたの心を守ります。
疑心暗鬼になってしまうあなたを、丸ごと抱きしめます。
あなたは、私のそばならば、眠れない夜も、心穏やかにいられるのでしょう。
ならば、私は、一晩中だって、あなたを抱きしめます。
だから、安心してそばにいさせてください。
「エルベルト様、私、あなたが好きです。
だから、あなたと結婚したいです。」
「本当か、ありがとう。
僕の愛するミレイア。」
そうして、手一つ触れたことのない二人は、初めて抱き合ったのだった。
その後、王宮の教会で、ハーシェルやアーサーに見守られながら、二人はひっそりと結婚した。
そして、エルベルト様は、王宮ではなく、私と二人で暮らしたいと、離宮を改築して、二人の新しい新居にした。
なので私は、妃なのに、ほとんど王宮にいる人達にも、この国の民とも会うことがない。
そんなことはないとは思うけれど、エルベルト様は、まるで私を隠すように、人に会わせようとしない。
旅行も、二人きりでいることを大切にし、いつも人のいない場所を選びがちだ。
マデリンさんが、言っていたことは、このことと関係あるのかしら。
私には、よくわからない。
彼といる限り、特に人と会いたいとも思わないので、いいのだけれど。
エルベルト様は、毎日、離宮から王宮にハーシェル様と執務できるように通っている。
だから私は、離宮に帰って来たエルベルト様が癒されるように、今日も掃除から始めるのだ。
完
70
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
白狼王の贄姫のはずが黒狼王子の番となって愛されることになりました
鳥花風星
恋愛
白狼王の生贄としてささげられた人間族の第二王女ライラは、白狼王から「生贄はいらない、第三王子のものになれ」と言われる。
第三王子レリウスは、手はボロボロでやせ細ったライラを見て王女ではなく偽物だと疑うが、ライラは正真正銘第二王女で、側妃の娘ということで正妃とその子供たちから酷い扱いを受けていたのだった。真相を知ったレリウスはライラを自分の屋敷に住まわせる。
いつも笑顔を絶やさず周囲の人間と馴染もうと努力するライラをレリウスもいつの間にか大切に思うようになるが、ライラが番かもしれないと分かるとなぜか黙り込んでしまう。
自分が人間だからレリウスは嫌なのだろうと思ったライラは、身を引く決心をして……。
両片思いからのハッピーエンドです。
【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。
たまこ
恋愛
公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。
ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。
※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
【悲報】氷の悪女と蔑まれた辺境令嬢のわたくし、冷徹公爵様に何故かロックオンされました!?~今さら溺愛されても困ります……って、あれ?
放浪人
恋愛
「氷の悪女」――かつて社交界でそう蔑まれ、身に覚えのない罪で北の辺境に追いやられた令嬢エレオノーラ・フォン・ヴァインベルク。凍えるような孤独と絶望に三年間耐え忍んできた彼女の前に、ある日突然現れたのは、帝国一冷徹と名高いアレクシス・フォン・シュヴァルツェンベルク公爵だった。
彼の目的は、荒廃したヴァインベルク領の視察。エレオノーラは、公爵の鋭く冷たい視線と不可解なまでの執拗な関わりに、「新たな不幸の始まりか」と身を硬くする。しかし、領地再建のために共に過ごすうち、彼の不器用な優しさや、時折見せる温かい眼差しに、エレオノーラの凍てついた心は少しずつ溶かされていく。
「お前は、誰よりも強く、優しい心を持っている」――彼の言葉は、偽りの悪評に傷ついてきたエレオノーラにとって、戸惑いと共に、かつてない温もりをもたらすものだった。「迷惑千万!」と思っていたはずの公爵の存在が、いつしか「心地よいかも…」と感じられるように。
過去のトラウマ、卑劣な罠、そして立ちはだかる身分と悪評の壁。数々の困難に見舞われながらも、アレクシス公爵の揺るぎない庇護と真っ直ぐな愛情に支えられ、エレオノーラは真の自分を取り戻し、やがて二人は互いにとってかけがえのない存在となっていく。
これは、不遇な辺境令嬢が、冷徹公爵の不器用でひたむきな「ロックオン(溺愛)」によって心の氷を溶かし、真実の愛と幸福を掴む、ちょっぴりじれったくて、とびきり甘い逆転ラブストーリー。
不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。
猫宮乾
恋愛
再婚した父の元、継母に幽閉じみた生活を強いられていたマリーローズ(私)は、父が没した事を契機に、結婚して出ていくように迫られる。皆よりも遅く夜会デビューし、結婚相手を探していると、第一王子のフェンネル殿下が政略結婚の話を持ちかけてくる。他に行く場所もない上、自分の未来を切り開くべく、同意したマリーローズは、その後後宮入りし、正妃になるまでは婚約者として過ごす事に。その内に、フェンネルの優しさに触れ、溺愛され、幸せを見つけていく。※pixivにも掲載しております(あちらで完結済み)。
婚約破棄されました(効率の悪い労働でした) ― 働いてない? 舞踏会は、充分重労働ですわ! ―
ふわふわ
恋愛
「働いていない?――いいえ、舞踏会も社交も重労働ですわ!」
前世で“働きすぎて壊れた”記憶を持ったまま、
異世界の公爵令嬢ルナ・ルクスとして転生したヒロイン。
生まれながらにして働く必要のない身分。
理想のスローライフが始まる――はずだった。
しかし現実は、
舞踏会、社交、芸術鑑賞、気配り、微笑み、評価、期待。
貴族社会は、想像以上の超・ブラック企業だった。
「ノブレス・オブリージュ?
それ、長時間無償労働の言い換えですわよね?」
働かないために、あえて“何もしない”を選ぶルナ。
倹約を拒み、金を回し、
孤児院さえも「未来への投資」と割り切って運営する。
やがて王都は混乱し、
なぜか彼女の領地だけが安定していく――。
称賛され、基準にされ、
善意を押し付けられ、
正義を振りかざされ、
人格まで語られる。
それでもルナは、動かない。
「期待されなくなった瞬間が、いちばん自由ですわ」
誰とも戦わず、誰も論破せず、
ただ“巻き込まれない”ことを貫いた先に待つのは、
何も起きない、静かで満たされた日常。
これは――
世界を救わない。
誰かに尽くさない。
それでも確かに幸せな、
働かない公爵令嬢の勝利の物語。
「何も起きない毎日こそ、私が選び取った結末ですわ」
悪役令嬢が王太子に掛けられた魅了の呪いを解いて、そのせいで幼児化した結果
下菊みこと
恋愛
愛する人のために頑張った結果、バブちゃんになったお話。
ご都合主義のハッピーエンドのSS。
アルファポリス様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる