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第七節
何もない(2)
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霧は、私の足元を冷やす。
迫り来る白い霧の壁。
この霧の中に悪魔が居るだろう。
悪魔はまだかと期待が膨らむ。
思わず、にやりと笑みを作った。
鼓動は高鳴り、高揚感から息が上がる。
霧は私の足元を隠した。
見る見るうちに、膝、腰、腕を白く隠した。
手元が見えなくなった。
しかし、ここで、演奏を間違える事は出来ない。
指の腹の感覚に集中する。
不意に、曲の速さが増しているのを感じた。
慌てるな。
視界で捉えられない指を感覚で従わせる。
その時、ひとつ、押さえる弦を間違える。
再び演奏を始めようとしても、指がどの弦に置いているのかがわからなかった。
演奏を続けるのはもう難しかった。
私はギターをおろした。
私の周囲は真っ白に覆われていた。
何も見えない。
妻も娘も皆も霧に飲み込まれ、姿が見えない。
白を認識しているのか、それとも、視力を失ったのかすらわからない。
今、レストランに居ると認識しているのは、レストランに居た記憶があるだけ。
その記憶が無ければ、どこに居るのかさえ、わからない。
次第に自らの記憶を疑い始める。
そうだ。
このまま、レストランに来た記憶すら無くなれば、また、普段の生活戻るのではないか。
ならば、これは、夢だったと認識すれば良いのだ。
脳は脳のよりどころを探していた。
しかし、ふと思った。
私は生きているのか?
真っ白の中では、私の影すら映らない。
鏡も水溜りもガラスも無くて、自らを認識できない。
誰も居なければ、私は生きていると認識する手段がわからなかった。
迫り来る白い霧の壁。
この霧の中に悪魔が居るだろう。
悪魔はまだかと期待が膨らむ。
思わず、にやりと笑みを作った。
鼓動は高鳴り、高揚感から息が上がる。
霧は私の足元を隠した。
見る見るうちに、膝、腰、腕を白く隠した。
手元が見えなくなった。
しかし、ここで、演奏を間違える事は出来ない。
指の腹の感覚に集中する。
不意に、曲の速さが増しているのを感じた。
慌てるな。
視界で捉えられない指を感覚で従わせる。
その時、ひとつ、押さえる弦を間違える。
再び演奏を始めようとしても、指がどの弦に置いているのかがわからなかった。
演奏を続けるのはもう難しかった。
私はギターをおろした。
私の周囲は真っ白に覆われていた。
何も見えない。
妻も娘も皆も霧に飲み込まれ、姿が見えない。
白を認識しているのか、それとも、視力を失ったのかすらわからない。
今、レストランに居ると認識しているのは、レストランに居た記憶があるだけ。
その記憶が無ければ、どこに居るのかさえ、わからない。
次第に自らの記憶を疑い始める。
そうだ。
このまま、レストランに来た記憶すら無くなれば、また、普段の生活戻るのではないか。
ならば、これは、夢だったと認識すれば良いのだ。
脳は脳のよりどころを探していた。
しかし、ふと思った。
私は生きているのか?
真っ白の中では、私の影すら映らない。
鏡も水溜りもガラスも無くて、自らを認識できない。
誰も居なければ、私は生きていると認識する手段がわからなかった。
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