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574 第二七階層
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シャルウィのマッピングの特訓のため、第二七階層の探索は全員ですることとなった。この階層の様子もこれまでと変わりないので心置きなく特訓ができる。
タイラクが「チーム分けした意味が無い」とぼやくが、「チーム分けしてもマッピングできてなければ一緒でしょ」とメイナーダに言われれば口を酸っぱそうに窄めて沈黙した。
ただマッピングをするのはルキアスもだ。シャルウィと二人で競争のように行う。
「そうだ。明日はザネクちゃんの番かしら」
「な!?」
メイナーダの言葉にザネクがびっくりする。
だがメイナーダは冗談を言っていなかった。今日はルキアスとシャルウィの条件を揃えるため、『傘』をザネクに任せているので除外されていただけなのだ。
そのことを聞いて若干背中に影の差すザネクである。
ザネクの『傘』の操作はルキアス程洗練されておらず、特に曲がり角でガクッと横揺れを起こしたりする。それでもどうにかタイラクに遅れずに付いて行く。
そんな『傘』に揺られながらのルキアスとシャルウィのマッピング競争は、速さ正確さ共にルキアスの方が半日の長があってか僅かずつだがシャルウィを上回った。
シャルウィが少なからず悔しげにする。負けず嫌いらしい。
尤もこれはあくまでルキアスとシャルウィとの比較での話。続くメイナーダの評価にルキアスも凍り付く。
「シャルウィちゃんは勿論、ルキアスちゃんも落第ね」
「「……」」
翌日もシャルウィだけでなくルキアスもまたマッピング練習をすることが決まった。
帰りはルキアスの『傘』に乗り換えて移動する。ダンジョンの回廊のように狭い場所ではザネクよりルキアスの方が速くて正確だ。
途中、ルキアスは何かを忘れているような気持ちになった。
「何かし忘れてることがあるような……?」
「し忘れ?」
「探索中のことだけどね」
「……ああ、あれじゃないか? 宝箱」
「それだっ!」
ルキアスの呟きに答えたのはザネクだった。二人での探索が長かったこともあり、ルキアスが好んでやっていたことも憶えていた。
「宝箱?」
小首を傾げるタイラクにベクロテのダンジョンには浅層にも宝箱があるのだと説明するルキアスとザネクである。
しかし探そうとしたら労力に見合わなかったのも思い出し、たまたま見付けた開けようと言うだけの話で纏まった。
タイラクが「チーム分けした意味が無い」とぼやくが、「チーム分けしてもマッピングできてなければ一緒でしょ」とメイナーダに言われれば口を酸っぱそうに窄めて沈黙した。
ただマッピングをするのはルキアスもだ。シャルウィと二人で競争のように行う。
「そうだ。明日はザネクちゃんの番かしら」
「な!?」
メイナーダの言葉にザネクがびっくりする。
だがメイナーダは冗談を言っていなかった。今日はルキアスとシャルウィの条件を揃えるため、『傘』をザネクに任せているので除外されていただけなのだ。
そのことを聞いて若干背中に影の差すザネクである。
ザネクの『傘』の操作はルキアス程洗練されておらず、特に曲がり角でガクッと横揺れを起こしたりする。それでもどうにかタイラクに遅れずに付いて行く。
そんな『傘』に揺られながらのルキアスとシャルウィのマッピング競争は、速さ正確さ共にルキアスの方が半日の長があってか僅かずつだがシャルウィを上回った。
シャルウィが少なからず悔しげにする。負けず嫌いらしい。
尤もこれはあくまでルキアスとシャルウィとの比較での話。続くメイナーダの評価にルキアスも凍り付く。
「シャルウィちゃんは勿論、ルキアスちゃんも落第ね」
「「……」」
翌日もシャルウィだけでなくルキアスもまたマッピング練習をすることが決まった。
帰りはルキアスの『傘』に乗り換えて移動する。ダンジョンの回廊のように狭い場所ではザネクよりルキアスの方が速くて正確だ。
途中、ルキアスは何かを忘れているような気持ちになった。
「何かし忘れてることがあるような……?」
「し忘れ?」
「探索中のことだけどね」
「……ああ、あれじゃないか? 宝箱」
「それだっ!」
ルキアスの呟きに答えたのはザネクだった。二人での探索が長かったこともあり、ルキアスが好んでやっていたことも憶えていた。
「宝箱?」
小首を傾げるタイラクにベクロテのダンジョンには浅層にも宝箱があるのだと説明するルキアスとザネクである。
しかし探そうとしたら労力に見合わなかったのも思い出し、たまたま見付けた開けようと言うだけの話で纏まった。
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