魔☆かるちゃ~魔王はこたつで茶をすする~

浜柔

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1421.慎重

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 オリエの姉夫婦は微かな物音に驚き、箒を振り上げ構えて音のした部屋を確かめる。
 怪しい人影は無い。
 よくよく見回すと、見知らぬ手紙が床に落ちていた。
 何があるか判ったものではないので直接手に触れないよう、手袋をしてナイフを片手に開封する。
 中は普通の手紙だった。

「びっくりした」
「傍から見てたら馬鹿みたいだったでしょうね」

 妻の苦笑に夫は肩を竦めた。
 だが正体が判るまで慎重になるのは致し方ない。
 オリエを崇拝しているだろう者達に縋られてオリエの行方をねだられるのはまだ良い。
 何を思ったか判らない何者かに石や刃物を投げ込まれたりもし、その際に割られた窓ガラスの部分はまだ板で塞いだだけだ。
 一般的に窓ガラスの1枚や2枚が割れても板で塞ぐだけだから目立ってないが、板を目にする度に歯痒く感じる。
 落ち着いたところで手紙を読む。

「オリエからだわ」
「オリエちゃんから? 本物なのか?」
「文字の癖がオリエと同じなのよ」

 オリエの文字の癖を誰かが真似した可能性はあったが、姉は間違いないだろうと結論付けた。
 手紙の内容は避難の手順だ。
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