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533 折れたのを
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「ザネク、ちょっとこの剣を使ってみてくれる?」
「この剣は?」
「この前タイラクさんが折った剣を修理してみたんだ。ちょこっと短くなったけど、使えるかな? って」
「折れたのを修理ね……」
ザネクは矯めつ眇めつ剣を検分する。剣の肌には凸凹した部分が見える。
「確かにおかしなムラがあるな」
ザネクは一つ頷いて、剣を数度素振りする。
「いきなり実戦は危なっかしいからルキアスの『傘』で試させてくれ」
ルキアスは頷いて横に向けて『傘』を差した。
「いいよ」
「おう」
ザネクは十数回斬り付ける。そして然る後に刃先を検分する。
「大丈夫そうだ。本番行ってみるか」
そして魔物を一体倒す度に刃先を検分して幾度か目。
「全然大丈夫だな。なあ、ルキアス? もしかして剣を一から作れたりしないか?」
「?」
ルキアスが首を傾げると、ザネクは腰に提げたままの使い慣れた剣を叩いてみせる。
「この剣も悪くはないが出来合いの品だから使い勝手もそこそこなんだよ。今なら金もあることだし、そろそろオーダーメイドで作ろうと思う訳だ。でも使い勝手を良くするには試作を繰り返さなきゃならないだろ? それを鍛冶屋に頼んだんじゃ時間がどんだけ必要か判ったもんじゃなくてな」
「なるほど、そう言うことなら力になるよ」
「サンキュー」
「じゃあ、その折れてた剣を使って色々作ってみるよ」
「いや、もっと長いのも試してみたいから、これじゃ無理だろ?」
「二、三度保てばいいでしょ? それなら形を整えるだけだから無理ってことはないよ。その剣をちょっと貸して」
ルキアスはザネクから剣を受け取って継ぎ目付近を持つと、『捏ね』て引き千切った。
「気持ち悪っ!」
シャルウィは両腕を摩りながら足踏みをした。ルキアスがジトッとした目で見やれば掠れた口笛を吹いて素知らぬ振りをする。しかしチラッとルキアスを見やると小さく溜め息を吐いた。
「……人の手じゃ変形する筈のない鉄が変形するのを見たらぞわぞわするのよ」
「なら、シャルウィは見ないようにしてて」
「……怖いもの見たさってあるじゃない?」
「「……」」
ルキアスはひとまずシャルウィのことは置いといて、千切った剣を床に並べる。
「ザネク、どのくらい長くする」
「このくらいだな」
ザネクは指を広げたくらいの隙間を空けて剣を並べ直した。
ルキアスは在庫しているスクラップの剣を取り出し、先の隙間と長さを合わせて千切る。そして『捏ね』て繋げた。
「どうかな?」
ザネクはこのテスト用の剣を振ってみる。身体が若干泳ぎ気味だ。
「少し振り回される感覚があるな」
「もう少し短いかい方がいいのかな?」
「頼む」
剣の長さを伸ばす前と伸ばした後の中間くらいに調整すると、振り心地が普段使いの剣より良くなったようだ。
改めて剣の長さを比べてみると、普段使いの剣はテスト用の剣の伸ばす前より短かった。
「もうちょっと短くしてみようか?」
「……そうだな」
そうしてもう少し短くすると、もう少し振り心地が良くなった様子。
しかしこれで終わった訳ではなく、太さなど色々と調整する部分はある。
剣の幅を狭くした時には重量バランスが悪くなってまた長くしたりもし、結局ルキアスとザネクは日がな一日剣の調整を続けた。そしてシャルウィは腕を摩りながらもずっとその様子を見ていたのだった。
「この剣は?」
「この前タイラクさんが折った剣を修理してみたんだ。ちょこっと短くなったけど、使えるかな? って」
「折れたのを修理ね……」
ザネクは矯めつ眇めつ剣を検分する。剣の肌には凸凹した部分が見える。
「確かにおかしなムラがあるな」
ザネクは一つ頷いて、剣を数度素振りする。
「いきなり実戦は危なっかしいからルキアスの『傘』で試させてくれ」
ルキアスは頷いて横に向けて『傘』を差した。
「いいよ」
「おう」
ザネクは十数回斬り付ける。そして然る後に刃先を検分する。
「大丈夫そうだ。本番行ってみるか」
そして魔物を一体倒す度に刃先を検分して幾度か目。
「全然大丈夫だな。なあ、ルキアス? もしかして剣を一から作れたりしないか?」
「?」
ルキアスが首を傾げると、ザネクは腰に提げたままの使い慣れた剣を叩いてみせる。
「この剣も悪くはないが出来合いの品だから使い勝手もそこそこなんだよ。今なら金もあることだし、そろそろオーダーメイドで作ろうと思う訳だ。でも使い勝手を良くするには試作を繰り返さなきゃならないだろ? それを鍛冶屋に頼んだんじゃ時間がどんだけ必要か判ったもんじゃなくてな」
「なるほど、そう言うことなら力になるよ」
「サンキュー」
「じゃあ、その折れてた剣を使って色々作ってみるよ」
「いや、もっと長いのも試してみたいから、これじゃ無理だろ?」
「二、三度保てばいいでしょ? それなら形を整えるだけだから無理ってことはないよ。その剣をちょっと貸して」
ルキアスはザネクから剣を受け取って継ぎ目付近を持つと、『捏ね』て引き千切った。
「気持ち悪っ!」
シャルウィは両腕を摩りながら足踏みをした。ルキアスがジトッとした目で見やれば掠れた口笛を吹いて素知らぬ振りをする。しかしチラッとルキアスを見やると小さく溜め息を吐いた。
「……人の手じゃ変形する筈のない鉄が変形するのを見たらぞわぞわするのよ」
「なら、シャルウィは見ないようにしてて」
「……怖いもの見たさってあるじゃない?」
「「……」」
ルキアスはひとまずシャルウィのことは置いといて、千切った剣を床に並べる。
「ザネク、どのくらい長くする」
「このくらいだな」
ザネクは指を広げたくらいの隙間を空けて剣を並べ直した。
ルキアスは在庫しているスクラップの剣を取り出し、先の隙間と長さを合わせて千切る。そして『捏ね』て繋げた。
「どうかな?」
ザネクはこのテスト用の剣を振ってみる。身体が若干泳ぎ気味だ。
「少し振り回される感覚があるな」
「もう少し短いかい方がいいのかな?」
「頼む」
剣の長さを伸ばす前と伸ばした後の中間くらいに調整すると、振り心地が普段使いの剣より良くなったようだ。
改めて剣の長さを比べてみると、普段使いの剣はテスト用の剣の伸ばす前より短かった。
「もうちょっと短くしてみようか?」
「……そうだな」
そうしてもう少し短くすると、もう少し振り心地が良くなった様子。
しかしこれで終わった訳ではなく、太さなど色々と調整する部分はある。
剣の幅を狭くした時には重量バランスが悪くなってまた長くしたりもし、結局ルキアスとザネクは日がな一日剣の調整を続けた。そしてシャルウィは腕を摩りながらもずっとその様子を見ていたのだった。
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