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第4章 出会いと別れ
5.再びの約束
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「「「いっただっきまーす!」」」
酔っ払って寝息を立てているパウロは俺の膝の上に乗せ、そのまま寝かせておいて皆で夕飯にした。
あの空腹でぐったりとしていた小さな猫は目の前にミャエナのスープが入った器を置くやいなや、器まで食べんばかりの勢いで両手で器を持ってガツガツと食べ始めた。
「そんなに急いで食べると喉に詰まらすよ。」
「お前さん、長いこと食べてなかったんだろ? それなのにそんな量を急いで詰め込んじゃ、お腹が痛くなるにゃ。もっとゆっくり食べるにゃ。」
あまりの勢いに俺とイブが心配して注意をするが、そんなことはお構いなしにあっという間に器を空にして嬉しそうに叫んだ。
「ゥニャニャナ~ン!」
「…おかわりだそうですにゃ。お前、良い喰いっぷりだにゃ! 気に入った!」
アダムは俺に分かる言葉に直して小さな猫の言っている言葉を俺に伝えると、ニカッと笑って小さな猫の背中をポンポンと叩いた。
「アハハハハハ……。仲間が増えるのは良いんだけどさ、言葉の分からない俺とリリアはこのままだと不便なんだよね~。……そういえば、アダムとイブはどうして喋れるの? あの時マルスの実を食べたのはパウロだけだっただろ…確か……。」
「それはあの時マルスの実を食べる前にパウロ様と“血の契約”を結んだからですにゃ。それによって互いの魔力を繋ぐことにより眷属となることができたので、主たるパウロ様の能力の変化は魔力の鎖を通じて眷属たる私たちにももたらされるのですにゃ。」
「魔力の鎖……?」
得意げに教えてくれたアダムの話の中にある、初めて聞いた言葉に俺は首を傾げた。
サクラヴェール国の城で勉強していた時には3つもの言語を覚えなければならず、その勉強だけでいっぱいいっぱいになってしまっていた為、常識などについては必要最低限度過ぎる程少ししか勉強ができなかったことが今更ながら悔やまれた。
「母親のお腹の中に居る時から大きくなるまでは親と繋がれていて、巣立ちの時に大人になった証として切り離されるやつだにゃ。んで、結婚する契りを結んだりするとその相手と繋がれるっってやつにゃ。この契りを結ばないと正式に結婚したとは認められないっていう大事なやつなのにゃ~。」
「阻害の魔法でも使わない限りはその鎖のお陰でどこに行ったのかすぐに分かるから、迷子になることがなくて便利だよね~。あと、王様や聖人様への忠誠を表して主従の関係を結ぶ時にもやるんだよ、お兄ちゃん。」
アダムの話を補足する様にイブとリリアが更に詳しく俺に教えてくれた。
「へ~ぇ…。それってどうやるの?」
「一般的には主たる者の血を少量、従たる者に飲ませて特別な儀式をするのにゃん。そうすれば契約は結ばれて魔力印が刻まれるって寸法にゃん。結婚の場合はこれを互いがやり合うって事なんだけど……、人間はどうやらそこの所のやり方が私たちと違って複雑らしいにゃ。」
「あっ! じゃあ俺とリリアもまだ正式には認められてないって事か~……。」
話の流れで俺がふと気が付いたことを口にすると、リリアはやってしまったという顔でハッとして慌てた様子でスクッと立ち上がって俺の方を向いた。
「だ、だからって結婚するのを無しになってさせないんだからね! まだ契りを結んでないからっていって、変更なんてもうできないんだからっ!」
村を出て旅をするという許しを母親から得た条件の1つとして俺と結婚するという事で俺の妻だとリリアは言い続けてきたが、周りからどう見られるのかというのを凄く気にする俺はリリアの11歳という年齢もあって人から聞かれた際にはいつも兄妹ということにしていた。
俺がこの世界における決まり事を知らないのや村を急いで旅立つことになったというのもあり、村の人らに『結婚する』と言ってきただけで特に何もせずに出てきたが、俺が兄妹だ兄妹だと誤魔化していることにリリアは不安を感じていたみたいだ。
俺の不用意な発言によってリリアは俺に気付かれたくなかった事に気付かれてしまったという事に動揺し、半ば泣きそうな顔になっていた。
16歳の俺から見ればしっかりしているとはいっても11歳のリリアはまだまだ子供で妹ぐらいにしか思えず、リリアに押し切られてした結婚の約束も子供のお遊び程度にしか思っていなかった。
結婚相手どころか人生初の彼女となった相手が5歳も年下の子供だってことが受け入れられなかったというのもあるのかもしれないが、そもそもが恋愛感情があっての事ではなかったのだから仕方がないと思う。
「ごめん……。」
それだけ言うとリリアをそっと抱き寄せた。
「正式に認められた結婚をしてないと今更知ったからといって無しになんてしないよ…。リリアは俺にとって大事な人だもの。俺が人の目を気にするあまりに兄妹とか言って誤魔化したりとかして、それで不安にさせてしまってたんだね………ごめん。俺、リリアと正式に結婚するよ!」
平和ボケした日本で生きてきていた俺よりも、魔物の脅威や戦争が身近にあって死と隣り合わせのこの世界で生まれ育ったリリアの方が内面的にはずっと大人で、村を出る事や旅をするという事は決して簡単な事ではなく二度と戻れないという決意が必要で、俺が思っていたよりもずっとずっと大事だった様だ。
村を出る為にした俺との結婚の約束も、ちょっとした発言で不安にさせてしまう程リリアにとっては重大な決断で、子供が言う事だからと軽く考えていた俺が恥ずかしく思えて自分自身に苛立った。
「俺の方が子供だよな………。」
酔っ払って寝息を立てているパウロは俺の膝の上に乗せ、そのまま寝かせておいて皆で夕飯にした。
あの空腹でぐったりとしていた小さな猫は目の前にミャエナのスープが入った器を置くやいなや、器まで食べんばかりの勢いで両手で器を持ってガツガツと食べ始めた。
「そんなに急いで食べると喉に詰まらすよ。」
「お前さん、長いこと食べてなかったんだろ? それなのにそんな量を急いで詰め込んじゃ、お腹が痛くなるにゃ。もっとゆっくり食べるにゃ。」
あまりの勢いに俺とイブが心配して注意をするが、そんなことはお構いなしにあっという間に器を空にして嬉しそうに叫んだ。
「ゥニャニャナ~ン!」
「…おかわりだそうですにゃ。お前、良い喰いっぷりだにゃ! 気に入った!」
アダムは俺に分かる言葉に直して小さな猫の言っている言葉を俺に伝えると、ニカッと笑って小さな猫の背中をポンポンと叩いた。
「アハハハハハ……。仲間が増えるのは良いんだけどさ、言葉の分からない俺とリリアはこのままだと不便なんだよね~。……そういえば、アダムとイブはどうして喋れるの? あの時マルスの実を食べたのはパウロだけだっただろ…確か……。」
「それはあの時マルスの実を食べる前にパウロ様と“血の契約”を結んだからですにゃ。それによって互いの魔力を繋ぐことにより眷属となることができたので、主たるパウロ様の能力の変化は魔力の鎖を通じて眷属たる私たちにももたらされるのですにゃ。」
「魔力の鎖……?」
得意げに教えてくれたアダムの話の中にある、初めて聞いた言葉に俺は首を傾げた。
サクラヴェール国の城で勉強していた時には3つもの言語を覚えなければならず、その勉強だけでいっぱいいっぱいになってしまっていた為、常識などについては必要最低限度過ぎる程少ししか勉強ができなかったことが今更ながら悔やまれた。
「母親のお腹の中に居る時から大きくなるまでは親と繋がれていて、巣立ちの時に大人になった証として切り離されるやつだにゃ。んで、結婚する契りを結んだりするとその相手と繋がれるっってやつにゃ。この契りを結ばないと正式に結婚したとは認められないっていう大事なやつなのにゃ~。」
「阻害の魔法でも使わない限りはその鎖のお陰でどこに行ったのかすぐに分かるから、迷子になることがなくて便利だよね~。あと、王様や聖人様への忠誠を表して主従の関係を結ぶ時にもやるんだよ、お兄ちゃん。」
アダムの話を補足する様にイブとリリアが更に詳しく俺に教えてくれた。
「へ~ぇ…。それってどうやるの?」
「一般的には主たる者の血を少量、従たる者に飲ませて特別な儀式をするのにゃん。そうすれば契約は結ばれて魔力印が刻まれるって寸法にゃん。結婚の場合はこれを互いがやり合うって事なんだけど……、人間はどうやらそこの所のやり方が私たちと違って複雑らしいにゃ。」
「あっ! じゃあ俺とリリアもまだ正式には認められてないって事か~……。」
話の流れで俺がふと気が付いたことを口にすると、リリアはやってしまったという顔でハッとして慌てた様子でスクッと立ち上がって俺の方を向いた。
「だ、だからって結婚するのを無しになってさせないんだからね! まだ契りを結んでないからっていって、変更なんてもうできないんだからっ!」
村を出て旅をするという許しを母親から得た条件の1つとして俺と結婚するという事で俺の妻だとリリアは言い続けてきたが、周りからどう見られるのかというのを凄く気にする俺はリリアの11歳という年齢もあって人から聞かれた際にはいつも兄妹ということにしていた。
俺がこの世界における決まり事を知らないのや村を急いで旅立つことになったというのもあり、村の人らに『結婚する』と言ってきただけで特に何もせずに出てきたが、俺が兄妹だ兄妹だと誤魔化していることにリリアは不安を感じていたみたいだ。
俺の不用意な発言によってリリアは俺に気付かれたくなかった事に気付かれてしまったという事に動揺し、半ば泣きそうな顔になっていた。
16歳の俺から見ればしっかりしているとはいっても11歳のリリアはまだまだ子供で妹ぐらいにしか思えず、リリアに押し切られてした結婚の約束も子供のお遊び程度にしか思っていなかった。
結婚相手どころか人生初の彼女となった相手が5歳も年下の子供だってことが受け入れられなかったというのもあるのかもしれないが、そもそもが恋愛感情があっての事ではなかったのだから仕方がないと思う。
「ごめん……。」
それだけ言うとリリアをそっと抱き寄せた。
「正式に認められた結婚をしてないと今更知ったからといって無しになんてしないよ…。リリアは俺にとって大事な人だもの。俺が人の目を気にするあまりに兄妹とか言って誤魔化したりとかして、それで不安にさせてしまってたんだね………ごめん。俺、リリアと正式に結婚するよ!」
平和ボケした日本で生きてきていた俺よりも、魔物の脅威や戦争が身近にあって死と隣り合わせのこの世界で生まれ育ったリリアの方が内面的にはずっと大人で、村を出る事や旅をするという事は決して簡単な事ではなく二度と戻れないという決意が必要で、俺が思っていたよりもずっとずっと大事だった様だ。
村を出る為にした俺との結婚の約束も、ちょっとした発言で不安にさせてしまう程リリアにとっては重大な決断で、子供が言う事だからと軽く考えていた俺が恥ずかしく思えて自分自身に苛立った。
「俺の方が子供だよな………。」
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