たっくんがバイトをやめてくれない

月山 歩

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6.たっくんがバイトをやめない理由

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 家に帰りベッドにもぐり、しばらく泣いてた。
 ママがご飯だよって言うけど、私それどころじゃない。
 初めてたっくんとケンカした。

 そう言えば、たっくんは優しいから、私のお願いに断ったことってなかったな。
 しかも、あんなにはっきり。
 もう、たっくんなんて知らない。 

 その時グゥとお腹がなった。
 こんな時にお腹ならないでよ。
 私はたっくんとケンカして落ち込んでるの。

 1時間ぐらい、お腹ともケンカしたけど、負けてご飯食べることにする。

 ご飯を食べながら、ママにたっくんとのこと話してみる。

「たっくん、バイトやめないって言うの。

 女の子に声かけられて、やっぱりたっくんも男の子だから、嬉しいのかなぁ。」

「話してみないとわからないけど、多分違うと思うよ。」

「どうして?」

「ほら、たっくんのバイト先お弁当も売ってるでしょ。

 この団地にお年寄りの方が結構住んでいるの。
 だんだん、ご飯が自分で作れなくなって来るんだって。

 そう言う人達に弁当を配達しているのよ、あそこのお店。

 でも、最近そのお店のおばさんが膝を悪くして、階段がいっぱいの団地に運べなくなったんだって。
 それで、たっくんが代わりに運んでいるらしいよ。

 たっくんがいい子なの団地のお年寄りの人もみんな知ってるから、一人暮らしの人もたっくんだと怖くないんだって。
 知らない人来たら、怖いでしょ。
 この人泥棒だったら、どうしようって。

 でも、たっくんなら安心だし、もし、出て来なかったら、離れて暮らしてる家族の人に連絡行くようになっているんだって。

 それで、実際お部屋で転んで動けなくなってたおばあさん助けたりしてるみたいよ。
 プライバシーの問題あるからあまり知られてないけど。

 だから、たっくんはみんなのために簡単には辞めたりしないと思うな。
 ちゃんとたっくんと話してみたら?」

 ママの話は私の知らないたっくんだった。
 でも、たっくんならわかる気がする。

 そんな優しいたっくんが私は好きだったのに、一方的に怒って、たっくんの話聞かないで帰って来てしまった。

 たっくん、ごめん。
 何だか心からたっくんに謝りたくなった。
 許して、たっくん。
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