55 / 59
55
*
いったいどうしたと言うのか。
ルキウスの執務室で、ロジェはひとり唸っていた。
目の前には立派な机があり、備えられた執務道具は一級品だ。これらは全てロジェの為に用意された物であるという。
今までは応接机で事務作業をしていたため、ロジェ専用の机と言うものは無かった。道具は最低限のものを持参して、ルキウスの執務室で仕事をしていたのだ。
しかし今、ぴっかぴかの机には、いかにも柔らかそうな椅子が備えられている。
座ると、信じられないほどの柔らかさに包まれた。こんなものに座って仕事をすれば、居眠り止む無しである。
ルキウスの近くに立つザザドが、ロジェへ向けて呆れた表情を浮かべる。
「え? アースターさんは結局、荷物を取りに行けなかったんですか?」
「ええ。居室に行く前に閣下からここへ連行されまして……」
「暫くはここの仮眠室を使え。鍵もかかる。身の回りの物は全て用意してやる。問題あるか? ないな」
「…………」
もはや拒否権などないような口ぶりに、ロジェは黙り込むしかない。
ルキウスの様子がどうもおかしいと気付いたのは、先ほど強制連行された時からだ。
馬に乗せられた後は、まるで壊れ物を扱うかのように運搬された。以前との変わりようと言ったらない。
デレ満載の優しさに包まれて、情緒が爆発するかと思った。
黙り込んでしまったロジェを気遣ってか、ルキウスが書類から顔を上げる。
「……心配しなくても、身体が治れば居室に行かせてやる。数日だけ我慢しろ」
「えっと、はい……」
「今日はもう休め」
「え? 俺、もう働けますよ。こんなに良い環境を用意して貰ったのに……」
昨日は晩餐会で一日が潰れてしまったので、仕事が溜まっているはずだ。
机の上の書類に手を伸ばすと、ルキウスからその場を凍り付かせそうな舌打ちが飛んできた。先ほどの態度からすれば、温度差がありすぎて風邪を引きそうだ。
「馬鹿猫。また連行してやろうか?」
「いやっ、遠慮しておきます……!」
さっと手を引っ込め、ロジェは口を引き結ぶ。同時に、執務室の扉が叩かれ、ルトルクが顔を出した。
相変わらず眠そうな眼だが、今日は少しばかり表情が強張っているように見えた。
ルトルクはルキウスの前まで進み、書類を差し出す。
「……ロジェ・ウォーレンの、件、です」
「……っ⁉」
どくり、と心臓が激しく鳴る。跳ね上がりそうになった身体を、ロジェは咄嗟に抑え込んだ。
ばくばく暴れ続ける心臓の音を聞きながら、ルトルクの言葉を脳内で反芻する。
ロジェ・ウォーレン。
彼は確かにそう言った。掠れて聞き取りにくい声だったが、確かに聞こえた。
「早かったな」
ルキウスが当たり前のように書類を受け取り、ロジェは更に追い詰められた。
どうして。どういうことだ。
混乱に吞まれたロジェが息を詰めていると、ザザドが眉根を寄せた。
「殿下。まさかお調べになるおつもりですか?」
「ああ。彼がもし生きていれば、記憶や感情を呼び起すきっかけになるかもしれん」
「……彼に会うことで、何か弊害があるかもしれませんよ。それに……」
ザザドの視線が、ロジェへと向けられる。
その視線が何を意味しているのか、混乱しているロジェには分からなかった。
ただ、ザザドの視線にはこちらを労わるような気遣いが感じられる。
「殿下にはもう、必要ないのでは? 以前と比べ、随分と感情も豊かになりましたし……」
「いや……だからこそ最近は、もどかしく思う事が多い。感情が不完全なことが以前よりも弊害になっている」
「しかし……」
難色を示すザザドを置いて、ルキウスは書類に目を通した。緑の眼がゆっくりと文字を辿り、睫毛が少しだけ下がる。
「……なるほど。やはりウォーレン家でロジェは亡くなったことになっているのか。……となると、あの噂が気になるな」
「スヴェラお嬢様の話を信じるつもりですか?」
「もちろん鵜呑みにする訳じゃない。警戒すべき部分も大いにある」
(……やっぱり、スヴェラ嬢が絡んでたか……。何のつもりだ……?)
16年前の悲劇によって、多くの若者が命を落とした。ほとんどの遺体は損傷が激しく、家族の元に帰ってきた遺体は極僅かだと聞く。
例に漏れず、ロジェも事件当初は遺体が発見されず、『行方不明』とされていた。
生存を信じて何年も捜索した遺族も多いが、しかしロジェの実家は息子の死を直ぐに受け入れたらしい。
早々に死亡届を提出し、彼らは多額の弔慰金を手に入れた。いるかいないか分からなかった妾腹の子が、初めて役に立ったぐらいにしか思っていないだろう。
実家の者らはロジェを死んだと思っている。そしてロジェも実質いなくなり、シン・アースターとなった。
そんな状態でなぜ、ロジェが生きているという噂が流れているのか。
「死んだことにして、別人として生きているかもしれないな」
ルキウスの言葉に、ロジェの思考が止まった。背中を流れていく汗の感触が、更に緊張感を煽る。
王都に出向すると決めた時から、ロジェはあらゆる事態を想定して準備してきた。
シン・アースターが素性を偽っているとバレた場合や、ルキウスが万が一ロジェを思い出した場合など。事前に可能性を洗い出し、それらに対策できるように足元は固めてある。
しかし今の状況は、全くの想定外だった。16年間誰も目を向けなかった『ロジェ・ウォーレン』の情報が第三者からもたらされるなんて思わなかったのだ。
「と、なると……そうせざるを得なかった理由があるはずだ。……重傷を負って、どこかに匿われたか、もしくは事件の衝撃で記憶を失ったという可能性もある」
「しかしもう16年前ですよ? 長い年月です」
「確かに16年は長い。……だが俺のように、未だに呪いを背負っている者はいる」
今にも「やめてくれ」と叫び出しそうになって、ロジェは唇を噛み締めた。
このまま調べが続いて、自分がロジェ・ウォーレンだと露見してしまえば、確実に事態は拗れてしまうだろう。
しかしロジェは今、自身が焦燥感よりも深い悲しみに襲われていることに驚いていた。
ルキウスが『ロジェ・ウォーレン』を他人事のように語ることが、これほど辛いなんて思わなかったのだ。
もうロジェの記憶が無いのは分かっている。感情に左右されずこれからの事を冷静に考えるべきだ。分かっているのに、思考は情にかき回されて使い物にならない。
ルキウスが淡々と言葉を続ける。
「そいつが死んでいるか生きているか分からないが、調べる価値はある」
「……っ」
「……? シン、どうした」
「い、いえ……」
動揺する自分が情けなくて、ロジェは思わず顔を伏せた。
16年かけて自分を納得させてきたのに、実際に触れてみると、こんなにも辛い。
14年前、剣の大会で彼と再会した時も、そして今になっても、ルキウスの中にロジェがいないことに打ちひしがれてしまう。
ルキウスが席を立ち、こちらに向かってくる足音が聞こえる。しかしロジェは俯いたまま顔を上げることが出来なかった。
「シン、顔色が悪いぞ。……まったく、無理するな」
「……」
「ほら、来い」
執務机に置かれたままのロジェの手を、ルキウスは優しく握った。
ゆっくりと引き寄せられ、大きな胸に抱き込まれる。そのまま横抱きにされても、抵抗する気は起きなかった。
ルキウスの胸に耳をぴったりと当てると、彼の低く優しい声が潜り込んでくる。
「……ザザド。少し外す」
「分かりました」
ルキウスがゆっくりと歩き出した。
いったいどうしたと言うのか。
ルキウスの執務室で、ロジェはひとり唸っていた。
目の前には立派な机があり、備えられた執務道具は一級品だ。これらは全てロジェの為に用意された物であるという。
今までは応接机で事務作業をしていたため、ロジェ専用の机と言うものは無かった。道具は最低限のものを持参して、ルキウスの執務室で仕事をしていたのだ。
しかし今、ぴっかぴかの机には、いかにも柔らかそうな椅子が備えられている。
座ると、信じられないほどの柔らかさに包まれた。こんなものに座って仕事をすれば、居眠り止む無しである。
ルキウスの近くに立つザザドが、ロジェへ向けて呆れた表情を浮かべる。
「え? アースターさんは結局、荷物を取りに行けなかったんですか?」
「ええ。居室に行く前に閣下からここへ連行されまして……」
「暫くはここの仮眠室を使え。鍵もかかる。身の回りの物は全て用意してやる。問題あるか? ないな」
「…………」
もはや拒否権などないような口ぶりに、ロジェは黙り込むしかない。
ルキウスの様子がどうもおかしいと気付いたのは、先ほど強制連行された時からだ。
馬に乗せられた後は、まるで壊れ物を扱うかのように運搬された。以前との変わりようと言ったらない。
デレ満載の優しさに包まれて、情緒が爆発するかと思った。
黙り込んでしまったロジェを気遣ってか、ルキウスが書類から顔を上げる。
「……心配しなくても、身体が治れば居室に行かせてやる。数日だけ我慢しろ」
「えっと、はい……」
「今日はもう休め」
「え? 俺、もう働けますよ。こんなに良い環境を用意して貰ったのに……」
昨日は晩餐会で一日が潰れてしまったので、仕事が溜まっているはずだ。
机の上の書類に手を伸ばすと、ルキウスからその場を凍り付かせそうな舌打ちが飛んできた。先ほどの態度からすれば、温度差がありすぎて風邪を引きそうだ。
「馬鹿猫。また連行してやろうか?」
「いやっ、遠慮しておきます……!」
さっと手を引っ込め、ロジェは口を引き結ぶ。同時に、執務室の扉が叩かれ、ルトルクが顔を出した。
相変わらず眠そうな眼だが、今日は少しばかり表情が強張っているように見えた。
ルトルクはルキウスの前まで進み、書類を差し出す。
「……ロジェ・ウォーレンの、件、です」
「……っ⁉」
どくり、と心臓が激しく鳴る。跳ね上がりそうになった身体を、ロジェは咄嗟に抑え込んだ。
ばくばく暴れ続ける心臓の音を聞きながら、ルトルクの言葉を脳内で反芻する。
ロジェ・ウォーレン。
彼は確かにそう言った。掠れて聞き取りにくい声だったが、確かに聞こえた。
「早かったな」
ルキウスが当たり前のように書類を受け取り、ロジェは更に追い詰められた。
どうして。どういうことだ。
混乱に吞まれたロジェが息を詰めていると、ザザドが眉根を寄せた。
「殿下。まさかお調べになるおつもりですか?」
「ああ。彼がもし生きていれば、記憶や感情を呼び起すきっかけになるかもしれん」
「……彼に会うことで、何か弊害があるかもしれませんよ。それに……」
ザザドの視線が、ロジェへと向けられる。
その視線が何を意味しているのか、混乱しているロジェには分からなかった。
ただ、ザザドの視線にはこちらを労わるような気遣いが感じられる。
「殿下にはもう、必要ないのでは? 以前と比べ、随分と感情も豊かになりましたし……」
「いや……だからこそ最近は、もどかしく思う事が多い。感情が不完全なことが以前よりも弊害になっている」
「しかし……」
難色を示すザザドを置いて、ルキウスは書類に目を通した。緑の眼がゆっくりと文字を辿り、睫毛が少しだけ下がる。
「……なるほど。やはりウォーレン家でロジェは亡くなったことになっているのか。……となると、あの噂が気になるな」
「スヴェラお嬢様の話を信じるつもりですか?」
「もちろん鵜呑みにする訳じゃない。警戒すべき部分も大いにある」
(……やっぱり、スヴェラ嬢が絡んでたか……。何のつもりだ……?)
16年前の悲劇によって、多くの若者が命を落とした。ほとんどの遺体は損傷が激しく、家族の元に帰ってきた遺体は極僅かだと聞く。
例に漏れず、ロジェも事件当初は遺体が発見されず、『行方不明』とされていた。
生存を信じて何年も捜索した遺族も多いが、しかしロジェの実家は息子の死を直ぐに受け入れたらしい。
早々に死亡届を提出し、彼らは多額の弔慰金を手に入れた。いるかいないか分からなかった妾腹の子が、初めて役に立ったぐらいにしか思っていないだろう。
実家の者らはロジェを死んだと思っている。そしてロジェも実質いなくなり、シン・アースターとなった。
そんな状態でなぜ、ロジェが生きているという噂が流れているのか。
「死んだことにして、別人として生きているかもしれないな」
ルキウスの言葉に、ロジェの思考が止まった。背中を流れていく汗の感触が、更に緊張感を煽る。
王都に出向すると決めた時から、ロジェはあらゆる事態を想定して準備してきた。
シン・アースターが素性を偽っているとバレた場合や、ルキウスが万が一ロジェを思い出した場合など。事前に可能性を洗い出し、それらに対策できるように足元は固めてある。
しかし今の状況は、全くの想定外だった。16年間誰も目を向けなかった『ロジェ・ウォーレン』の情報が第三者からもたらされるなんて思わなかったのだ。
「と、なると……そうせざるを得なかった理由があるはずだ。……重傷を負って、どこかに匿われたか、もしくは事件の衝撃で記憶を失ったという可能性もある」
「しかしもう16年前ですよ? 長い年月です」
「確かに16年は長い。……だが俺のように、未だに呪いを背負っている者はいる」
今にも「やめてくれ」と叫び出しそうになって、ロジェは唇を噛み締めた。
このまま調べが続いて、自分がロジェ・ウォーレンだと露見してしまえば、確実に事態は拗れてしまうだろう。
しかしロジェは今、自身が焦燥感よりも深い悲しみに襲われていることに驚いていた。
ルキウスが『ロジェ・ウォーレン』を他人事のように語ることが、これほど辛いなんて思わなかったのだ。
もうロジェの記憶が無いのは分かっている。感情に左右されずこれからの事を冷静に考えるべきだ。分かっているのに、思考は情にかき回されて使い物にならない。
ルキウスが淡々と言葉を続ける。
「そいつが死んでいるか生きているか分からないが、調べる価値はある」
「……っ」
「……? シン、どうした」
「い、いえ……」
動揺する自分が情けなくて、ロジェは思わず顔を伏せた。
16年かけて自分を納得させてきたのに、実際に触れてみると、こんなにも辛い。
14年前、剣の大会で彼と再会した時も、そして今になっても、ルキウスの中にロジェがいないことに打ちひしがれてしまう。
ルキウスが席を立ち、こちらに向かってくる足音が聞こえる。しかしロジェは俯いたまま顔を上げることが出来なかった。
「シン、顔色が悪いぞ。……まったく、無理するな」
「……」
「ほら、来い」
執務机に置かれたままのロジェの手を、ルキウスは優しく握った。
ゆっくりと引き寄せられ、大きな胸に抱き込まれる。そのまま横抱きにされても、抵抗する気は起きなかった。
ルキウスの胸に耳をぴったりと当てると、彼の低く優しい声が潜り込んでくる。
「……ザザド。少し外す」
「分かりました」
ルキウスがゆっくりと歩き出した。
あなたにおすすめの小説
離縁を望んだ私に、旦那様の執着が始まりました
なつめ
恋愛
四年続いた、形だけの結婚。
公爵夫人レヴェティアは、夫ゼルフェインから一度も愛を告げられず、ただ静かな屋敷の中で“都合のいい妻”として扱われてきた。
冷たい夫。
消えていく手紙。
義家からの軽視。
そして、公爵には昔から想う女がいるという噂。
もう十分だと悟った朝、レヴェティアは離縁状を差し出す。
これで終わるはずだった。自分がいなくなれば、夫はようやく望む人生を選べるはずだった。
けれど、その日から様子がおかしくなったのは、無関心だったはずの旦那様のほうだった。
食事の席で視線を外さない。
屋敷の移動先を勝手に潰す。
社交の場では手を離さない。
今さら知ったような顔で、彼女の四年間を奪った者たちを一人ずつ叩き潰していく。
「出ていくつもりなら、なぜ俺の知らない顔をそんなに増やした」
これは、終わらせるために差し出した離縁状から始まる、
遅すぎた恋と、寡黙な公爵の重すぎる執愛のやり直し婚。
ただのハイスペックなモブだと思ってた
はぴねこ
BL
神乃遥翔(じんの はると)は自分のことをモブだと思っていた。
少年漫画ではいつだって、平凡に見えて何か一つに秀でている人物が主人公だったから。
その点、遥翔は眉目秀麗文武両道、家も財閥の超お金持ち。
一通りのことがなんでも簡単にできる自分は夢中になれるものもなくて、きっと漫画のモブみたいに輝く主人公を引き立てるモブのように生きるのだと、そう遥翔は思っていた。
けれど、そんな遥翔に勉強を教わりに来ている葛城星 (かつらぎ ほし)は言った。
「BL漫画の中では、神乃くんみたいな人がいつだって主人公なんだよ?」
そう言って、星が貸してくれた一冊のBL漫画が遥翔の人生を一変させた。
自分にも輝ける人生を歩むことができるのかもしれないと希望を持った遥翔は、そのことを教えてくれた星に恋をする。
だけど、恋をした途端、星には思い人がいることに気づいてしまって……
眉目秀麗文武両道で完璧だけど漫画脳な遥翔が、お人好しで気弱な星の心に少しずつ少しずつ近づこうと頑張るお話です。
愛されたいだけなのに
まさお
BL
我儘令息だったノアは一回目の人生で最愛の人からの裏切りの末、殺される。
気がつくと人生が巻き戻っていて人生二週目が始まる。
しかしまた殺される。
何度も何度も繰り返した人生の中で自分が愛されることを諦めてしまう。
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。