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第七節
何もない(5)
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「悪魔さん、早く、私を殺してください」
私は言った。
力一杯に言い放ったはずが、よろよろと、か細い。
「警察です」
その男性は言う。
「悪魔さん、もう正直に言ってください。早く妻と娘のもとへ行かなくちゃいけないんです」
「警察ですよ、もう安心してください」
「警察?」
「そうです、警察です。気を確かに」
警察官がここに居る?
助けに来た?
私は助かる?
「一名、生存者確認。衰弱している。今すぐ救護を」
警察官は、無線で話す。
間もなくして、複数人の警察官が店内に入ってきた。
その後に続いて、救急隊員が来た。
救急隊員は、私を半ば強制にタンカーへ乗せた。
私は、すかさず暴れて、タンカーから、落ちた。
床に尻餅をついたまま、集まった救急隊員や警察官を見上げる。
「私、助かる?」
私は言った。
「はい、もう大丈夫ですよ」
この先も生きてしまう絶望感が押し寄せる。
「だめだよ! 殺してくれ。妻と娘が待ってるんだ」
私は、救急隊員に願う。
しかし、救急隊員は、私を救う為に、なだめようとする。
私は、乱暴に救急隊員の手を振り払う。
「あー!」
その絶望感が、体の中でぐつぐつと煮えたぎり、口から溢れ出るように、叫ぶ。
生きたいなんて頼んでいない。
死にたいんだ。
しかし、私を助けようとしてくれる。
ここが地獄か。
私は言った。
力一杯に言い放ったはずが、よろよろと、か細い。
「警察です」
その男性は言う。
「悪魔さん、もう正直に言ってください。早く妻と娘のもとへ行かなくちゃいけないんです」
「警察ですよ、もう安心してください」
「警察?」
「そうです、警察です。気を確かに」
警察官がここに居る?
助けに来た?
私は助かる?
「一名、生存者確認。衰弱している。今すぐ救護を」
警察官は、無線で話す。
間もなくして、複数人の警察官が店内に入ってきた。
その後に続いて、救急隊員が来た。
救急隊員は、私を半ば強制にタンカーへ乗せた。
私は、すかさず暴れて、タンカーから、落ちた。
床に尻餅をついたまま、集まった救急隊員や警察官を見上げる。
「私、助かる?」
私は言った。
「はい、もう大丈夫ですよ」
この先も生きてしまう絶望感が押し寄せる。
「だめだよ! 殺してくれ。妻と娘が待ってるんだ」
私は、救急隊員に願う。
しかし、救急隊員は、私を救う為に、なだめようとする。
私は、乱暴に救急隊員の手を振り払う。
「あー!」
その絶望感が、体の中でぐつぐつと煮えたぎり、口から溢れ出るように、叫ぶ。
生きたいなんて頼んでいない。
死にたいんだ。
しかし、私を助けようとしてくれる。
ここが地獄か。
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