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第一章 転生者、ルーク・グランバート
3 キーン先生と属性の授業
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自分の部屋に入ろうとしたところで後ろから名前を呼ばれた。振り返るとそこには走って追いかけてきたのか、息を切らしている父様の姿があった。
「お父様、どうかされましたか?」
「いやー、さっき言おうとしてすっかり忘れててな。実は今日からルークの家庭教師が来るんだ」
「家庭教師?」
「そうだ。私の幼馴染みなんだがな、この国では五本の指に入る実力を持つからな」
へぇー、そんなすごい人が幼馴染みなんだ。
なんだろう、剣術かな?それとも魔法?もしかしたら体術かも。
「あぁ、ちなみにそいつは魔法を専門としておる」
やっぱり魔法使いだったか。始めての魔法だからな、どんな属性があってどんなことができるんだろう。うー、なんか凄くわくわくしてきた!
「父様!その先生はいついらしてくださるのですか!」
僕が興奮ぎみに言うと後ろから、
「もう来ていますよ、ルーク様」
と声がかけられ、僕が驚いて振り向くとそこにはムキムキの気前の良さそうな男性が立っていた。
この人が····
「予想外の見た目だろう?彼がルークの家庭教師だ」
父様が笑いながら説明してくれた。
だけど····だけど!
「予想外のレベル越えてますよ!」
なんでプロレスラーみたいな体型の人が魔法使いなんだよ。そして何より、
「まさかの猫耳っ!」
「しっぽも付いとるぞ」
「体型が台無し!」
「なっ···!」
あー、なんで猫耳なんだろう。
本当もったいない。
「あー、その、こいつはキーン・ドール。人間と獣人のハーフなんだ」
ハーフ!え、すごい!キーン先生の好感度一気に上がったよ!へぇー、ハーフねぇ。いいじゃないの、うんうん。
「えっと、ルーク様?どうれましたか、急にニヤけだしまして」
「え、そんな顔してたかな」
「「(コクリ)」」
あちゃあー、やっぱ僕すぐ顔に出ちゃうな。朝食の時といい今といい。
「そ、それではいつから勉強をはじめるのですか」
半ば無理やり話をかえて二人に聞くと、キーン先生は少し驚いたようだった。
「どうされましたか」
と僕が聞くと、父様が代わりに答えてくれた。
「もしかしたらルークはまだ知らんかもしれんが、獣人というのは世間では、忌み嫌われている存在なのだ」
「え━━それは何故でしょうか」
僕の問いにはキーン先生が答えてくれた。
「獣人というのは、諸説ありますが魔物が変化して成った存在だと言われているのです」
つまり、先祖が魔物かもしれないって理由だけでそういわれているの。そんなの関係ないのに····
「キーンは獣人のハーフであるが、国が認めるほどの実力と功績を出した。だからレグルス国の国民はキーンを恐れたり嫌がることはない。ただ━━━━」
「全ての獣人に対してそう思っているわけではない」
そうか、この国でキーン先生が普通に暮らせるのは、それがキーン先生だから・・・
決して国民が獣人に心は開いているわけではないんだ。
そんなの━━━━
「おかしいよ」
僕の声が前を歩いている二人に聞こえたかは分からない。でも、
「では、二時間後に庭園で一回目の授業をするとしようか」
「は、はい!」
二人は頷いてくれたような気がした。
キーン先生の授業は目の前で実践をしてくれたり、魔法の使うときのイメージを明確に教えてくれたりと、教え方が(見た目に似合わず)とても上手かった。
今日習ったのは主に魔法の属性と唱え方だった。属性というのは、ある国民的ゲームで例えるなら『タイプ』のことである。
その属性の種類は全部で6種類あり、
『火』『水』『木』『土』『光』『闇』である。
火、水、木、土はイメージがつきやすく、国民の中でもメジャーであり、身近な属性である。さらに、この四属性は火なら熱・乾燥、水なら氷・霧、木なら風、土は傀儡、のようにそれぞれが発展した形にすることもできる。(先生がいうにはイメージが難しいためこっちはあまりメジャーではないらしい)
そして次に光と闇だが、この二つはとにかく特殊で、どちらかの属性が使える者は三万人に一人、どちらも使える者は五十万人に一人、と極めて珍しいらしい。(ちなみに先生は闇が使えるらしい)
光は光・回復であり、闇は靄(もや)・召喚と学んだ。光が使えても回復が使えない、また、靄が使えても召喚が使えない事がなんでもイメージが難しいのでほとんどらしい。
先生も実は召喚が出来ないとか。
「まぁ、四属性使えれば十分だけどね」
うーん、僕はやっぱり召喚したいけどなぁ。
次の日の授業は魔法の属性適性検査から始まった。
「じゃあルーク様、この火の魔石に魔力を流してみて」
赤い魔石に手を置いて魔力を流してみた。この魔石というのは鉱山や山から偶然みつかることがある、自分が適性を持っているか調べることのできる石らしい。
「あ、光りだした!」
「じゃあ、火の適性を持っていると判りました。次は水の魔石に」
なんでも、適性があると光るらしい。もしなかったらどんなに魔力を流しても光らないんだとか。
「すごいじゃないか!四属性とも使えるよ!あとは二属性だね」
僕は次の魔石を手に取った━━━━
結果、全属性が適性でした。
「き、奇跡だぁ!」
自分のことのように跳びはねて喜ぶキーン先生に
「たまたま五十万人目だったのかな」
というと先生は肩で息をしながら
「いいですか、ルーク様。全属性が使える人はただたまたまというわけではございません。魔力量が一定以上もつ者であり、自然界が認める者であり、なにより、神に愛された者である事が条件といわれているのです!」
か、神··········
心当たりなら、ないこともない。
「そ、そんなに珍しいんですか?」
「もちろんです!何せ、この国では最後に現れたのが五十年程昔なんです!」
五十年っ!!何してくれてんの神様!
『ご、ごめんなさいっ』
ん?また何か聞こえた気がする。なんだろう。
「直ちにルーン国王陛下に伝えなくては!」
「え?あ、ちょっと待····」
足、めちゃ速いな····。
僕って━━━非常識なのかなぁ?
「お父様、どうかされましたか?」
「いやー、さっき言おうとしてすっかり忘れててな。実は今日からルークの家庭教師が来るんだ」
「家庭教師?」
「そうだ。私の幼馴染みなんだがな、この国では五本の指に入る実力を持つからな」
へぇー、そんなすごい人が幼馴染みなんだ。
なんだろう、剣術かな?それとも魔法?もしかしたら体術かも。
「あぁ、ちなみにそいつは魔法を専門としておる」
やっぱり魔法使いだったか。始めての魔法だからな、どんな属性があってどんなことができるんだろう。うー、なんか凄くわくわくしてきた!
「父様!その先生はいついらしてくださるのですか!」
僕が興奮ぎみに言うと後ろから、
「もう来ていますよ、ルーク様」
と声がかけられ、僕が驚いて振り向くとそこにはムキムキの気前の良さそうな男性が立っていた。
この人が····
「予想外の見た目だろう?彼がルークの家庭教師だ」
父様が笑いながら説明してくれた。
だけど····だけど!
「予想外のレベル越えてますよ!」
なんでプロレスラーみたいな体型の人が魔法使いなんだよ。そして何より、
「まさかの猫耳っ!」
「しっぽも付いとるぞ」
「体型が台無し!」
「なっ···!」
あー、なんで猫耳なんだろう。
本当もったいない。
「あー、その、こいつはキーン・ドール。人間と獣人のハーフなんだ」
ハーフ!え、すごい!キーン先生の好感度一気に上がったよ!へぇー、ハーフねぇ。いいじゃないの、うんうん。
「えっと、ルーク様?どうれましたか、急にニヤけだしまして」
「え、そんな顔してたかな」
「「(コクリ)」」
あちゃあー、やっぱ僕すぐ顔に出ちゃうな。朝食の時といい今といい。
「そ、それではいつから勉強をはじめるのですか」
半ば無理やり話をかえて二人に聞くと、キーン先生は少し驚いたようだった。
「どうされましたか」
と僕が聞くと、父様が代わりに答えてくれた。
「もしかしたらルークはまだ知らんかもしれんが、獣人というのは世間では、忌み嫌われている存在なのだ」
「え━━それは何故でしょうか」
僕の問いにはキーン先生が答えてくれた。
「獣人というのは、諸説ありますが魔物が変化して成った存在だと言われているのです」
つまり、先祖が魔物かもしれないって理由だけでそういわれているの。そんなの関係ないのに····
「キーンは獣人のハーフであるが、国が認めるほどの実力と功績を出した。だからレグルス国の国民はキーンを恐れたり嫌がることはない。ただ━━━━」
「全ての獣人に対してそう思っているわけではない」
そうか、この国でキーン先生が普通に暮らせるのは、それがキーン先生だから・・・
決して国民が獣人に心は開いているわけではないんだ。
そんなの━━━━
「おかしいよ」
僕の声が前を歩いている二人に聞こえたかは分からない。でも、
「では、二時間後に庭園で一回目の授業をするとしようか」
「は、はい!」
二人は頷いてくれたような気がした。
キーン先生の授業は目の前で実践をしてくれたり、魔法の使うときのイメージを明確に教えてくれたりと、教え方が(見た目に似合わず)とても上手かった。
今日習ったのは主に魔法の属性と唱え方だった。属性というのは、ある国民的ゲームで例えるなら『タイプ』のことである。
その属性の種類は全部で6種類あり、
『火』『水』『木』『土』『光』『闇』である。
火、水、木、土はイメージがつきやすく、国民の中でもメジャーであり、身近な属性である。さらに、この四属性は火なら熱・乾燥、水なら氷・霧、木なら風、土は傀儡、のようにそれぞれが発展した形にすることもできる。(先生がいうにはイメージが難しいためこっちはあまりメジャーではないらしい)
そして次に光と闇だが、この二つはとにかく特殊で、どちらかの属性が使える者は三万人に一人、どちらも使える者は五十万人に一人、と極めて珍しいらしい。(ちなみに先生は闇が使えるらしい)
光は光・回復であり、闇は靄(もや)・召喚と学んだ。光が使えても回復が使えない、また、靄が使えても召喚が使えない事がなんでもイメージが難しいのでほとんどらしい。
先生も実は召喚が出来ないとか。
「まぁ、四属性使えれば十分だけどね」
うーん、僕はやっぱり召喚したいけどなぁ。
次の日の授業は魔法の属性適性検査から始まった。
「じゃあルーク様、この火の魔石に魔力を流してみて」
赤い魔石に手を置いて魔力を流してみた。この魔石というのは鉱山や山から偶然みつかることがある、自分が適性を持っているか調べることのできる石らしい。
「あ、光りだした!」
「じゃあ、火の適性を持っていると判りました。次は水の魔石に」
なんでも、適性があると光るらしい。もしなかったらどんなに魔力を流しても光らないんだとか。
「すごいじゃないか!四属性とも使えるよ!あとは二属性だね」
僕は次の魔石を手に取った━━━━
結果、全属性が適性でした。
「き、奇跡だぁ!」
自分のことのように跳びはねて喜ぶキーン先生に
「たまたま五十万人目だったのかな」
というと先生は肩で息をしながら
「いいですか、ルーク様。全属性が使える人はただたまたまというわけではございません。魔力量が一定以上もつ者であり、自然界が認める者であり、なにより、神に愛された者である事が条件といわれているのです!」
か、神··········
心当たりなら、ないこともない。
「そ、そんなに珍しいんですか?」
「もちろんです!何せ、この国では最後に現れたのが五十年程昔なんです!」
五十年っ!!何してくれてんの神様!
『ご、ごめんなさいっ』
ん?また何か聞こえた気がする。なんだろう。
「直ちにルーン国王陛下に伝えなくては!」
「え?あ、ちょっと待····」
足、めちゃ速いな····。
僕って━━━非常識なのかなぁ?
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