僕の街はおかしい

パン粉

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第1話

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僕の街は少しおかしいのかもしれない。

数年前、危ないからとジャングルジムが消えた。
包丁は全て子どもが使うようなものだし、シャーペンだって握らない。

幼稚園の頃、この街はこんなに規制されていなかったはずだ。
おかしくなっていったのは多分小学生ぐらいからだろう。
実際あまり覚えてない。

国から、なんか手紙が来て、街からどんどん危ないとされるものが消えていった。



初めて、この制度を知ったのは小学生の時の道徳の時間。

「今日は感情互換について学んでいくぞー」

「せんせーいなにそれ~」

「みんなは、友達に嫌なことをされたら嫌だと思うよね?誰かが死んじゃったらかなしいとおもうよね?

これは喜怒哀楽のうちの哀。つまり悲しいってことだよ。

じゃぁ次に、自分が大切にしてたものが盗まれたり壊されたりしたらどう思うかな?」

「なんで!って思う!」

「そうだよね。それは怒りから来るものだよきっと。それが喜怒哀楽の怒。

この2つの感情はどっちも嫌だと感じるよね?
これらの感情が大きくなると人を殴ったり、相手にも嫌なことをしたりしちゃうんだよ。

だからね、僕達はそういうのを
に入れちゃいます。
でもね、入れてもちゃんと無くさないといけないんだよ。
もし入れ過ぎちゃうと、大変なことになるからね。

分かったかな?まだ君たちには難しいかもしれないけど、この授業は毎年あるからね。いつか分かるようになるよ。」


「はーい」



こんな感じの授業を毎年受ける。
今でこそ分かるものの、小学生の時は嫌だなって思うことはバイバイぐらいにしか思っていなかった。

だが、未だに使いこなせはしない。

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