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後日談
11 体力、精力、持久力 *
「あおと……たい、りょく……ふえたな……」
がさがさ声で呟くと、旋毛に労わるような口づけが降りてきた。目の端に青王の瑞々しい碧い髪が映り込む。
「ん、でしょ? 誰かさんに言われて、すっごく努力したんだから。……それに自分の体力がどれほどかも正確に把握してるから、適切な配分で長く、ながーく動き続けられるんだよね」
「……ぐ……」
「翡燕には感謝してる。あの助言のお陰で、こうして長い時間あなたを可愛がれるんだから。じわじわゆーっくりね」
「……っ! お、おま……んむっ⁉」
唇に細い指が押し当てられ、口内に指が侵入してくる。歯を合わせて拒むと、叱るように耳を食まれた。
ぬらりと耳輪を弄られ「あ」と情けない声が漏れる。その隙を縫って青王の指が二本、口内へと入ってきた。縮こまる暇もなく、長い指に舌が絡めとられる。
「……んぁ、んぅ……っ」
「かぁーあいい。翡燕のべろ、すっごく柔らかくて小さいんだよねぇ。いーっぱい可愛がってあげたから、どこもかしこも気持ちいいでしょ? 違う?」
「……んんぅ! ……ぁがぅッ!」
「違うの? へぇ? ……かぁわいい。なるほどね。僕と他の王との違い、また身を持って知りたくなった?」
「……ッ!」
小さくかぶりを振ると、指がさらに奥へと入ってきた。じゅぶ、という淫猥な音に耳の内側から犯される。
先ほどまで弄られ続けていた身体が、思い出したかのように熱く揺らいでいく。
上あごの裏を撫でられると、背筋が痺れる感覚がじわりと浮き上がってきた。
「ん……ふ、んぁ……」
「どうせあいつら、翡燕のことガツガツ食うんでしょ? 欲望のまま突き進んでさ、翡燕が意識飛ばしちゃうんじゃない? そんなこと僕はしない。てか寝かせない。ぎりぎりのとこ責めて、ながーく長く味わう。だってこんな美味しいご馳走ないよ?」
「……っぁ、や、あぇ、」
口の端から唾液が垂れ、口内の刺激で涙が零れる。
またかぶりを振ってみたが、それも青王にとっては嗜虐心を煽る材料に過ぎないのだろう。尻の下にあるがちがちに硬くなったものが、彼の昂ぶりをこれでもかと主張してくる。
しかしもう翡燕は限界だった。体力馬鹿に付き合って、昨日は一睡もしていない。現に翡燕の中心はくたりと倒れたままで、復活の兆しはない。後孔もぽってりと感覚がなかった。
(……しんどい、眠りたい、寝台に行きたい、これ以上は死ぬ……)
口内にある指のせいか、それとも別の理由か。
涙が大量に湧いてきて、ぼろぼろとこめかみや頬を滑り落ちていく。すると口内にあった指がぴたりと止まり、青王の静かな溜息が聞こえて来た。
「……なーんて。翡燕が限界なのは判ってるよ。ここで突き進んだら、あいつらと一緒じゃん。ね?」
青王は指をゆっくりと抜き、翡燕の身体を横抱きに抱え込んだ。ざぶりと湯が大きく跳ね、二人の身体の間に小波が起こる。
翡燕は肩で呼吸を繰り返しながら、青王を見上げた。しみ一つ見当たらない白磁の肌、透き通るような青の瞳。相変わらずの美貌に頭がくらくらする。
こちらを見下ろす瞳は慈愛に満ちていて、さながら聖母のようだ。そして青王が行為を止めてくれそうな雰囲気に、翡燕は安堵と共に頬を緩ませる。
「……あおと……せいちょう、したな……」
「うん。だからあと一回だけ、ね?」
「え?」
「お風呂上がろう? 寝台でもう一回」
有無を言わさず風呂から引き上げられ、翡燕の身体は軽く抱き上げられる。青王は翡燕の身体を片手で保持しながら、置いてあった浴巾へと手を伸ばした。
体勢が不安定になり、翡燕は思わず青王の首へと腕を回す。しかしそれがいけなかった。
青王の喉が、ごきゅりと不穏な音をたてる。
「あ~……やっぱだめ。かわいすぎ、もう無理」
「うん?」
「翡燕が悪い」
向かい合ったまま壁に身体を押し付けられ、後孔に昂りが押し当てられる。
身構える間もなかった。柔らかいままの内壁は、がちがちに硬くなった肉塊を拒むことなく受け入れてしまう。
「っあ、あ、ま……っ」
「……わぁ、大歓迎されてる。翡燕のここ、吸いついてくるよ」
「……っ! ふざけ、っあぁッ!」
肚の奥を突かれる圧迫感は、どれだけ身体を重ねても慣れることはない。しかし快感を拾い上げる術は、もう身体に染み付いてしまっていた。感覚がなかったはずの後孔に、甘い痺れが蘇ってくる。
翡燕は壁に後頭部を押し当て、襲い来る感覚に必死で抗う。青王は翡燕の腰を掴むと、艶を含んだ声で言い放つ。
「だぁめ、翡燕。縋るのはぼくでしょ? しっかり掴まってて」
「……っぅんッ! ぁあ、あっ」
壁から引き剥がされ、支えの無くなった身体の重みで繋がりが深くなる。奥へと進む剛直から逃れたくて、翡燕は必死で青王の首へと縋った。
肩にふわりと浴巾の感触がして、包み込むように抱き込まれる。
「さぁ、寝台に移動するよ。ほら翡燕、もっと脚を絡ませて」
「……ん、んぁ……や、ぁッ」
翡燕とて、これ以上ずり落ちたくない。しかし青王の身体も翡燕の身体も濡れていて、脚を絡ませようとしても滑ってしまう。
ただでさえ力が入らないのだ。しかもつるりと滑るたびに剛直が内壁を割り、奥への侵入を許してしまう。
翡燕はただ、逃げ場の無い快楽に身を震わせるしかない。気が狂いそうだった。
「……お、ろせ……っあぁ!」
「だーめ。床の上に翡燕を組み敷けるわけないじゃん。寝台まで待って、ね?」
「ちが、あぁっ、あ……っ!」
『違う、今すぐ抜け』
その懇願は嬌声にかき消された。青王が歩を進めたことで肉塊が内部で蠢き、与えられる刺激が大きくなる。我知らず締め付けたのか、青王の吐息が熱くなった。
翡燕の腰にあった手に力が籠り、更に昂りを押し付けられる。
「っひッ⁉ あ、あぁあッ」
「あー……かわいい。好き、たまんない」
青王は片手で翡燕の腰を支え、残った腕は翡燕の右脚の膝裏へと差し込んだ。それを腕に引っかけ、更に腰を押し付ける。
強烈な疼きが身体を駆け抜け、翡燕は必死に青王の背中へ縋りついた。その機を見計らい、青王は残った脚も抱え込んでしまう。
脚を大きく開いた状態で最奥を穿かれ、翡燕は喉を晒しながら声を上げた。
「っあぁぁッ……! んや、ぁあ、あ、あッ」
「なか、うねってる……っいっぱいイって良いからね」
「……ぁう、あ、あっ」
もう吐き出すものなど残ってはいない。ただ茹るような熱さだけが体内で蠢く。
ずっと続いていた情事のせいか、中で達する感覚がずっと続いている。最早どこか高みなのかも分からない。
終わりの見えない快感は苦行に近い。この状況から脱しなければ、終わらなければ、本当に壊れてしまう。
しかし助けてくれる相手は、この身を快感へと引きずり込んでいる目の前の男しかいない。
「っあ、っお、……と、あおとッ」
「ん?」
「……は、ぁく、はや、くぅ」
「……はぁ、かわいすぎ。……ん、よくできました」
唇を塞がれるとともに、肚の奥にかっと熱さが広がる。
精を吐き出している間も、青王の腰は止まらなかった。内壁に擦りつけるようにして昂りを動かし、そしてゆっくりと身を屈める。
もう限界だった翡燕は、腕の力を解いて脱力した。その身体を受け止めたのは柔らかな寝台だ。
青王が甘い吐息をついて、翡燕の頬へ指を這わせる。
「到着。寝台だよ。よく頑張ったね、翡燕」
「……おま、え…………この……ぉ、ぼ……」
「うん、覚えておくよ。……無理させてごめんね」
眉を下げて謝罪を述べられれば、たちまち抱えていた怒りが消えてしまう。翡燕は何よりこの表情に弱いのだ。
優しく髪を梳かれ、瞼が落ちていく。後始末は何もかも投げ出して、翡燕は寝台へと沈み込んだ。
がさがさ声で呟くと、旋毛に労わるような口づけが降りてきた。目の端に青王の瑞々しい碧い髪が映り込む。
「ん、でしょ? 誰かさんに言われて、すっごく努力したんだから。……それに自分の体力がどれほどかも正確に把握してるから、適切な配分で長く、ながーく動き続けられるんだよね」
「……ぐ……」
「翡燕には感謝してる。あの助言のお陰で、こうして長い時間あなたを可愛がれるんだから。じわじわゆーっくりね」
「……っ! お、おま……んむっ⁉」
唇に細い指が押し当てられ、口内に指が侵入してくる。歯を合わせて拒むと、叱るように耳を食まれた。
ぬらりと耳輪を弄られ「あ」と情けない声が漏れる。その隙を縫って青王の指が二本、口内へと入ってきた。縮こまる暇もなく、長い指に舌が絡めとられる。
「……んぁ、んぅ……っ」
「かぁーあいい。翡燕のべろ、すっごく柔らかくて小さいんだよねぇ。いーっぱい可愛がってあげたから、どこもかしこも気持ちいいでしょ? 違う?」
「……んんぅ! ……ぁがぅッ!」
「違うの? へぇ? ……かぁわいい。なるほどね。僕と他の王との違い、また身を持って知りたくなった?」
「……ッ!」
小さくかぶりを振ると、指がさらに奥へと入ってきた。じゅぶ、という淫猥な音に耳の内側から犯される。
先ほどまで弄られ続けていた身体が、思い出したかのように熱く揺らいでいく。
上あごの裏を撫でられると、背筋が痺れる感覚がじわりと浮き上がってきた。
「ん……ふ、んぁ……」
「どうせあいつら、翡燕のことガツガツ食うんでしょ? 欲望のまま突き進んでさ、翡燕が意識飛ばしちゃうんじゃない? そんなこと僕はしない。てか寝かせない。ぎりぎりのとこ責めて、ながーく長く味わう。だってこんな美味しいご馳走ないよ?」
「……っぁ、や、あぇ、」
口の端から唾液が垂れ、口内の刺激で涙が零れる。
またかぶりを振ってみたが、それも青王にとっては嗜虐心を煽る材料に過ぎないのだろう。尻の下にあるがちがちに硬くなったものが、彼の昂ぶりをこれでもかと主張してくる。
しかしもう翡燕は限界だった。体力馬鹿に付き合って、昨日は一睡もしていない。現に翡燕の中心はくたりと倒れたままで、復活の兆しはない。後孔もぽってりと感覚がなかった。
(……しんどい、眠りたい、寝台に行きたい、これ以上は死ぬ……)
口内にある指のせいか、それとも別の理由か。
涙が大量に湧いてきて、ぼろぼろとこめかみや頬を滑り落ちていく。すると口内にあった指がぴたりと止まり、青王の静かな溜息が聞こえて来た。
「……なーんて。翡燕が限界なのは判ってるよ。ここで突き進んだら、あいつらと一緒じゃん。ね?」
青王は指をゆっくりと抜き、翡燕の身体を横抱きに抱え込んだ。ざぶりと湯が大きく跳ね、二人の身体の間に小波が起こる。
翡燕は肩で呼吸を繰り返しながら、青王を見上げた。しみ一つ見当たらない白磁の肌、透き通るような青の瞳。相変わらずの美貌に頭がくらくらする。
こちらを見下ろす瞳は慈愛に満ちていて、さながら聖母のようだ。そして青王が行為を止めてくれそうな雰囲気に、翡燕は安堵と共に頬を緩ませる。
「……あおと……せいちょう、したな……」
「うん。だからあと一回だけ、ね?」
「え?」
「お風呂上がろう? 寝台でもう一回」
有無を言わさず風呂から引き上げられ、翡燕の身体は軽く抱き上げられる。青王は翡燕の身体を片手で保持しながら、置いてあった浴巾へと手を伸ばした。
体勢が不安定になり、翡燕は思わず青王の首へと腕を回す。しかしそれがいけなかった。
青王の喉が、ごきゅりと不穏な音をたてる。
「あ~……やっぱだめ。かわいすぎ、もう無理」
「うん?」
「翡燕が悪い」
向かい合ったまま壁に身体を押し付けられ、後孔に昂りが押し当てられる。
身構える間もなかった。柔らかいままの内壁は、がちがちに硬くなった肉塊を拒むことなく受け入れてしまう。
「っあ、あ、ま……っ」
「……わぁ、大歓迎されてる。翡燕のここ、吸いついてくるよ」
「……っ! ふざけ、っあぁッ!」
肚の奥を突かれる圧迫感は、どれだけ身体を重ねても慣れることはない。しかし快感を拾い上げる術は、もう身体に染み付いてしまっていた。感覚がなかったはずの後孔に、甘い痺れが蘇ってくる。
翡燕は壁に後頭部を押し当て、襲い来る感覚に必死で抗う。青王は翡燕の腰を掴むと、艶を含んだ声で言い放つ。
「だぁめ、翡燕。縋るのはぼくでしょ? しっかり掴まってて」
「……っぅんッ! ぁあ、あっ」
壁から引き剥がされ、支えの無くなった身体の重みで繋がりが深くなる。奥へと進む剛直から逃れたくて、翡燕は必死で青王の首へと縋った。
肩にふわりと浴巾の感触がして、包み込むように抱き込まれる。
「さぁ、寝台に移動するよ。ほら翡燕、もっと脚を絡ませて」
「……ん、んぁ……や、ぁッ」
翡燕とて、これ以上ずり落ちたくない。しかし青王の身体も翡燕の身体も濡れていて、脚を絡ませようとしても滑ってしまう。
ただでさえ力が入らないのだ。しかもつるりと滑るたびに剛直が内壁を割り、奥への侵入を許してしまう。
翡燕はただ、逃げ場の無い快楽に身を震わせるしかない。気が狂いそうだった。
「……お、ろせ……っあぁ!」
「だーめ。床の上に翡燕を組み敷けるわけないじゃん。寝台まで待って、ね?」
「ちが、あぁっ、あ……っ!」
『違う、今すぐ抜け』
その懇願は嬌声にかき消された。青王が歩を進めたことで肉塊が内部で蠢き、与えられる刺激が大きくなる。我知らず締め付けたのか、青王の吐息が熱くなった。
翡燕の腰にあった手に力が籠り、更に昂りを押し付けられる。
「っひッ⁉ あ、あぁあッ」
「あー……かわいい。好き、たまんない」
青王は片手で翡燕の腰を支え、残った腕は翡燕の右脚の膝裏へと差し込んだ。それを腕に引っかけ、更に腰を押し付ける。
強烈な疼きが身体を駆け抜け、翡燕は必死に青王の背中へ縋りついた。その機を見計らい、青王は残った脚も抱え込んでしまう。
脚を大きく開いた状態で最奥を穿かれ、翡燕は喉を晒しながら声を上げた。
「っあぁぁッ……! んや、ぁあ、あ、あッ」
「なか、うねってる……っいっぱいイって良いからね」
「……ぁう、あ、あっ」
もう吐き出すものなど残ってはいない。ただ茹るような熱さだけが体内で蠢く。
ずっと続いていた情事のせいか、中で達する感覚がずっと続いている。最早どこか高みなのかも分からない。
終わりの見えない快感は苦行に近い。この状況から脱しなければ、終わらなければ、本当に壊れてしまう。
しかし助けてくれる相手は、この身を快感へと引きずり込んでいる目の前の男しかいない。
「っあ、っお、……と、あおとッ」
「ん?」
「……は、ぁく、はや、くぅ」
「……はぁ、かわいすぎ。……ん、よくできました」
唇を塞がれるとともに、肚の奥にかっと熱さが広がる。
精を吐き出している間も、青王の腰は止まらなかった。内壁に擦りつけるようにして昂りを動かし、そしてゆっくりと身を屈める。
もう限界だった翡燕は、腕の力を解いて脱力した。その身体を受け止めたのは柔らかな寝台だ。
青王が甘い吐息をついて、翡燕の頬へ指を這わせる。
「到着。寝台だよ。よく頑張ったね、翡燕」
「……おま、え…………この……ぉ、ぼ……」
「うん、覚えておくよ。……無理させてごめんね」
眉を下げて謝罪を述べられれば、たちまち抱えていた怒りが消えてしまう。翡燕は何よりこの表情に弱いのだ。
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