俺は鑑定眼で全てを掌握する

浜柔

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4.ちょっと興奮してしまった

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 冷や汗はかいたが、結果オーライだ。
 改めて〈スキル〉を使って〈スキル〉の説明を見ると、記述が追加されていた。

 ・神域外において、スキルを取得できる。
 ・ステータス及び〈鑑定〉にて、スキルのレベルを知覚できる。

 飛んだ落とし穴だ。神域とは、多分この白い部屋の事だろう。その外でスキルを取得できるなんて事を、わざわざ書いているところからすれば、ヘルプが異世界では使えないのだと思われる。つまり、今後を考えれば〈スキル〉は必須スキルだった訳だ。

 そして、少し整理してみよう。

 スキルにはレベルが有り、スキルのレベルが上がるとステータスも上がる。
 このステータスの上昇が、スキルそれぞれで起きるのか、最高レベルのスキルに依存するのかは、検証しなければいけないが、多分、前者だ。そうでなければ、元々持っていたスキルのレベルと整合性が取れない。

 ステータスのスキルの横に有る数字は、スキルのレベルである。
 〈スキル〉の説明からすると、それ以外に考えられない。

 最初から持っていたスキルは、ステータスに影響しない。
 そうじゃなければ、俺のステータスが最低値だった説明がつかない。

 そして、白い部屋の中でもスキルのレベルが上がる。
 これを利用し、白い部屋の中で使えるスキルを使いまくってレベルを上げる事で、新しいスキルをまた取得できるようになる。そしてそのスキルのレベルを上げれば、また別のスキルを取得できる。それを繰り返せば、あらゆるスキルを取得できるかも知れない。

 一体どれだけの時間が掛かるかは、判らないがな。
 まあ、〈スキル〉のレベル上げに勤しむとしよう。更にレベルを上げると、何か有るに違いない。



 方針を決めて一息吐いたら、先生達が何やら騒々しいのに気付いた。

「先生達は何を騒いでるんだ?」
「ケケッ、今頃気付くとは、流石ゲスオだぜ」

 夕立友美の嘲りが癇に障るが言い返せない。ぐぬぬ……。

「体育の先生が2人、異世界を下見してくるって出て行って、戻ってこないんだよ」
「は?」

 漣小枝子が疑問に答えてくれた。

「戻ってこられないくらい、判りそうなものなのに」

 続きが有った。やはり少々毒を含んでいる。
 しかし、確かに漣の言う通りではある。一度異世界に行ってしまえば、この世界に戻ってこれる方がおかしい。そんな当然とも思える事に気付かない程、混乱しているんだろうか? それとも、敢えて行ったのか。いずれにしても、結果は同じだ。
 異世界の住人となってしまった二人が〈スキル〉を持っているとは考え難い。それどころか、何かのスキルを取ったかどうかも怪しい。長生きはできないだろう。

 まあ、俺には関係ないな。

 先生達は生徒をほったらかしにしたまま、話し合いなのか怒鳴り合いなのか判らない事を続けている。役に立たない連中だ。
 まあ、役に立たなさで言えば、生徒達はもっと役に立たない。今度どこそこの店に行こう、みたいな事を話しているのが聞こえる。現実逃避してしまっているのだろう。

 中には、役割分担をして異世界に臨もうとしているらしき班も有る。「俺が鍛冶だ」とか、「俺が戦士だ」とか言う声が漏れ聞こえてくる。異世界でも班行動を続けるつもりなのだろうか。



 周りの連中を気にしても仕方ないので、俺は俺のやる事をやる。〈スキル〉のレベル上げと、この部屋で使えるスキルのピックアップをしなければならない。複数のスキルのレベルアップをしてみる必要もある。

 〈スキル〉に集中する事も考えたが、ここは〈鑑定〉を取得する。これなら確実にこの部屋でも使える筈だ。
 〈鑑定〉を取得した理由は単純で、〈スキル〉ばかりだと飽きるからである。交互にレベル上げをすれば、多少は飽きるのを誤魔化せる。

 〈鑑定〉を使って、まずは同じ班になった連中を見てみよう。

 夕立友美《ゆうだちゆみ》、17歳、身長162cm、体重54kg、B85、W59、H80。
 朝潮芙久子《あさしおふくこ》、16歳、身長156cm、体重49kg、B80、W57、H79。
 漣小枝子《さざなみさえこ》、16歳、身長148cm、体重42kg、B74、W55、H74。
 睦月《むつき》むつみ、17歳、身長152cm、体重45kg、B76、W56、H77。

 名前と年齢と外見のサイズしか判らない。
 スキルも見える筈じゃなかったのか?
 いや、〈スキル〉同様に〈鑑定〉のレベルが上がれば、知覚できる情報が多くなると考えるべきだ。レベル上げを頑張るしかあるまい。

 だが、しかーし、外見のサイズが判ると言うのは、美味しい。ビッチの二人、夕立と朝潮は、見た目にもエロいが、数字的にもエロかった。
 二人の見た目のエロさは、クラスの中でも群を抜いている。普段からパンツが見えそうな位に制服のスカートを短くしていて、長い足を惜しげもなく晒している。シャツのボタンも2つ目まで外していて、胸の谷間が見え隠れする。

 あの足や胸をねっとりと撫で回したい。
 担任が赤城先生じゃなければ、おかずナンバー1とナンバー2だろう。先生が居るから、ナンバー2とナンバー3だ。
 ん? 順位一つ位じゃ、あまり変わらないか。

「ゲスオ! 気持ちわりー目で、こっち見んじゃねーよ!」

 夕立の奴め、勘が鋭い。

「やっぱりゲスオって言われるだけの事はあるんだね……」

 漣の呟きが、妙に心を抉ってくる。侮れない奴。
 気を取り直して、赤城先生も〈鑑定〉してみる。

 赤城青子《あかぎあおこ》、26歳、身長167cm、体重58kg、B92、W61、H85。

 ムチムチでエロエロだ。見ていると鼻息が荒くなってくる。

「今度はセンセーを見て興奮してるのか。キモ過ぎだろ」

 また夕立が何やら言ってきた。
 だけど、さっきから俺の事を気にしすぎじゃね?

「何だ? さっきから。もしかして、夕立は俺に気が有んのか?」
「馬鹿か!? てめーは! ゴキブリが居れば、気になって見ちまうのと一緒だ!」

 ですよねー。
 何となく、そんな気はしていた。

「自意識過剰で馬鹿みたい……」

 漣……、もうちょっと手加減してくれ。
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