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18.湖の島
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アレシアは今日も変わらず、湖のほとりをどうすることもできずに歩いていた。
泳いで渡るには大き過ぎるし、いかだを作ったこともなければ、そのための技術もない。
それなら、小さな空き瓶にお手紙を入れて流してみるのはどうかしら?
いつか誰かがそれに気づいて、手紙を読んで、この湖を渡って助けに来てくれるかもしれない…。
わかっている。
その可能性はほぼないに等しい。
けれど、このまま何もしないよりは、できる事を試してみよう。
そうして、お手紙をしたためる。
「私がこの島に閉じ込められていること。」
「オフリー公爵へこのお手紙を渡してほしいこと。
私は彼を心から想っていて、きっと彼はこの手紙を読んだら、届けてくれたあなたを邪険にすることはないこと。」
トラヴィス様は、私のことを過去だと思っても、私の救出のために動いてくれる。
そんな優しさは、短い結婚生活で感じていた。
だから、嫌われているとわかっていても最後に頼りたいのは、やはりトラヴィス様だったし、想い浮かべるのもやはり彼だった。
離縁したいと一方的に姿を消すことで、彼の人生に傷をつけ、失望させたのもわかっている。
それでも、変わらず彼のことが好きだった。
「もし、彼が無理ならばせめて、モナンジュにお願いしたいこと。」
「願いが叶ったならば、報酬もお渡ししたいこと。」
それらを丁寧にしたため、署名した。
そのお手紙の入った瓶を十ほど流してみたけれど、時間をかけてそのほとんどが波に押し戻され、再び湖畔に戻って来てしまった。
私は落胆しながら、再びその瓶を湖に流し、穏やかな湖を見つめる。
お兄様の計画は完璧で、どんなに私が足掻こうとしても、湖を渡る方法は見つかりそうにない。
そんな私とは対照的に、彼はいつもと変わりなく、湖へ行くという私を優しく送り出し、成果がなく、夕方になりしょんぼりと帰る私に、食事を作ってくれている。
一見すれば、穏やかな兄妹の生活だけど、私はお兄様の内に潜む狂気が怖い。
今だトラヴィス様から、離縁状のサインがもらえず、私達はかろうじて兄妹のままだ。
でも、もしトラヴィス様がサインをしてしまったら、きっとお兄様は私と無理矢理結婚するだろう。
その時、ここに囚われたままの私に逃げ場などないし、助けを求めれる相手すら誰もいない。
けれど私は、どんな理由があっても、お兄様と夫婦になるなんてできないわ。
「お兄様、いつから私と結婚しようと思っていたの?」
朝食をとりながら、さりげなく聞いてみる。
「アレシアが五歳になった頃からかな。
お前もお兄様と結婚したいって言っていたんだ。
僕は二人の夢を実現したんだよ。」
「そうね。
でもそれは、子供の頃の話で、今は違うわ。
私はお兄様と兄妹でいたいの。
ねぇ、わかって。」
「アレシア、結婚して二人で生きていこう。
これまで通り、僕は君だけを大切にするから。」
もうお兄様は私と結婚するつもりで、意見を聞こうともしない。
幼い頃していた結婚の話は、私の相手をしてくれるお兄様に憧れて、口にしていただけだわ。
大人になれば、それは子供のたわいない話で終わるはずなのに、お兄様にとっては、今も変わらぬ永遠の誓いなのだろうか?
「お兄様、私ここを出て、モナンジュの二階で暮らすわ。
だから、船を出して欲しいの。」
「ダメだよ。
僕と暮らすって約束したよね?」
「でもそれは、あくまで兄妹としてだわ。
ごめんなさい、結婚はできないの。」
「できるよ。
そもそも僕達は血が繋がっていないんだから。
そのことを神に感謝してもしきれない。
やっと夢が叶うんだから。
なのに、あいつがいつまでも離縁状にサインしないんだ。
抗議してるんだけどね。」
お兄様は腹立たしげにドンドンとテーブルを叩き、その振動で食器が揺れ、ガラスと陶器がかすかにぶつかる不気味な響きを漏らす。
なのにお兄様は、そのことにも気づいていないように、ぶつぶつと聞いたことのない乱暴な言葉をつぶやいている。
お兄様がこんなふうに感情を露わにするなんて、初めてだわ。
いつも優しくて、怒りを物にぶつけたり、品のない振る舞いを見たことなんてなかった。
トラヴィス様が離縁状にサインしなければ、お兄様はますます腹を立てる。
その怒りはいつか私に向くこともあるのだろうか?
今までお兄様に嫌なことをされたことはない。
けれども、私がお兄様がこれからしようとすることに激しく抵抗したら、その時はどうなってしまうの?
その答えは、トラヴィス様が離縁状にサインした時にやってくる。
だったら、お兄様に嘘をついてでも、ここを出るしかない。
「もし、お兄様が船を出してくれたら、また戻って来るわ。
約束する。」
「ダメだよ。
アレシアは僕と一緒になると言っていたのに、オフリー公爵なんかと結婚しちゃう悪い子なんだ。」
「私の結婚を祝福してくれていたのではないの?」
その言葉にお兄様は表情を固めて、吐き捨てた。
「するはずないだろ。
だから、早く別れるように手助けしてやっていたんだ。」
今度は、お兄様は誇らしげに微笑む。
私はその様子を見て、不安に駆られつつも、聞かずにいられない。
「手助けって?」
「薬だよ。
あれは本当は子供ができないようにする薬なんだ。
子供ができてしまっていれば、オフリー公爵と離縁するのがとても大変になるからね。」
「えっ、そしたら子供ができなかったのはそのせいなの?」
「多分ね。
一度だけ飲み忘れた時があったよね。
あの時はとても焦ったよ。」
「そんな、ずっとトラヴィス様との子供が欲しかったのに、知らずに私がお薬を飲み続けたせいで子供ができなかったと言うの?
なんて酷い。」
私はお兄様から離れようと、椅子から立ち上がるが、足が震え立っていられずに、その場にしゃがみ込んだ。
そして、震えながら、両腕で自分を抱きしめる。
そうでもしないと、とても正気を保つことなんてできそうにもない。
「酷いなんて、おかしいな。
僕はアレシアのために、あの薬を三年もの間、渡し続けたんだ。
むしろ感謝するべきさ。
でも、アレシアはいつまでも子供だから、理解が追いつかないか。
うん、それでもいいんだ。
そんな床に座っていないで、さあ、こっちへおいで。
僕が抱きしめてあげる。」
そう言ってお兄様は、私に向かっていつものように両腕を広げて、私を見つめる。
「嫌よ、もう無理。
お兄様は間違っている。」
もう以前のようにお兄様の腕に抱かれるなんてできないわ。
私は必死になって、首を横に振る。
「本当に世話のやける子だね
その気まぐれなところも可愛いけれど。」
それでもお兄様は、甘い表情を崩さず、微笑む。
私はもう思考が追いつかず混乱し、両手で顔を覆った。
お兄様が私を騙して避妊薬を飲ませていたなんて。
しかも、少しも悪いことをしたと思っていない。
もうお兄様と同じ空間にいるのも、耐えられないわ。
震える足をなんとか動かして、邸を飛び出した。
とにかく、お兄様から少しでも遠くへ行かなくちゃ。
闇雲に走ると、すぐに湖畔にたどり着く。
逃げれるのは、いつも水際まで、これでは逃げたと言えないわ…。
何も知らない私とは違って、とても知識のある人だから、トラヴィス様は、あのお薬が何か知っていたのね。
だから、隠れてお薬を飲もうとする私を見て、彼は怒ったような傷ついたような表情をしていたんだわ。
私が自ら望んで、そのお薬を飲み続けていると思ったから。
やっと彼の怒りや悲しみがわかった。
彼はずっと私が子供ができるのを拒んでいたと思っていたのね。
違う、違うのに。
もう、トラヴィス様の心を取り戻すことができないのはわかっているけれど、せめてこれだけは伝えることができないかしら。
「私はトラヴィス様の子供がずっと欲しかった。」と。
それさえ伝えられたら、私はもう彼を諦めるのに。
どうして私はこんなにも無知で、トラヴィス様を傷つけたのだろうか。
お兄様の言葉を一度も疑おうともしなかった。
すべては私が原因だったのね。
トラヴィス様、ごめんなさい。
越えられない湖を前にして、私の胸の中に諦めが広がる。
そもそも、もはや私に選ぶ権利も望む未来も残されていない。
せめてここが湖の孤島でなかったら、遠くからでも彼の姿を時々見つめたいという願いも叶ったろうに。
そしたら、それを糧に生きていくこともできた。
そして、楽しみにしていたモナンジュの仕事や仲間達と、もう会えない。
長年信じていた唯一の家族すら、失ってしまった。
初めて見た時と変わらずに、キラキラと輝く湖を眺め思う。
私の心を湖に沈めることができたなら、苦しいほどの後悔と孤独から解放されるのかしら。
泳いで渡るには大き過ぎるし、いかだを作ったこともなければ、そのための技術もない。
それなら、小さな空き瓶にお手紙を入れて流してみるのはどうかしら?
いつか誰かがそれに気づいて、手紙を読んで、この湖を渡って助けに来てくれるかもしれない…。
わかっている。
その可能性はほぼないに等しい。
けれど、このまま何もしないよりは、できる事を試してみよう。
そうして、お手紙をしたためる。
「私がこの島に閉じ込められていること。」
「オフリー公爵へこのお手紙を渡してほしいこと。
私は彼を心から想っていて、きっと彼はこの手紙を読んだら、届けてくれたあなたを邪険にすることはないこと。」
トラヴィス様は、私のことを過去だと思っても、私の救出のために動いてくれる。
そんな優しさは、短い結婚生活で感じていた。
だから、嫌われているとわかっていても最後に頼りたいのは、やはりトラヴィス様だったし、想い浮かべるのもやはり彼だった。
離縁したいと一方的に姿を消すことで、彼の人生に傷をつけ、失望させたのもわかっている。
それでも、変わらず彼のことが好きだった。
「もし、彼が無理ならばせめて、モナンジュにお願いしたいこと。」
「願いが叶ったならば、報酬もお渡ししたいこと。」
それらを丁寧にしたため、署名した。
そのお手紙の入った瓶を十ほど流してみたけれど、時間をかけてそのほとんどが波に押し戻され、再び湖畔に戻って来てしまった。
私は落胆しながら、再びその瓶を湖に流し、穏やかな湖を見つめる。
お兄様の計画は完璧で、どんなに私が足掻こうとしても、湖を渡る方法は見つかりそうにない。
そんな私とは対照的に、彼はいつもと変わりなく、湖へ行くという私を優しく送り出し、成果がなく、夕方になりしょんぼりと帰る私に、食事を作ってくれている。
一見すれば、穏やかな兄妹の生活だけど、私はお兄様の内に潜む狂気が怖い。
今だトラヴィス様から、離縁状のサインがもらえず、私達はかろうじて兄妹のままだ。
でも、もしトラヴィス様がサインをしてしまったら、きっとお兄様は私と無理矢理結婚するだろう。
その時、ここに囚われたままの私に逃げ場などないし、助けを求めれる相手すら誰もいない。
けれど私は、どんな理由があっても、お兄様と夫婦になるなんてできないわ。
「お兄様、いつから私と結婚しようと思っていたの?」
朝食をとりながら、さりげなく聞いてみる。
「アレシアが五歳になった頃からかな。
お前もお兄様と結婚したいって言っていたんだ。
僕は二人の夢を実現したんだよ。」
「そうね。
でもそれは、子供の頃の話で、今は違うわ。
私はお兄様と兄妹でいたいの。
ねぇ、わかって。」
「アレシア、結婚して二人で生きていこう。
これまで通り、僕は君だけを大切にするから。」
もうお兄様は私と結婚するつもりで、意見を聞こうともしない。
幼い頃していた結婚の話は、私の相手をしてくれるお兄様に憧れて、口にしていただけだわ。
大人になれば、それは子供のたわいない話で終わるはずなのに、お兄様にとっては、今も変わらぬ永遠の誓いなのだろうか?
「お兄様、私ここを出て、モナンジュの二階で暮らすわ。
だから、船を出して欲しいの。」
「ダメだよ。
僕と暮らすって約束したよね?」
「でもそれは、あくまで兄妹としてだわ。
ごめんなさい、結婚はできないの。」
「できるよ。
そもそも僕達は血が繋がっていないんだから。
そのことを神に感謝してもしきれない。
やっと夢が叶うんだから。
なのに、あいつがいつまでも離縁状にサインしないんだ。
抗議してるんだけどね。」
お兄様は腹立たしげにドンドンとテーブルを叩き、その振動で食器が揺れ、ガラスと陶器がかすかにぶつかる不気味な響きを漏らす。
なのにお兄様は、そのことにも気づいていないように、ぶつぶつと聞いたことのない乱暴な言葉をつぶやいている。
お兄様がこんなふうに感情を露わにするなんて、初めてだわ。
いつも優しくて、怒りを物にぶつけたり、品のない振る舞いを見たことなんてなかった。
トラヴィス様が離縁状にサインしなければ、お兄様はますます腹を立てる。
その怒りはいつか私に向くこともあるのだろうか?
今までお兄様に嫌なことをされたことはない。
けれども、私がお兄様がこれからしようとすることに激しく抵抗したら、その時はどうなってしまうの?
その答えは、トラヴィス様が離縁状にサインした時にやってくる。
だったら、お兄様に嘘をついてでも、ここを出るしかない。
「もし、お兄様が船を出してくれたら、また戻って来るわ。
約束する。」
「ダメだよ。
アレシアは僕と一緒になると言っていたのに、オフリー公爵なんかと結婚しちゃう悪い子なんだ。」
「私の結婚を祝福してくれていたのではないの?」
その言葉にお兄様は表情を固めて、吐き捨てた。
「するはずないだろ。
だから、早く別れるように手助けしてやっていたんだ。」
今度は、お兄様は誇らしげに微笑む。
私はその様子を見て、不安に駆られつつも、聞かずにいられない。
「手助けって?」
「薬だよ。
あれは本当は子供ができないようにする薬なんだ。
子供ができてしまっていれば、オフリー公爵と離縁するのがとても大変になるからね。」
「えっ、そしたら子供ができなかったのはそのせいなの?」
「多分ね。
一度だけ飲み忘れた時があったよね。
あの時はとても焦ったよ。」
「そんな、ずっとトラヴィス様との子供が欲しかったのに、知らずに私がお薬を飲み続けたせいで子供ができなかったと言うの?
なんて酷い。」
私はお兄様から離れようと、椅子から立ち上がるが、足が震え立っていられずに、その場にしゃがみ込んだ。
そして、震えながら、両腕で自分を抱きしめる。
そうでもしないと、とても正気を保つことなんてできそうにもない。
「酷いなんて、おかしいな。
僕はアレシアのために、あの薬を三年もの間、渡し続けたんだ。
むしろ感謝するべきさ。
でも、アレシアはいつまでも子供だから、理解が追いつかないか。
うん、それでもいいんだ。
そんな床に座っていないで、さあ、こっちへおいで。
僕が抱きしめてあげる。」
そう言ってお兄様は、私に向かっていつものように両腕を広げて、私を見つめる。
「嫌よ、もう無理。
お兄様は間違っている。」
もう以前のようにお兄様の腕に抱かれるなんてできないわ。
私は必死になって、首を横に振る。
「本当に世話のやける子だね
その気まぐれなところも可愛いけれど。」
それでもお兄様は、甘い表情を崩さず、微笑む。
私はもう思考が追いつかず混乱し、両手で顔を覆った。
お兄様が私を騙して避妊薬を飲ませていたなんて。
しかも、少しも悪いことをしたと思っていない。
もうお兄様と同じ空間にいるのも、耐えられないわ。
震える足をなんとか動かして、邸を飛び出した。
とにかく、お兄様から少しでも遠くへ行かなくちゃ。
闇雲に走ると、すぐに湖畔にたどり着く。
逃げれるのは、いつも水際まで、これでは逃げたと言えないわ…。
何も知らない私とは違って、とても知識のある人だから、トラヴィス様は、あのお薬が何か知っていたのね。
だから、隠れてお薬を飲もうとする私を見て、彼は怒ったような傷ついたような表情をしていたんだわ。
私が自ら望んで、そのお薬を飲み続けていると思ったから。
やっと彼の怒りや悲しみがわかった。
彼はずっと私が子供ができるのを拒んでいたと思っていたのね。
違う、違うのに。
もう、トラヴィス様の心を取り戻すことができないのはわかっているけれど、せめてこれだけは伝えることができないかしら。
「私はトラヴィス様の子供がずっと欲しかった。」と。
それさえ伝えられたら、私はもう彼を諦めるのに。
どうして私はこんなにも無知で、トラヴィス様を傷つけたのだろうか。
お兄様の言葉を一度も疑おうともしなかった。
すべては私が原因だったのね。
トラヴィス様、ごめんなさい。
越えられない湖を前にして、私の胸の中に諦めが広がる。
そもそも、もはや私に選ぶ権利も望む未来も残されていない。
せめてここが湖の孤島でなかったら、遠くからでも彼の姿を時々見つめたいという願いも叶ったろうに。
そしたら、それを糧に生きていくこともできた。
そして、楽しみにしていたモナンジュの仕事や仲間達と、もう会えない。
長年信じていた唯一の家族すら、失ってしまった。
初めて見た時と変わらずに、キラキラと輝く湖を眺め思う。
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