生活魔法は万能です

３１９ 装備

　ルキアスは装備も大幅に替えている。
　以前は普通のシャツやズボンに自作の鉄板を縫い付けただけだったが、鉄板を仕込むベースを市販の皮鎧に替えた。ブーツも新調した。踝の周囲にポケットが付いていて、足の腱を守る鉄板を仕込めるようになっている。仕込もうと思えばナイフを仕込むことも可能だが、恐らくそうしなければならないようにはならないだろう。

　最も大きな変化はマントだ。以前は着けていなかったマントを着けるようになった。膝下まであるマントで裾の方に目の細かい金網を縫い付け、防御力を強化している。これによって背後から攻撃を受けてもある程度のダメージを軽減が可能だ。またこの金網は重りとしての役割もあって、マントが不用意に翻るのを抑える働きをする。しかしその一方でまくり上げようにも上げられないのもまた事実。このためマントの両側にスリットを入れて腕を出せるようにしている。これで防御に不安を覚えずに銃を構えられるのだ。このスリットから腕を出した状態ではマントは袖の無い少々不格好なローブに見える。

　こうして防御を中心に装備を調えたのも、以前の間に合わせの装備では防御力にはかなり不安があったためだ。これが慎重に動かなければならない状況を生み、慎重に動くから探索が捗らず、探索が捗らないから収入も低い悪循環にもなっていた。今でこそ第二階層ともっと下の階層とで半々で活動しているが、装備を揃える前は第二階層での活動が殆どに近かった。
　結果的に全く先に進めない日々が続くことになり、漸く防御の重要性を悟ったのだ。それで最大限防御力を上げるべく、有り金を叩くようにして装備を買い揃えたのである。

「こんなもんかな」

　ルキアスは今し方仕留めたホーンラビットを前に銃口を上げる。
　二〇弾の習熟はそこそこになった。完璧には程遠いが、こればかりは時間が必要だ。撃つ際の力の入れ具合を見極め、撃った後の取り回しでもたつかずに済むようになっただけで今は満足するべきだろう。