魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

９３７．突く

　慎重な男は目を覚ます。

「やべっ！」

　隙を突くつもりが隙だらけになってしまっていたのだから飛び起きる。
　ところが醜い闘いを繰り広げていた男達が殴り合いに疲れてみんな眠り込んでしまっていた。

「マジかよ……」

　念のため、「ひぃ、ふぅ、みぃ……」と寝込んでいる男達を数えれば殴り合っていた者全てが揃っている様子。

「チャ～ンス」

　慎重な男は眠っている男達を起こさないように城に急ぐ。
　ところが幾らか奥に入った所で遠くから劣情を掻き立てられずには居られない嬌声が聴こえて来た。
　慎重な男はその声の出元に急ぐ。

「マジかよ……」

　目の前の光景を見て慎重な男は膝と手を床に突いた。
　そこには既に十数人の男が居て、撮影が行われていたのだった。