捨てられ令嬢は、異能の眼を持つ魔術師になる。私、溺愛されているみたいですよ?

miy

文字の大きさ
16 / 110
第1章

13話


無事にご挨拶を終え、フェルナンド様と一緒に部屋へと戻る。


「イシス、私は仕事に出かけるよ。昼からは行商が来る予定だが、全てメイド長に任せておけばいいから」

「行…商?…はい。あ、お兄様…行ってらっしゃい…ませ?」

「……っ!……」


フェルナンド様が一瞬ピクリと眉を動かした。

ん?私、何か間違った?


「あ、貴族の挨拶とか分からなくてごめんなさい。
その…私、ご迷惑をかけてないでしょうか?」

「もしイシスがそう思っているのなら、それは守ると約束した私の力不足だよ。
迷惑など…ありえない。じゃあ、行ってきます」


『今日は早く帰るようにする』そう言って微笑むと、颯爽と部屋を出て行かれた。


本当にカッコいいなぁ、お兄様。



─────────



「イシスちゃんには、このワンピースが似合うわ!」


うれしそうに私のお洋服を選んでくださるアデリーナ様。
メイド長さんは…笑顔で紅茶を用意してくれていた。


「アンディとフェルは男でしょう?つまらなくって。
孫たちはまだ小さいから、イシスちゃんくらいの年の女の子のお洋服選びは初めてなの。本当に楽しいわ!」


昨日の今日で、グッと距離が縮まった気がします。
“イシスさん”から“イシスちゃん”へと見事昇格いたしました。


アデリーナ様は少女のようなお方。

いや待てよ、私が老けてるのかな?


最終的に…ワンピースを5枚、余所行きの服を5枚…合計10枚も買っていただいた。

行商とは、いろんな商品を持ち込んで販売するお仕事のようで…他にも小物や日用雑貨などを大量に購入。


どうやら、支払いはフェルナンド様らしいのですが…。


「フェルは人嫌いでね、貢ぐ相手もいないのよ。お金はたっぷりあるはずだわ…ホホホ」


と、アデリーナ様が高らかに笑っていらっしゃいました。



─────────



「イシス様、お食事はお済みでしょうか?」


今日もお部屋で美味しい夕食をいただいた。
食べ終えた時間を見計らって、メイド長さんは部屋の扉をノックする。見えているみたい。


「はい、ご馳走さまでした」


メイド長のミリアムさんは、素早い動きで音もなく食器を片付けると、水差しとグラスのセットをテーブルにそっと置いた。


「何かお困りになったことは?お食事の量など、問題はございませんでしたか?」


ミリアムさんは私にとても優しく接してくれる。伯爵家のメイドとは大違い。
自分で好き勝手にやっていた身の回りのことも、今ではミリアムさんが全て担当してくれている…いいのかな?


「大丈夫です。あの…ミリアムさんは、お困りではないのですか?」

「え…?…私が…でございますか?」

「えと…私のことばかりで、大変かなと…」


ミリアムさんは、そっと跪いて…椅子に座る私と目線を合わせる。


「イシス様…フェルナンド様は、イシス様がお邸でゆっくり過ごせるようにとお考えなのです。
私は、そのために最善を尽くすよう命じられております。何もご心配なさらずに…私にお任せくださいませ」


ミリアムさんが、深く頭を下げる。


「ありがとうございます。…あ…変なこと言ってごめんなさい」

「イシス様のお世話ができますこと、私はうれしく思っております。お邸のことは、総メイド長がしっかりと管理をしておりますので、どうかご安心ください」


ミリアムさんはニッコリと笑った。



─────────



少し後で聞いた話によると…

私の部屋はフェルナンド様のお部屋の隣で、しかも…このフロアーはフェルナンド様専用となっているらしい。

私が来てからは、メイド長のミリアムさんとミリアムさんの娘さん(同じくメイド)、そしてフェルナンド様の従者以外、他の者を一切フロアーに寄せ付けない徹底ぶりなのだとか。


「イシス様を軽んじる者など邸内にはおりませんが、ほんの些細な事からも…イシス様をお守りしようとなさっておいでなのですよ」


私が伯爵家のメイドに蔑まれてきたから、侯爵家では絶対に同じことが起きないように細心の注意を払ってくれている。


アデリーナ様が言っていた“過保護”って、こういうことなのかな?





あなたにおすすめの小説

王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする

葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。 そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった! ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――? 意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。

噂の醜女とは私の事です〜蔑まれた令嬢は、その身に秘められた規格外の魔力で呪われた運命を打ち砕く〜

秘密 (秘翠ミツキ)
ファンタジー
*『ねぇ、姉さん。姉さんの心臓を僕に頂戴』 ◆◆◆ *『お姉様って、本当に醜いわ』 幼い頃、妹を庇い代わりに呪いを受けたフィオナだがその妹にすら蔑まれて……。 ◆◆◆ 侯爵令嬢であるフィオナは、幼い頃妹を庇い魔女の呪いなるものをその身に受けた。美しかった顔は、その半分以上を覆う程のアザが出来て醜い顔に変わった。家族や周囲から醜女と呼ばれ、庇った妹にすら「お姉様って、本当に醜いわね」と嘲笑われ、母からはみっともないからと仮面をつける様に言われる。 こんな顔じゃ結婚は望めないと、フィオナは一人で生きれる様にひたすらに勉学に励む。白塗りで赤く塗られた唇が一際目立つ仮面を被り、白い目を向けられながらも学院に通う日々。 そんな中、ある青年と知り合い恋に落ちて婚約まで結ぶが……フィオナの素顔を見た彼は「ごめん、やっぱり無理だ……」そう言って婚約破棄をし去って行った。 それから社交界ではフィオナの素顔で話題は持ちきりになり、仮面の下を見たいが為だけに次から次へと婚約を申し込む者達が後を経たない。そして仮面の下を見た男達は直ぐに婚約破棄をし去って行く。それが今社交界での流行りであり、暇な貴族達の遊びだった……。

【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。

まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。 泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。 それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ! 【手直しての再掲載です】 いつも通り、ふんわり設定です。 いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*) Copyright©︎2022-まるねこ

契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

司書ですが、何か?

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。  ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。

異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない

木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。 生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。 ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。 その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。

【完結】氷狼魔術師長様と私の、甘い契約結婚~実は溺愛されていたなんて聞いていません!~

雨宮羽那
恋愛
 魔術国家アステリエで事務官として働くセレフィアは、義理の家族に給料を奪われ、婚期を逃した厄介者として扱われていた。  そんなある日、上司である魔術師長・シリウスが事務室へやってきて、「私と結婚してください」と言い放った!  詳しく話を聞けば、どうやらシリウスにも事情があるようで、契約結婚の話を持ちかけられる。  家から抜け出るきっかけだと、シリウスとの結婚を決意するセレフィア。  同居生活が始まるが、シリウスはなぜかしれっとセレフィアを甘やかしてくる!? 「これは契約結婚のはずですよね!?」 ◇◇◇◇  恋愛小説大賞に応募しています。  お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます( . .)"  モチベになるので良ければ応援していただけると嬉しいです! ※この作品は「小説家になろう」様にも掲載しております。 ※表紙はAIイラストです。文字入れは「装丁カフェ」様を使用しております。 ※小説内容にはAI不使用です。