けしてまねをなさることのなきようにお願いします

運動会

　パンパーン。
　わーわー。
　いずこかの学校で行われている運動会。
　「むむ、予想以上に接戦となったな」
　「ちょっとうちが負けているな」
　「残る競技はリレーだけだが・・・この分ではどうだろう？」

　リレーが開始された。
　少し負けている赤組はややリードされていた。
　アンカーを務める女子がおろおろしていた。
　「わ、私が勝たなきゃ負けちゃう！」
　「いい手段がある」
　「何？」
　「これを飲め」
　同じ赤組の男子が手のひらの上に乗せて錠剤を手渡した。

　アンカーである女子の手にバトンが渡った。
　少し前を行く白組のアンカーを追いかけだしたそのとき。
　「うっ！」
　彼女はおなかを押さえ、うずくまった。
　「あ、どうしたことだ？」
　「お前、何を飲ませたんだ？」
　「ん？何って・・・ただの下剤だよ」
　「ばかやらー！」
　ボカッ。
　「この期に及んでそんなもん飲ますやつがあるかー！」
　「こういうときだから飲ませたのさ」
　「え？どういう意味だ？」
　「まあ見てなって」
　ゴトン。
　彼はゴールラインの向こうにおまるを置いた。
　「おーい、ここにトイレがあるぞー！」
　「え？」
　アンカーの女子が顔を上げれば、
　「ト、トイレーええええええ！」
　ビュワーン！
　彼女は起き上がってすごいスピードで駆け出した。
　たちまち相手のアンカーを追い抜いてゴール。
　大逆転で赤組の勝利となった。
　「やったー！」
　ブリブリブリブリー！
　歓声の中、響き渡る排泄音。
　「やったね、おめでとう！」
　彼女に駆け寄る彼。
　バキイッ。

　その後、衆人環視の中で排泄した彼女は登校拒否になったという。