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第5章 港湾都市オズリック
5.疲労と睡眠
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ヴェナンツィオが出ていくと、部屋の豪華さに呆気に取られて突っ立ったままだった俺たちは一先ず目の前にあるリビングに置かれたソファに腰を掛けた。
「ね、ねぇ…お兄ちゃん。私たち、本当にここに泊まっていいの?」
「あ、あぁ…。」
宿まで手配してくれると言ったドナートに甘えてここまで来てみれば、用意されていたのは寝室が2つにリビングまである所謂スイートルームであった事に分不相応なのではないかと驚愕し、1泊幾らぐらいするのだろうかと緊張からビクビクしていた。
「とりあえず…宿は確保できたことだし、ご飯でも食べに行くか……。」
「……また、あの変てこなやつに乗るの?」
「そりゃ、ご飯食べに出るには下に降りなきゃならないし………。」
リリアも猫たちも、あのエレベーター擬きにまたもや乗らなければならないという事が分かると、顔色を青くして固まってしまった。
「…怖いの?」
俺の問いかけにリリアは抱えていたパウロをギュッと強く抱き締めてコクリと頷き、猫たちもウンウンと何度も首を縦に振って返事をした。
「そっか……。じゃあ、まぁ疲れたし…。時間は早過ぎるけど、お風呂でも入ってから今日はもう寝ることにするか……。」
その俺の提案に皆の顔はパッと明るくなり、さっきまでの重苦しい雰囲気も消えた。
今怖い思いをしたばかりなのに、すぐさま同じことを再びすることもないだろうと皆を落ち着かせるために今日の夕飯は無しにして、リリアや猫たちがこのホテルの部屋やサクラヴェール国にはなかったこの国の文明に慣れることとを優先した。
先に滞在したホレイショーの街は、サクラヴェール国で見たどの街と比べても少し文明が進んでる感じだなと思う程度であり、困るほどの大差はなかった。
だが更にオフィーリア国の奥にあるこのオズリックの街は、リリアたちにとっては未来の世界にタイムスリップでもしたかの様にあらゆるものが違っていた。
見た目だけはホレイショーの街と然程変わらなかったのでホテルに入るまで気が付かなかったが、部屋の中にまでさっきヴェナンツィオが教えてくれた通信機器があったり、部屋の壁には絵画が飾ってあるのかと思う程薄いテレビの様な物があったり、部屋のドアにはドアノブに魔力を流すことによって開閉する魔力認識キーという電子ロックの様な物が付いていたりした。
「ほほーぉ! 壁際にティーセットが置かれた机があるなと思ったら…、いつでも温かいお茶が飲める様に沸かしたてのお湯が常に湧き出す面白いポットまで置いてあるんだな……。」
俺が地球で見たことのある物と似たようなものがたくさんあり、色々と弄りながらやっと慣れ親しんでいた文明に近い生活ができるのかと懐かしんでいると、バスルームに行ったリリアが俺を呼んだ。
「お兄ちゃ~ん。」
「どうした? リリア。」
「これって…、どうやるの?」
そう言ってリリアが指差した場所には割りと大きなバスタブがあり、その傍の壁には蛇口ではなくボタンのたくさん付いたパネルが埋め込まれていた。
「こりゃハイテクだなぁ…。え~っと……。」
ハイテクな装置だからというのは勿論だが、この中で唯一俺だけしかオフィーリア語の文字が読めないので、リリアには何をどうしたら良いのかさっぱり分からない様だった。
なので俺がパネルに書かれた文字を読みながらなんとかバスタブに湯を張ってから使い方を説明すると、リリアは猫たちと一緒にお風呂に入った。
最初ピエトロとアダムは嫌がってはいたが、数日前に雨の中を走ってだいぶ汚れていたこともあり、リリアとイブに強く説得されて渋々一緒に入って大人しく洗われていた。
暫くすると鼻歌や楽しそうな笑い声が聞こえだし、リリアも猫たちも皆落ち着いてきた様だと安心した。
風呂上りにリリアには温かいお茶を淹れ、猫たちには水をそれぞれに入れた。
「じゃあ俺も風呂に入ってくるからな。」
そう言って風呂場に行き、俺もサッパリしてから上がると、主寝室の大きなベッドの上で皆で丸まってスースーと寝息を立てていた。
おそらく先にベッドに潜って俺を待っていたのであろうがそこに俺の入るスペースが無かったのもあり、どうせならともう一つの寝室で今日は1人で寝ることにした。
だが横になっても寝るには早過ぎる時間のせいでなかなか寝付けず、俺は外に出ることにした。
「おや、お出かけですか? ルカ様。」
「あぁ。ちょっと食事にね…。……そうだっ! リリアと猫たちは疲れて部屋で寝てるんだけど、頃合いを見て何か軽い食事でも部屋に運んでおいてくれないかな?」
「良いですよ。」
ヴェナンツィオはニコリと笑って快く俺の頼みを聞き入れてくれた。
「さ~て、どこに行こうかな~?」
特に当てがある訳でもなかったので、昼間とは違った夜の賑わいをみせる街の中をフラフラと彷徨い歩いてみた。
そんな中で美味しそうな匂いに誘われて1軒の酒場を見つけると、それは小洒落たオープンテラスのある店であった。
「なかなか良い店があるじゃないか! 街中にあるオアシスの様な雰囲気だな……。」
「ね、ねぇ…お兄ちゃん。私たち、本当にここに泊まっていいの?」
「あ、あぁ…。」
宿まで手配してくれると言ったドナートに甘えてここまで来てみれば、用意されていたのは寝室が2つにリビングまである所謂スイートルームであった事に分不相応なのではないかと驚愕し、1泊幾らぐらいするのだろうかと緊張からビクビクしていた。
「とりあえず…宿は確保できたことだし、ご飯でも食べに行くか……。」
「……また、あの変てこなやつに乗るの?」
「そりゃ、ご飯食べに出るには下に降りなきゃならないし………。」
リリアも猫たちも、あのエレベーター擬きにまたもや乗らなければならないという事が分かると、顔色を青くして固まってしまった。
「…怖いの?」
俺の問いかけにリリアは抱えていたパウロをギュッと強く抱き締めてコクリと頷き、猫たちもウンウンと何度も首を縦に振って返事をした。
「そっか……。じゃあ、まぁ疲れたし…。時間は早過ぎるけど、お風呂でも入ってから今日はもう寝ることにするか……。」
その俺の提案に皆の顔はパッと明るくなり、さっきまでの重苦しい雰囲気も消えた。
今怖い思いをしたばかりなのに、すぐさま同じことを再びすることもないだろうと皆を落ち着かせるために今日の夕飯は無しにして、リリアや猫たちがこのホテルの部屋やサクラヴェール国にはなかったこの国の文明に慣れることとを優先した。
先に滞在したホレイショーの街は、サクラヴェール国で見たどの街と比べても少し文明が進んでる感じだなと思う程度であり、困るほどの大差はなかった。
だが更にオフィーリア国の奥にあるこのオズリックの街は、リリアたちにとっては未来の世界にタイムスリップでもしたかの様にあらゆるものが違っていた。
見た目だけはホレイショーの街と然程変わらなかったのでホテルに入るまで気が付かなかったが、部屋の中にまでさっきヴェナンツィオが教えてくれた通信機器があったり、部屋の壁には絵画が飾ってあるのかと思う程薄いテレビの様な物があったり、部屋のドアにはドアノブに魔力を流すことによって開閉する魔力認識キーという電子ロックの様な物が付いていたりした。
「ほほーぉ! 壁際にティーセットが置かれた机があるなと思ったら…、いつでも温かいお茶が飲める様に沸かしたてのお湯が常に湧き出す面白いポットまで置いてあるんだな……。」
俺が地球で見たことのある物と似たようなものがたくさんあり、色々と弄りながらやっと慣れ親しんでいた文明に近い生活ができるのかと懐かしんでいると、バスルームに行ったリリアが俺を呼んだ。
「お兄ちゃ~ん。」
「どうした? リリア。」
「これって…、どうやるの?」
そう言ってリリアが指差した場所には割りと大きなバスタブがあり、その傍の壁には蛇口ではなくボタンのたくさん付いたパネルが埋め込まれていた。
「こりゃハイテクだなぁ…。え~っと……。」
ハイテクな装置だからというのは勿論だが、この中で唯一俺だけしかオフィーリア語の文字が読めないので、リリアには何をどうしたら良いのかさっぱり分からない様だった。
なので俺がパネルに書かれた文字を読みながらなんとかバスタブに湯を張ってから使い方を説明すると、リリアは猫たちと一緒にお風呂に入った。
最初ピエトロとアダムは嫌がってはいたが、数日前に雨の中を走ってだいぶ汚れていたこともあり、リリアとイブに強く説得されて渋々一緒に入って大人しく洗われていた。
暫くすると鼻歌や楽しそうな笑い声が聞こえだし、リリアも猫たちも皆落ち着いてきた様だと安心した。
風呂上りにリリアには温かいお茶を淹れ、猫たちには水をそれぞれに入れた。
「じゃあ俺も風呂に入ってくるからな。」
そう言って風呂場に行き、俺もサッパリしてから上がると、主寝室の大きなベッドの上で皆で丸まってスースーと寝息を立てていた。
おそらく先にベッドに潜って俺を待っていたのであろうがそこに俺の入るスペースが無かったのもあり、どうせならともう一つの寝室で今日は1人で寝ることにした。
だが横になっても寝るには早過ぎる時間のせいでなかなか寝付けず、俺は外に出ることにした。
「おや、お出かけですか? ルカ様。」
「あぁ。ちょっと食事にね…。……そうだっ! リリアと猫たちは疲れて部屋で寝てるんだけど、頃合いを見て何か軽い食事でも部屋に運んでおいてくれないかな?」
「良いですよ。」
ヴェナンツィオはニコリと笑って快く俺の頼みを聞き入れてくれた。
「さ~て、どこに行こうかな~?」
特に当てがある訳でもなかったので、昼間とは違った夜の賑わいをみせる街の中をフラフラと彷徨い歩いてみた。
そんな中で美味しそうな匂いに誘われて1軒の酒場を見つけると、それは小洒落たオープンテラスのある店であった。
「なかなか良い店があるじゃないか! 街中にあるオアシスの様な雰囲気だな……。」
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