15 / 110
第1章
12話
アデリーナ様とカイラ様が部屋を出て行った後、私は放心状態になっていた。
「イシス…すまない。こんなはずでは…」
フェルナンド様がショボクレている。昼間はカッコよかったのに。
別荘での生活も含め、私は今まで貴族らしい扱いを受けたことがない。
伯爵家から与えられる食事はスープが全滅の時も多く…正味パンひとつ…。そんな暮らしをしていたのに、テーブルマナーを教わるなんて…不安しかない。
パンは手掴みだもの。
伯爵家に戻ることを引き止めた手前、フェルナンド様は責任を感じているのだろう。
「伯爵家に帰ろうかな」
「…っ!イシスのことは、もう母上たちに口出しはさせない。私が守るから」
え?口では負け確定じゃないですか…?
さっきのやり取りを見ただけで、99.99%無理だと分かった気がするんですけど。
でも…まぁ、いいお母様とお義姉様ですよね。
「守るって、普段お邸にはいらっしゃらないのでは?
…自分で何とかしますよ…逃げられそうにありませんし」
「…君は逞しいな…」
それ…褒めてます?貶してます?
「ところで、侯爵様にはご挨拶をしなくてもいいのでしょうか?」
「今日はゆっくり休むようにとのことだ。挨拶は明日の朝にしよう。皿洗いの仕事は休みだろう?」
「はい。次は…明後日ですね」
「今すぐ部屋に夕食を運ばせる。食事の量だが、どのくらいなら食べれそうだ…?…急な環境の変化で体調を崩しては元も子もないからな」
フェルナンド様は私の嗜好を細かくリサーチしてから、部屋を出て行った。
オーラが視えるからかもしれないけれど…気遣いのできる人だ。
侯爵家の夕食は品数が多くてびっくり!私のために、全て一口サイズに切り分けてある。
フォークで刺してポイッと口に入れるだけ…美味しい料理を堪能できて最高だった。
─────────
─翌朝─
「君が…イシス嬢だな。フェルナンドから話は聞いているよ」
「イシスでございます。ランチェスター侯爵様、お世話になります。よろしくお願いいたします」
緊張で笑顔が引きつっている自覚はある。
それでも、できる限り…にこやかに丁寧にご挨拶をしようと頑張った。
「うむ。妻が、可愛い娘ができたと話していた。仲良くしてやってくれ」
「こ…こちらこそ、仲良くしていただけましたら…うれしいです」
よし…何とか難関を乗り切った!
─コンコンッ、ガチャ─
「失礼します」
「おぉ、アンドリュー…来たか」
「はい…あぁ、イシス嬢ですね。フェルナンドの兄のアンドリューです」
はっ!忘れていましたー!フェルナンド様のお兄様。
「あ、は…はじめまして、イシスと申します。よろしくお願いいたします」
「あぁ、よろしく」
侯爵様もアンドリュー様も美男子。奥様たちも美人。
あれ、お貴族様って美しい人ばかりなの?
やっぱり、食べてるものが違うからかな。
あなたにおすすめの小説
王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする
葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。
そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった!
ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――?
意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。
噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜
秘密 (秘翠ミツキ)
ファンタジー
*『ねぇ、姉さん。姉さんの心臓を僕に頂戴』
◆◆◆
*『お姉様って、本当に醜いわ』
幼い頃、妹を庇い代わりに呪いを受けたフィオナだがその妹にすら蔑まれて……。
◆◆◆
侯爵令嬢であるフィオナは、幼い頃妹を庇い魔女の呪いなるものをその身に受けた。美しかった顔は、その半分以上を覆う程のアザが出来て醜い顔に変わった。家族や周囲から醜女と呼ばれ、庇った妹にすら「お姉様って、本当に醜いわね」と嘲笑われ、母からはみっともないからと仮面をつける様に言われる。
こんな顔じゃ結婚は望めないと、フィオナは一人で生きれる様にひたすらに勉学に励む。白塗りで赤く塗られた唇が一際目立つ仮面を被り、白い目を向けられながらも学院に通う日々。
そんな中、ある青年と知り合い恋に落ちて婚約まで結ぶが……フィオナの素顔を見た彼は「ごめん、やっぱり無理だ……」そう言って婚約破棄をし去って行った。
それから社交界ではフィオナの素顔で話題は持ちきりになり、仮面の下を見たいが為だけに次から次へと婚約を申し込む者達が後を経たない。そして仮面の下を見た男達は直ぐに婚約破棄をし去って行く。それが今社交界での流行りであり、暇な貴族達の遊びだった……。
【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。
まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。
泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。
それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ!
【手直しての再掲載です】
いつも通り、ふんわり設定です。
いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*)
Copyright©︎2022-まるねこ
契約結婚の相手が優しすぎて困ります
みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。
【完結】氷狼魔術師長様と私の、甘い契約結婚~実は溺愛されていたなんて聞いていません!~
雨宮羽那
恋愛
魔術国家アステリエで事務官として働くセレフィアは、義理の家族に給料を奪われ、婚期を逃した厄介者として扱われていた。
そんなある日、上司である魔術師長・シリウスが事務室へやってきて、「私と結婚してください」と言い放った!
詳しく話を聞けば、どうやらシリウスにも事情があるようで、契約結婚の話を持ちかけられる。
家から抜け出るきっかけだと、シリウスとの結婚を決意するセレフィア。
同居生活が始まるが、シリウスはなぜかしれっとセレフィアを甘やかしてくる!?
「これは契約結婚のはずですよね!?」
◇◇◇◇
恋愛小説大賞に応募しています。
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます( . .)"
モチベになるので良ければ応援していただけると嬉しいです!
※この作品は「小説家になろう」様にも掲載しております。
※表紙はAIイラストです。文字入れは「装丁カフェ」様を使用しております。
※小説内容にはAI不使用です。