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ミステリーツアー
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2月7日、警報級の寒波予報が出ている中、『ミステリーツアー』なるものに夫と出かけた。
一泊の行先はよく分からない。でも大阪で集合して、どうやら北陸の方へ向かうようだ。
(大丈夫かなあ、交通機関。まあ、そのときはその時やし)
誰もいないのかと思いきや、もの好きな方が40人くらい集まって来られ、他の旅行社の旗も見える。
びっくりしたり、安堵したり。
大阪から特急サンダーバードに乗る。やはり北陸に違いない。
湖西線を走っているうちに、だんだん景色が白くなってくる。
敦賀で北陸新幹線に乗り換える。窓の外は、波しぶきをあげる荒れる日本海。そして、ますます激しくなる雪。
もうどこも真っ白にかすんでいる。小松からバスに乗り換えた。
金箔の工芸館を何やら分からないまま見学して、予想通り金沢に着いた。
傘をさして趣のある街並みを散策。皆さん楽しそうにブラブラされていたが、私はそそくさとバスへ。
情緒を楽しむには寒すぎる。暖かいバスの中で、温かい缶コーヒーを飲むことを選んだ。
宿泊先に向かってバスはスムーズに進む。
雪が降り続いているのに、広い道路は『消雪パイプ』といわれるところから水が噴き出し雪を溶かしているのだ。
センサーで自動的に地下水を汲み上げるのだそうだ。すごいなあ。
ほとんど人影もなく、子どもの姿も見えない。
雪だるまがいっぱい笑っているのを期待して、バスの窓から目を凝らすが、道の端に積み上げられた雪だけが続いている。
きっと子どもたちも、うんざりしてるんだろうなあ。
時々見かける大人は、みんなカラフルな雪かきスコップを手に黙々と……
屋根の上の雪はすごく重そうで心配になる。
観光客は気楽なものだけれど、暮らしておられる方は大変だろうなあとつくづく思う。
小回りの利く徐雪車が動きまわっている。
樹氷がキラキラ輝く中、ホテルに到着。
そこでは結婚式も挙げられるようで、広い庭に建つ小さなチャペルが真っ白な雪に埋もれ、まるで絵本の中に迷い込んだみたいだ。
ウインタースポーツも知らないし、雪国に知り合いもいない私は、こんな雪の中に立つのは、この歳で初めてだ。申し訳ない気分だけれど、雪景色を堪能させてもらった。
雪が降りしきる露天風呂を、ずっと忘れないだろう。
夜、仲のいい友人からラインが届く。
「寒いねえ。元気? 私はこたつにもぐってるわ」
「今、富山県の砺波というところにいるの」
「えっ、この寒波の中、富山! 何してるん?」
「いや、ミステリーツアーに申し込んでたから」
「ようやるわ。アホちゃう」
「うん、アホ! でもすっごい雪景色きれい。当たり前やけど全部真っ白」
「よう中止にならんかったねえ。まあ、何度も何度も、あなたにはびっくりさせられてきたけど。ようやるわ❢
まあ、気を付けてね」
ホント、そう思う。
事実、帰宅した翌日、スーパーで買い物してたら、すぐ近くで女性二人の話す声が耳に入った。
「私、今日、暇なんよ。ミステリーツアー面白そうやと申しこんでたのに、キャンセルになってしもて。ひまー」
「そんなもの、この寒さの中行かんでよかったよ。乗り物危ないし」
「まあ、そう思ってるけどね」
「こんな天候で出かける人の気が知れんよね、よかったやない」
(気が知れない者がここにいますよー)
そう心の中で突っ込みながらクスっと笑った。
翌日は、行程が変更になったそうで、添乗員さんが慌てていた。
こちらは、元を知らないのでどうってことはない。
富山市の壮麗な近代建築の『ガラス美術館』に立ち寄ったあと、港の施設で、お昼と買い物タイム。
そして帰路に着く。
交通機関に遅れが出たりストップしても文句はないのに、わずかに七分遅れただけで無事大阪に着いた。
(あー楽しかった。やれやれ)
家にたどり着いてリュックを下したが、何やら変な音がする。
「ギャー!!」
風呂場のドアを開けた私は、腰を抜かしそうになった。
シャワーのノズルが壊れ、水浸しの床にカランやパッキンが散乱している。
そして水道管の根元から勢いよく噴水が吹き上げていた。
凍結した水でパイプが破裂し、水が出るようになって噴水になったらしい。
そんなことを、外に出て水道の元栓を閉めた夫が言っていたが、パニックの私に、すぐには届かなかった。
チャララ~ン
まさに最大のミステリーが持ち受けていたのだ!
一泊の行先はよく分からない。でも大阪で集合して、どうやら北陸の方へ向かうようだ。
(大丈夫かなあ、交通機関。まあ、そのときはその時やし)
誰もいないのかと思いきや、もの好きな方が40人くらい集まって来られ、他の旅行社の旗も見える。
びっくりしたり、安堵したり。
大阪から特急サンダーバードに乗る。やはり北陸に違いない。
湖西線を走っているうちに、だんだん景色が白くなってくる。
敦賀で北陸新幹線に乗り換える。窓の外は、波しぶきをあげる荒れる日本海。そして、ますます激しくなる雪。
もうどこも真っ白にかすんでいる。小松からバスに乗り換えた。
金箔の工芸館を何やら分からないまま見学して、予想通り金沢に着いた。
傘をさして趣のある街並みを散策。皆さん楽しそうにブラブラされていたが、私はそそくさとバスへ。
情緒を楽しむには寒すぎる。暖かいバスの中で、温かい缶コーヒーを飲むことを選んだ。
宿泊先に向かってバスはスムーズに進む。
雪が降り続いているのに、広い道路は『消雪パイプ』といわれるところから水が噴き出し雪を溶かしているのだ。
センサーで自動的に地下水を汲み上げるのだそうだ。すごいなあ。
ほとんど人影もなく、子どもの姿も見えない。
雪だるまがいっぱい笑っているのを期待して、バスの窓から目を凝らすが、道の端に積み上げられた雪だけが続いている。
きっと子どもたちも、うんざりしてるんだろうなあ。
時々見かける大人は、みんなカラフルな雪かきスコップを手に黙々と……
屋根の上の雪はすごく重そうで心配になる。
観光客は気楽なものだけれど、暮らしておられる方は大変だろうなあとつくづく思う。
小回りの利く徐雪車が動きまわっている。
樹氷がキラキラ輝く中、ホテルに到着。
そこでは結婚式も挙げられるようで、広い庭に建つ小さなチャペルが真っ白な雪に埋もれ、まるで絵本の中に迷い込んだみたいだ。
ウインタースポーツも知らないし、雪国に知り合いもいない私は、こんな雪の中に立つのは、この歳で初めてだ。申し訳ない気分だけれど、雪景色を堪能させてもらった。
雪が降りしきる露天風呂を、ずっと忘れないだろう。
夜、仲のいい友人からラインが届く。
「寒いねえ。元気? 私はこたつにもぐってるわ」
「今、富山県の砺波というところにいるの」
「えっ、この寒波の中、富山! 何してるん?」
「いや、ミステリーツアーに申し込んでたから」
「ようやるわ。アホちゃう」
「うん、アホ! でもすっごい雪景色きれい。当たり前やけど全部真っ白」
「よう中止にならんかったねえ。まあ、何度も何度も、あなたにはびっくりさせられてきたけど。ようやるわ❢
まあ、気を付けてね」
ホント、そう思う。
事実、帰宅した翌日、スーパーで買い物してたら、すぐ近くで女性二人の話す声が耳に入った。
「私、今日、暇なんよ。ミステリーツアー面白そうやと申しこんでたのに、キャンセルになってしもて。ひまー」
「そんなもの、この寒さの中行かんでよかったよ。乗り物危ないし」
「まあ、そう思ってるけどね」
「こんな天候で出かける人の気が知れんよね、よかったやない」
(気が知れない者がここにいますよー)
そう心の中で突っ込みながらクスっと笑った。
翌日は、行程が変更になったそうで、添乗員さんが慌てていた。
こちらは、元を知らないのでどうってことはない。
富山市の壮麗な近代建築の『ガラス美術館』に立ち寄ったあと、港の施設で、お昼と買い物タイム。
そして帰路に着く。
交通機関に遅れが出たりストップしても文句はないのに、わずかに七分遅れただけで無事大阪に着いた。
(あー楽しかった。やれやれ)
家にたどり着いてリュックを下したが、何やら変な音がする。
「ギャー!!」
風呂場のドアを開けた私は、腰を抜かしそうになった。
シャワーのノズルが壊れ、水浸しの床にカランやパッキンが散乱している。
そして水道管の根元から勢いよく噴水が吹き上げていた。
凍結した水でパイプが破裂し、水が出るようになって噴水になったらしい。
そんなことを、外に出て水道の元栓を閉めた夫が言っていたが、パニックの私に、すぐには届かなかった。
チャララ~ン
まさに最大のミステリーが持ち受けていたのだ!
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