227 / 627
227 単位
しおりを挟む
ルキアスは普段なら二時間掛けて進む距離を一時間で飛んだ。その間最も苦心したのは、風を避けるためになるべく低い姿勢を保ったことだろう。
二人は最初に行き着いた島の真ん中に降り立った。海岸線ではクラーケンに襲われる心配があり、万が一海の中に引き摺り込まれたらお終いだ。
そして足下の草の上には着陸前に仕留めたホーンラビットの骸が幾つか転がっている。
「ホーンラビットが居るとは思わなかったよ」
「島に魔物が何も居ないのもアレだし、ホーンラビット程度で良かったんじゃないか?」
「そうだね」
二人はポジティブに考えることにした。変に強い魔物に絡まれても嬉しくはない。
改めて島を見渡すと、三角形に近い形をしている。海岸線は砂浜だが、中の方は丈の低い草地だ。もしも宝箱がこの草地に紛れているなら探すのが厄介なことになる。
「結構大きい島だよね」
二分も歩けば端から端まで縦断できるくらいの大きさなので、現実と照らし合わせれば大きな部類ではない。だがここまで第四階層の沼に浮かぶ島ばかりを見ていたためか、ルキアスには大きく感じられた。
「宝箱を探すには広くて骨だな」
「だねー」
島そのものは大きくなくても、物を探すとなれば話は別だ。どこに在るかも判らない物を探すには些か広すぎる。第一印象として広く感じていたこともあって、少し気が遠くなる思いのルキアスだ。
「ざっと見て回って、それっぽいのが無かったら別の島を上から探そうぜ」
「そうだね。でもその前に座標を見ておかないと」
「おっと、そうだった」
普段していない事はつい忘れがちになるものだ。しかし思い出したので早速確かめる。
ところが二人は数字に違和感を持った。
「数字が少し変じゃない? なんかこう、感覚より一割少なく表示されてる感じ」
「だな。そんな感じだ。しかしこの“単位:m”って何だ?」
「何だろうね……。だけどまあこのmってので表示されてるってことだよね?」
「そうなるのか……」
「それで、メモ書きするのはやっぱりこのmでだよね?」
「魔道具に表示されるまま書くしかないからそうなるな」
二人は島の座標を“単位:m”でメモ書きした。
それから手分けして宝箱を探すが、それらしい物は全く見付けられなかった。さすがに手掛かりも無しに広い草地の草を一つ一つ掻き分けてもいられない。そんな事をすればこの島だけで日が暮れてしまう。宝箱が在る保証も無い場所にそんな時間は掛けられない。
「全然だめだな。手掛かりになりそうなのもさっぱりだ」
「他に行こうか?」
「だな」
二人は次の島へと飛んだ。
二人は最初に行き着いた島の真ん中に降り立った。海岸線ではクラーケンに襲われる心配があり、万が一海の中に引き摺り込まれたらお終いだ。
そして足下の草の上には着陸前に仕留めたホーンラビットの骸が幾つか転がっている。
「ホーンラビットが居るとは思わなかったよ」
「島に魔物が何も居ないのもアレだし、ホーンラビット程度で良かったんじゃないか?」
「そうだね」
二人はポジティブに考えることにした。変に強い魔物に絡まれても嬉しくはない。
改めて島を見渡すと、三角形に近い形をしている。海岸線は砂浜だが、中の方は丈の低い草地だ。もしも宝箱がこの草地に紛れているなら探すのが厄介なことになる。
「結構大きい島だよね」
二分も歩けば端から端まで縦断できるくらいの大きさなので、現実と照らし合わせれば大きな部類ではない。だがここまで第四階層の沼に浮かぶ島ばかりを見ていたためか、ルキアスには大きく感じられた。
「宝箱を探すには広くて骨だな」
「だねー」
島そのものは大きくなくても、物を探すとなれば話は別だ。どこに在るかも判らない物を探すには些か広すぎる。第一印象として広く感じていたこともあって、少し気が遠くなる思いのルキアスだ。
「ざっと見て回って、それっぽいのが無かったら別の島を上から探そうぜ」
「そうだね。でもその前に座標を見ておかないと」
「おっと、そうだった」
普段していない事はつい忘れがちになるものだ。しかし思い出したので早速確かめる。
ところが二人は数字に違和感を持った。
「数字が少し変じゃない? なんかこう、感覚より一割少なく表示されてる感じ」
「だな。そんな感じだ。しかしこの“単位:m”って何だ?」
「何だろうね……。だけどまあこのmってので表示されてるってことだよね?」
「そうなるのか……」
「それで、メモ書きするのはやっぱりこのmでだよね?」
「魔道具に表示されるまま書くしかないからそうなるな」
二人は島の座標を“単位:m”でメモ書きした。
それから手分けして宝箱を探すが、それらしい物は全く見付けられなかった。さすがに手掛かりも無しに広い草地の草を一つ一つ掻き分けてもいられない。そんな事をすればこの島だけで日が暮れてしまう。宝箱が在る保証も無い場所にそんな時間は掛けられない。
「全然だめだな。手掛かりになりそうなのもさっぱりだ」
「他に行こうか?」
「だな」
二人は次の島へと飛んだ。
48
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ
ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた
いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう
その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った
だけど仲間に裏切られてしまった
生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい
そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル
異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた
なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった
孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます
さあ、チートの時間だ
最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
病弱な僕は病院で息を引き取った
お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった
そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した
魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる