魔☆かるちゃ~魔王はこたつで茶をすする~

浜柔

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1934.こんなの

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「こんなのあり?」

 オリエは軽く絶望した。
 転移が発動しない。
 魔王に呼び掛けても返事が無い。
 直ぐに帰るつもりだったからこの世界の現金も用意していない。
 用意していてもアイテムボックスが機能していないので取り出せなかったろう。
 なので食事も宿も絶望的だ。
 最悪どこかの山に分け入って動物を狩り、洞穴を探して泊まる以外にないだろう。
 できれば避けたい事態だ。

「誰かに頼ってみようかな……」

 今まで頼る相手は魔王だけだったが、無い無い尽くしの今はこの世界の誰かに頼る以外にない。
 相変わらず遠巻きに見るだけの群衆を見回すと、マントを羽織ってはいるがその隙間から素肌が覗いている一団があった。
 裸同士でなんとなく話しやすそうに感じ、傍に寄る。
 一団の中には突然気を失う者も居たが、周りがあまり気にしていないから大丈夫なのだろう。

『メイワクデナケレバ タスケテクレナイカ?』

 話しかけた途端、時が止まったように静かになった。
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