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代償
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次の日の朝・・・。
『な、・・・な・・んだ?』
目が覚めた一哉、しかしいつもと様子が違う。
『か、体が動かん・・・。』
一哉の体はまったく動けなかった。
『か、金縛りか?!』
必死に体を動かそうとした一哉だが、指一本動かせなかった。
『何故だ・・?なんだか知らんが、ものすごくの、喉が渇いてる・・・・カラカラだ。』
もがきながら一哉は思った。
『なんで?金縛りって、こんなに喉が渇くものなのか?』
とにかく必死に動かそうとしていると、母がなかなか起きてこない一哉を起こしに、部屋にやって来た。
「一哉ーー?いつまで寝てるのよ?」
そう言いながら母は、一哉の布団を剥いだ。
「か、か、か、一哉~~~~~!!??」
それを見たとき、あまりのショックで母は、その場で腰砕けの状態となってしまった。剥いだ布団の下にはなんと!一哉がミイラのように痩せこけ、すっかりカラカラとなっていたのだ!
「か、か~しゃ~~ん」
一哉はか細い声で母を呼び
「はらへった~~~」
と、言った。
一週間後、陽介は友達としゃべりながら登校していると、前方に一哉が歩いてるのを見つけた。
「おお、一哉ー。」
陽介は一哉に小走りで近づき、
「なんだか急病で大変だったんだってな。」
と言いながらポンと一哉の肩を叩いた。叩かれた一哉が振り向くと、その血色は特に普通であった。
「なんだ、結構元気そうじゃん。」
「ああ、心配かけちまったな・・・。」
「ん?」
ふと陽介が視線を下げると、一哉の持っている鞄が妙に膨らんでいる。
「なんだよ、なんだよ一哉、急に勉強に目覚めたのか?」
一哉は周りをちらりと見た後、
「ん、ああ、まぁ、そんなようなもんだ。」
少し濁す様に答えた。一哉と陽介はしばらく話し込んでいたが、二人のクラスは別々なので、とりあえず別れた。
午前の授業が終わり昼休みを迎えると、陽介は一哉に会いに一哉のいる教室に向かった。中に入るとそこには、弁当を4つ広げ、それを馬鹿食いする一哉の姿があった。
「か、一哉?!」
「ひょう、ひょうすけ(よう、陽介)」
陽介は、机のわきに吊るしてある一哉の鞄に目をやった。
『あの膨らみは弁当かよ!』
心の中でつっこむ陽介。
「よげ、どばぐり ばばず。」(よう、とにかく座れよ。)
「口の中、空にしてからしゃべれよ。」
陽介はそう言いながら一哉の向かいにある椅子に座った。ゴクリと口中の物を飲み込んだ一哉は、陽介に小声で言った。
「いや、今朝はちょっと話しづらくてさ。」
「ん?何が?」
「いや、だから俺会ったんだよ。」
「は?誰に!?」
たまに一哉は、主語や目的語が抜けて話をする。
「彼女だよ、霊の。」
聞いた瞬間、陽介は座った格好のまま、空気椅子状態で教室の隅まで下がった。
『いやーーーーー!!』
びっくりしたように目を思い切り見開き、両手を自分の顔のわきで震わせながら、声にならない声で悲鳴を上げる陽介。昼休みで教室は閑散としていたが、周りにいるクラスメートが珍獣を見るように、彼を見ていた。
「陽介、過敏に反応し過ぎだって・・・。」
一哉は陽介を呼び戻した。彼はゆっくり一哉の元へ戻って来たが、その様子は明らかに挙動不審だ。
あたりをキョロキョロしながら陽介は
「まだ、その辺にいるのか?」
と、一哉に尋ねた。聞かれた一哉は苦笑しながら
「いや、ここには居ないだろう・・・言ったろ?木造の旧校舎だって。」
「おま!あそこに?あの時間に?本当に行ったのかよ?!」
陽介はどうやら、一哉に誘われたのは冗談だと思ってたらしい。
「あ?行くって言ったじゃん。」
それを聞いた陽介は一哉の胸倉を掴み
「お~ま~え~は~!」
そう言いながら一哉をグワングワン前後に揺らした。
「あふ、あふ、あふ。」
動きに合わせて、一哉の息が漏れる。
「この馬鹿やろー!」
そう言って陽介は一哉の目の前の空気を殴った。しかし、一哉はその動きに合わせ、首を横に振る。そして何も出ていないのに鼻を指で押さえながら
「鼻血が・・・。」
と、半笑いで呟いた。そんな感じで二人がじゃれ合っていると、後ろから声がした。
「ねぇー、一哉。」
振り向くとそこには亜希の姿があった。
「おお?!なんだ、デジャヴだな。」
一哉がまた訳の分からないことを呟く。
「図書の掃除ならしたよ?」
『いや、してないだろうに・・・。』
陽介は、またこいつは火に油を注ぐような事を言ってるよ、という表情で一哉を見ていた。
「何の話よ?」
案の定、亜希の機嫌が悪くなっていく。
「いや、なんでもないです、すいません。」
一哉はとりあえず、彼女に平謝りをした。
「たく・・。」
腰に手をあて、ため息をつきながらそう呟いた後、彼女はここに来た用件を言った。
「優子のお見舞い、今日どうかしら?」
佐藤 優子、小学生の頃コックリさんをしたメンバーのうち、霊に取り憑かれてしまった子だ。
「ああ、そうだな。」
もとより病弱だった彼女だが、あの一件以来体調を崩し、入院生活を送っていたのだ。
「陽介も大丈夫?」
「もちろん、行くよ。」
体調を崩した原因が霊の件に因るものなのか分からないが、特に亜希は優子に対して自責の念にかられていた。
「じゃ、放課後またね。」
そう言って亜希は教室を出て行った。
「じゃ、俺も行くぜ。」
そう言って陽介も自分の教室に帰ろうとした時、ちょうど次の授業が始まるチャイムが鳴った。
「あ・・・、まだ食べ終わってないのに・・・。」
一哉の机の上にはまだ、手付かずの弁当が二つ置いてあった・・・。
『な、・・・な・・んだ?』
目が覚めた一哉、しかしいつもと様子が違う。
『か、体が動かん・・・。』
一哉の体はまったく動けなかった。
『か、金縛りか?!』
必死に体を動かそうとした一哉だが、指一本動かせなかった。
『何故だ・・?なんだか知らんが、ものすごくの、喉が渇いてる・・・・カラカラだ。』
もがきながら一哉は思った。
『なんで?金縛りって、こんなに喉が渇くものなのか?』
とにかく必死に動かそうとしていると、母がなかなか起きてこない一哉を起こしに、部屋にやって来た。
「一哉ーー?いつまで寝てるのよ?」
そう言いながら母は、一哉の布団を剥いだ。
「か、か、か、一哉~~~~~!!??」
それを見たとき、あまりのショックで母は、その場で腰砕けの状態となってしまった。剥いだ布団の下にはなんと!一哉がミイラのように痩せこけ、すっかりカラカラとなっていたのだ!
「か、か~しゃ~~ん」
一哉はか細い声で母を呼び
「はらへった~~~」
と、言った。
一週間後、陽介は友達としゃべりながら登校していると、前方に一哉が歩いてるのを見つけた。
「おお、一哉ー。」
陽介は一哉に小走りで近づき、
「なんだか急病で大変だったんだってな。」
と言いながらポンと一哉の肩を叩いた。叩かれた一哉が振り向くと、その血色は特に普通であった。
「なんだ、結構元気そうじゃん。」
「ああ、心配かけちまったな・・・。」
「ん?」
ふと陽介が視線を下げると、一哉の持っている鞄が妙に膨らんでいる。
「なんだよ、なんだよ一哉、急に勉強に目覚めたのか?」
一哉は周りをちらりと見た後、
「ん、ああ、まぁ、そんなようなもんだ。」
少し濁す様に答えた。一哉と陽介はしばらく話し込んでいたが、二人のクラスは別々なので、とりあえず別れた。
午前の授業が終わり昼休みを迎えると、陽介は一哉に会いに一哉のいる教室に向かった。中に入るとそこには、弁当を4つ広げ、それを馬鹿食いする一哉の姿があった。
「か、一哉?!」
「ひょう、ひょうすけ(よう、陽介)」
陽介は、机のわきに吊るしてある一哉の鞄に目をやった。
『あの膨らみは弁当かよ!』
心の中でつっこむ陽介。
「よげ、どばぐり ばばず。」(よう、とにかく座れよ。)
「口の中、空にしてからしゃべれよ。」
陽介はそう言いながら一哉の向かいにある椅子に座った。ゴクリと口中の物を飲み込んだ一哉は、陽介に小声で言った。
「いや、今朝はちょっと話しづらくてさ。」
「ん?何が?」
「いや、だから俺会ったんだよ。」
「は?誰に!?」
たまに一哉は、主語や目的語が抜けて話をする。
「彼女だよ、霊の。」
聞いた瞬間、陽介は座った格好のまま、空気椅子状態で教室の隅まで下がった。
『いやーーーーー!!』
びっくりしたように目を思い切り見開き、両手を自分の顔のわきで震わせながら、声にならない声で悲鳴を上げる陽介。昼休みで教室は閑散としていたが、周りにいるクラスメートが珍獣を見るように、彼を見ていた。
「陽介、過敏に反応し過ぎだって・・・。」
一哉は陽介を呼び戻した。彼はゆっくり一哉の元へ戻って来たが、その様子は明らかに挙動不審だ。
あたりをキョロキョロしながら陽介は
「まだ、その辺にいるのか?」
と、一哉に尋ねた。聞かれた一哉は苦笑しながら
「いや、ここには居ないだろう・・・言ったろ?木造の旧校舎だって。」
「おま!あそこに?あの時間に?本当に行ったのかよ?!」
陽介はどうやら、一哉に誘われたのは冗談だと思ってたらしい。
「あ?行くって言ったじゃん。」
それを聞いた陽介は一哉の胸倉を掴み
「お~ま~え~は~!」
そう言いながら一哉をグワングワン前後に揺らした。
「あふ、あふ、あふ。」
動きに合わせて、一哉の息が漏れる。
「この馬鹿やろー!」
そう言って陽介は一哉の目の前の空気を殴った。しかし、一哉はその動きに合わせ、首を横に振る。そして何も出ていないのに鼻を指で押さえながら
「鼻血が・・・。」
と、半笑いで呟いた。そんな感じで二人がじゃれ合っていると、後ろから声がした。
「ねぇー、一哉。」
振り向くとそこには亜希の姿があった。
「おお?!なんだ、デジャヴだな。」
一哉がまた訳の分からないことを呟く。
「図書の掃除ならしたよ?」
『いや、してないだろうに・・・。』
陽介は、またこいつは火に油を注ぐような事を言ってるよ、という表情で一哉を見ていた。
「何の話よ?」
案の定、亜希の機嫌が悪くなっていく。
「いや、なんでもないです、すいません。」
一哉はとりあえず、彼女に平謝りをした。
「たく・・。」
腰に手をあて、ため息をつきながらそう呟いた後、彼女はここに来た用件を言った。
「優子のお見舞い、今日どうかしら?」
佐藤 優子、小学生の頃コックリさんをしたメンバーのうち、霊に取り憑かれてしまった子だ。
「ああ、そうだな。」
もとより病弱だった彼女だが、あの一件以来体調を崩し、入院生活を送っていたのだ。
「陽介も大丈夫?」
「もちろん、行くよ。」
体調を崩した原因が霊の件に因るものなのか分からないが、特に亜希は優子に対して自責の念にかられていた。
「じゃ、放課後またね。」
そう言って亜希は教室を出て行った。
「じゃ、俺も行くぜ。」
そう言って陽介も自分の教室に帰ろうとした時、ちょうど次の授業が始まるチャイムが鳴った。
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