魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１５２６．あれは

　町長は隣国兵が奇妙なほど無抵抗でありながら、ダンジョンへの移動を激しく拒むのを不思議に思う。
　そして我慢しきれずに理由を聞いた。

「あれは化け物の巣窟だ」

　おかしな服を着た女達と全裸の女が特に異常だと言う。
　町長は彼らの言葉に納得しがたいように首を傾げた。

「とにかく捕虜にしてくれ。国境まで連れて行ってくれたら侵略を中止するよう進言もしよう」
「……」

　もしも隣国先遣隊隊長の言う通りに実現したなら実績は計り知れない。
　だが数百人を何日も護送するには相応の人員が必要で、その人員が今は居ない。
　だからこそ剣士に丸投げしようとしたのだ。
　町長はここで漸く粗雑に対応したことを後悔した。