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第二章 銀色の拘束
第五十四話 本心は
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「おはよう、よく眠れたか?」
サイラスに向かって、先にそう挨拶すると、
「あ、ああ……」
どうもばつが悪そうだ。ふいっと視線を逸らされた。
「その、すまない……」
サイラスに謝られてしまった。謝らなくていいのにな。
「いいよ。むしろ私は嬉しい」
私がそう言ってもサイラスの堅い表情は崩れなくて、どうしたものかと悩んでしまう。近づこうとすればふっと離れられる。何でだ?
「今後の事、聞いてるか?」
私がそう話をふると、やっぱり何も聞いていないようで、怪訝そうな顔をされてしまった。そこで私は、五大魔道士から聞かされた話をし、しばらくこうして寝起きを共にすることを告げた。
どうやら私が気絶した後、サイラスは拘束を解こうとやっきになったようだ。疲労困憊で、あれ、眠ったんじゃ無くて、気絶だったんだな……。
こいつが魔力枯渇起こすなんてどんだけだよ、そう思った。膨大な魔力を持っていて、誰からも一目置かれていたのに……。本当に私と一緒が嫌だったんだな。ちょっと、いやかなり落ち込むぞ。
でも、聖女の私がいれば、狂気の揺れを最小限に抑えられるんだから、サイラスが心配したようなことは起こらない。心配はいらないと思う。だから、こうして一緒にいるくらい構わないんじゃないか、そう思うも、
「どうしてお前が聖女なんだ……」
サイラスに再度言われてしまう。そう言われても……。
「幸せになって欲しかったんだ。幸せに……今度こそ……」
何だろう、胸がきゅうっと締め付けられた。
サイラスのたったその一言に、酷く心を抉られるような響きがあったから、どれだけ後悔したのか、どれだけ悲しかったのか、痛いほど伝わってきたけれど、
「私は幸せだぞ?」
そう言うほかない。だって、これが真実なんだ。お前と過ごしたあの一時が、永遠の宝だと笑って言えるくらいに、私はむちゃくちゃ幸せだった。
「子も生めなかったのにか?」
そりゃ、悔しくて悲しかったけれど……。
「お前のせいじゃない」
そう言い切った。
「私のせいだ」
「なあ、サイラス。私はお前のいない百年を生きるより、お前と一緒に生きられる一年を選ぶぞ?」
私はサイラスの顔を無理矢理覗き込む。避けようとしたけれど、逃がさない。ここで逃げられてたまるか。
「だって、お前に会いたくて生まれてきたのに、そのお前がいないんじゃ意味がない。なぁ、サイラス、幸せって何だ? 本人が幸せって感じる時が、一番幸せなんじゃないのか? たとえ端から見たら不幸せに見えても、本人が幸せって感じるなら、それが一番幸せなんだよ。中身の無い、はりぼての幸せなんか、私はいらない。お前がいい。お前の傍がいっとう幸せだ」
そのまま抱きついてやった。だって、本当に幸せなんだ。この一時が一生と引き換えでも、きっと私は後悔しないって確信できる。ふっと、サイラスに抱きしめ返されて、もう至福だった。多分、今の私は最高に良い顔してるはずだ。
「愛してるよ、誰よりも」
サイラスの胸に顔を埋めてそう囁くと、
「……私もだ」
答えは期待していなかったのに、サイラスからそう囁き返されて、もう至福マックスだった。いや、興奮マックスか? 目をかっぴらいてしまう。
聞いた! 間違いなく聞いたぞ! 愛してるって言った! 本当か? 身を離し、興奮気味にそう聞き返そうとしたけれど、
「えぇええええええええええええ!」
誰かの叫び声が耳を直撃し、つんのめりそうになる。
叫んだ奴、誰だぁ! 煩いぞ! 見ると、声の発信元を探せばヨアヒムだった。精霊の笛がやんでる。ああ、そういや、こいつがいたんだっけ。目が半眼になってしまう。
「何だよ?」
かなり視線が険悪になっていたように思う。が、こればかりはしょうが無いと諦めろ。一番いいところで邪魔されたんだから。
「え? あ、いや……」
もの凄いあほ面になってるぞ、ヨアヒム。一体どうした?
「泣いた……」
はい?
「サイラスみたいなのが泣くなんて信じられな……」
あ、ゼノスに蹴られた。私が蹴りたかったよ。一体サイラスをどんな奴だと思ってたんだよ、お前。ほんっと失礼な奴だな!
「どういう意味だ!」
ゼノスが叫ぶ。うん、私も聞きたい。
「だって、サイラスは合成種で超おっかない人殺しの人非人……」
言葉途中で、ヨアヒムはゼノスに拳で頭を挟み込まれて、そのままぎりぎりぎりと頭を締め付けられた。私も参加したいぞ! 今回ばかりは! 見た目可愛くても! 許せないこともあるからな!
「お、ま、え、はーーーーー!」
「いたたいたた、ごめんなさぁあい!」
ヨアヒムが泣き叫ぶ。南無三。まぁ、自業自得。私は止めない。
「エラ! もう一回ミネア様を降ろせ!」
「ごめごめ、ほんっとうにごめんなさあぁい! 許しててえええええ!」
完璧、ミネア様が苦手になってんな。気持ち分かる。私も苦手だ。サイラスの件が無ければスルーしたい。というわけで、どさくさ紛れにサイラスに抱きついてみる。サイラス成分がないと、怒鳴り散らしそうだ。ああ、癒やされるぅ……。
ぐりぐりと胸に顔を埋めれば、サイラスが髪を撫でてくれて嬉しい。以前と同じ感触に顔が緩む。幸せできっと顔が緩みまくってるんだろうな。
合成種達がその場を離れたのは、その直ぐ後だったけれど、
「部屋の外で待機しています」
真面目なエドガーは護衛の任務を放棄しなかった。本当、真面目だなお前。
でも、そうすると、サイラスの護衛をしているユリウスと扉の前でにらめっこか? ま、エドガーは合成種ともやり合える実力があるって言ってたから大丈夫なのか。
全員出ていくと、しんっと部屋が静まりかえる。サイラスと二人っきりだ。
「エラ」
振り返ると手を差し出しているサイラスがいて、
「もう一度、私と……」
台詞を皆まで聞くこと泣く、私は彼の胸に飛び込んでいた。そのまま力一杯抱きしめる。嬉しくて嬉しくて……。
見上げれば、見慣れた青い瞳が自分を見下ろしていた。晴れ渡った空の色の……。魅せられるってきっとこんな感じなんだろうな。
唇に感じた口づけは甘くて切なくて、ついばむようなそれが、熱くて激しいものに変わるのは、さほど時間はかからなかった。愛している、言葉にしなくてもそんなサイラスの思いが染み渡るように伝わってきて、心が震える。
子供が出来たら今度こそ生みたい……。そんな事を夢うつつで思った。
翌朝、約束通りビビアンがやってきてくれたけれど、
「ん? 入浴と排泄の魔術……どっちも使った感触があるけど、一体誰が……」
ビビアンに不審げな目をむけられてしまう。
えーっと……はい、とっくのとうにサイラスがやってくれました。あの魔術どっちも気持ちいいのな。入浴の魔術はミストサウナに入ったような感触があってほっこりするし、排泄の魔術はすっきり感が普通にやってくる。癖になりそうだ。
ビビアンは身支度をしているサイラスの方をじっとみやり、
「もしかして、もう手を出された?」
ずばっと言ってくれて、えへへと笑うしかない。
サイラスに向かって、先にそう挨拶すると、
「あ、ああ……」
どうもばつが悪そうだ。ふいっと視線を逸らされた。
「その、すまない……」
サイラスに謝られてしまった。謝らなくていいのにな。
「いいよ。むしろ私は嬉しい」
私がそう言ってもサイラスの堅い表情は崩れなくて、どうしたものかと悩んでしまう。近づこうとすればふっと離れられる。何でだ?
「今後の事、聞いてるか?」
私がそう話をふると、やっぱり何も聞いていないようで、怪訝そうな顔をされてしまった。そこで私は、五大魔道士から聞かされた話をし、しばらくこうして寝起きを共にすることを告げた。
どうやら私が気絶した後、サイラスは拘束を解こうとやっきになったようだ。疲労困憊で、あれ、眠ったんじゃ無くて、気絶だったんだな……。
こいつが魔力枯渇起こすなんてどんだけだよ、そう思った。膨大な魔力を持っていて、誰からも一目置かれていたのに……。本当に私と一緒が嫌だったんだな。ちょっと、いやかなり落ち込むぞ。
でも、聖女の私がいれば、狂気の揺れを最小限に抑えられるんだから、サイラスが心配したようなことは起こらない。心配はいらないと思う。だから、こうして一緒にいるくらい構わないんじゃないか、そう思うも、
「どうしてお前が聖女なんだ……」
サイラスに再度言われてしまう。そう言われても……。
「幸せになって欲しかったんだ。幸せに……今度こそ……」
何だろう、胸がきゅうっと締め付けられた。
サイラスのたったその一言に、酷く心を抉られるような響きがあったから、どれだけ後悔したのか、どれだけ悲しかったのか、痛いほど伝わってきたけれど、
「私は幸せだぞ?」
そう言うほかない。だって、これが真実なんだ。お前と過ごしたあの一時が、永遠の宝だと笑って言えるくらいに、私はむちゃくちゃ幸せだった。
「子も生めなかったのにか?」
そりゃ、悔しくて悲しかったけれど……。
「お前のせいじゃない」
そう言い切った。
「私のせいだ」
「なあ、サイラス。私はお前のいない百年を生きるより、お前と一緒に生きられる一年を選ぶぞ?」
私はサイラスの顔を無理矢理覗き込む。避けようとしたけれど、逃がさない。ここで逃げられてたまるか。
「だって、お前に会いたくて生まれてきたのに、そのお前がいないんじゃ意味がない。なぁ、サイラス、幸せって何だ? 本人が幸せって感じる時が、一番幸せなんじゃないのか? たとえ端から見たら不幸せに見えても、本人が幸せって感じるなら、それが一番幸せなんだよ。中身の無い、はりぼての幸せなんか、私はいらない。お前がいい。お前の傍がいっとう幸せだ」
そのまま抱きついてやった。だって、本当に幸せなんだ。この一時が一生と引き換えでも、きっと私は後悔しないって確信できる。ふっと、サイラスに抱きしめ返されて、もう至福だった。多分、今の私は最高に良い顔してるはずだ。
「愛してるよ、誰よりも」
サイラスの胸に顔を埋めてそう囁くと、
「……私もだ」
答えは期待していなかったのに、サイラスからそう囁き返されて、もう至福マックスだった。いや、興奮マックスか? 目をかっぴらいてしまう。
聞いた! 間違いなく聞いたぞ! 愛してるって言った! 本当か? 身を離し、興奮気味にそう聞き返そうとしたけれど、
「えぇええええええええええええ!」
誰かの叫び声が耳を直撃し、つんのめりそうになる。
叫んだ奴、誰だぁ! 煩いぞ! 見ると、声の発信元を探せばヨアヒムだった。精霊の笛がやんでる。ああ、そういや、こいつがいたんだっけ。目が半眼になってしまう。
「何だよ?」
かなり視線が険悪になっていたように思う。が、こればかりはしょうが無いと諦めろ。一番いいところで邪魔されたんだから。
「え? あ、いや……」
もの凄いあほ面になってるぞ、ヨアヒム。一体どうした?
「泣いた……」
はい?
「サイラスみたいなのが泣くなんて信じられな……」
あ、ゼノスに蹴られた。私が蹴りたかったよ。一体サイラスをどんな奴だと思ってたんだよ、お前。ほんっと失礼な奴だな!
「どういう意味だ!」
ゼノスが叫ぶ。うん、私も聞きたい。
「だって、サイラスは合成種で超おっかない人殺しの人非人……」
言葉途中で、ヨアヒムはゼノスに拳で頭を挟み込まれて、そのままぎりぎりぎりと頭を締め付けられた。私も参加したいぞ! 今回ばかりは! 見た目可愛くても! 許せないこともあるからな!
「お、ま、え、はーーーーー!」
「いたたいたた、ごめんなさぁあい!」
ヨアヒムが泣き叫ぶ。南無三。まぁ、自業自得。私は止めない。
「エラ! もう一回ミネア様を降ろせ!」
「ごめごめ、ほんっとうにごめんなさあぁい! 許しててえええええ!」
完璧、ミネア様が苦手になってんな。気持ち分かる。私も苦手だ。サイラスの件が無ければスルーしたい。というわけで、どさくさ紛れにサイラスに抱きついてみる。サイラス成分がないと、怒鳴り散らしそうだ。ああ、癒やされるぅ……。
ぐりぐりと胸に顔を埋めれば、サイラスが髪を撫でてくれて嬉しい。以前と同じ感触に顔が緩む。幸せできっと顔が緩みまくってるんだろうな。
合成種達がその場を離れたのは、その直ぐ後だったけれど、
「部屋の外で待機しています」
真面目なエドガーは護衛の任務を放棄しなかった。本当、真面目だなお前。
でも、そうすると、サイラスの護衛をしているユリウスと扉の前でにらめっこか? ま、エドガーは合成種ともやり合える実力があるって言ってたから大丈夫なのか。
全員出ていくと、しんっと部屋が静まりかえる。サイラスと二人っきりだ。
「エラ」
振り返ると手を差し出しているサイラスがいて、
「もう一度、私と……」
台詞を皆まで聞くこと泣く、私は彼の胸に飛び込んでいた。そのまま力一杯抱きしめる。嬉しくて嬉しくて……。
見上げれば、見慣れた青い瞳が自分を見下ろしていた。晴れ渡った空の色の……。魅せられるってきっとこんな感じなんだろうな。
唇に感じた口づけは甘くて切なくて、ついばむようなそれが、熱くて激しいものに変わるのは、さほど時間はかからなかった。愛している、言葉にしなくてもそんなサイラスの思いが染み渡るように伝わってきて、心が震える。
子供が出来たら今度こそ生みたい……。そんな事を夢うつつで思った。
翌朝、約束通りビビアンがやってきてくれたけれど、
「ん? 入浴と排泄の魔術……どっちも使った感触があるけど、一体誰が……」
ビビアンに不審げな目をむけられてしまう。
えーっと……はい、とっくのとうにサイラスがやってくれました。あの魔術どっちも気持ちいいのな。入浴の魔術はミストサウナに入ったような感触があってほっこりするし、排泄の魔術はすっきり感が普通にやってくる。癖になりそうだ。
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