生活魔法は万能です

浜柔

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428 試運転

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 ルキアスは釜に『湧水』で水を入れ、蓋を閉める。

「スパナでぎっちり締め付けてくれたまえよ」

 フヨヨンが差し出すスパナを受け取り、ルキアスは蓋を締め付けた。

「そのスパナもあげるけど、もし失くしたりした時は道具屋で買えばいいからね。スパナを引っ掛ける部分は規格に合わせてあるから出来合いで十分さ」
「ありがとうございます」
「じゃあ水を入れた釜を目一杯『加熱』したまえ。『加熱』するのは釜だけだよ」

 ルキアスは頷いて『加熱』を始めた。

「その釜で起こした蒸気は釜の上の方に付いているパイプを通って反対側の蒸気機関に送られてピストンを上下に動かし、そのピストンの上下動はクランクと歯車でタンクの取り付け場所の下に在るポンプを動かしてタンクに空気を注入するのさ」

 フヨヨンの説明に合わせるようにゴトゴトと音がし始めた。

「一度に理解するのはちょっと……。ただ使った蒸気はどこに行くんですか?」
「それに気付いたかい? ピストンを動かした後の蒸気は釜と蒸気機関の間に在る復水器で水に戻した後、釜の下から出ているパイプを通して釜に戻されるのさ」
「水に戻しちゃうんですか?」
「そうしないと釜に戻しても圧力が下がったりの不具合が出てしまうからね」
「なるほど……、判らないけど判りました」

 理由は判らないが、理由があるのは判ったルキアスである。

「あっと、復水器には『冷却』を付与したアダマントを仕込んでいるから、魔法が切れたら自力で付与するかロマにボク宛で伝言を頼めば代わりを送るからね」
「その時は魔法で『冷却』しても大丈夫ですか?」
「おや? 『冷却』を使えるのかい? それならいっそ『冷却』し易いようにカバーを外した方がいいようだね。後で作り替えるとしよう」

 ブシューッ……。
 ポンプ付近から空気が抜ける音がした。

「ちょうどチャージが完了したようだね。この音は過剰チャージにならないよう、ポンプに付けた安全弁の音さ。規定の圧力以上になると作動するようにしているからね。これは同時にチャージ完了の合図にもなっている。タンクにも安全弁を付けているけど、タンクの安全弁は一度動くとタンクを使えなくなるから注意してくれたまえよ」
「判りました」
「さて、このタンクなんだがね。この先端のピンを押し込むと空気が出るようになっている。弾丸を一発飛ばす程度なら押し込んで直ぐ放すくらいの時間で出る空気で十分な筈だよ。ハンマーで叩くくらいじゃないと押し込めないのは注意だね。それと、押し込む時は真っ直ぐ押し込まないと壊れるからね」
「判りました。それで銃の改造をやってみます」

 銃の改造も待ったなしなルキアスである。
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