ポンコツ車、どこへ?

はまだかよこ

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ポンコツ車、どこへ?

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 最近、絶えず思う。
(私ってほんまポンコツ車やわ)

 75年使ってきた車体は、見るも無残である。あちこちすり減り、傷だらけ。
応急処置をした後はたくさんあるが、丁寧な仕事とはいいがたい。
まず、フォルムがとにかくダサイ。シャープさのかけらもない凸凹のだ円。
元はやわらかいピンクだったはずだが、塗料も剥げ落ちている。
同じくらい年数の経った車でもかっこよくビュンビュンとばしているものもあるんだけどなあ。
(流石にこれは!)
たまに、ハッと気づき、慌ててワックスをなすりつけたりするが、すぐ忘れるのでなんの効果もない。
 そして、外観はともかく、致命的な欠陥がある。
この車にはエンジンはついているが、ハンドルとブレーキがない! 
いや、一応装備はされているのだが、うまく働かず、なんとも恐ろしい車なのだ。
 エンジン馬力はすこぶる小さく、ポコポコトコトコと進む。ハンドルが見かけだけなのでどこへ行くか分からないのだ。
バックできないし、右左折も難しい。
この止まらないことが何よりも怖い。どんなホラーも太刀打ちできない。
 ただよくしたもので、(全く困ったことなのだが)性能が良くないので、すぐにエンストしてしまう。
調子がいいなとルンルン進んでいると、
 プスン! ポソン!
 突然停止する。
 そんな訳で、こんな車に同乗するモノはいない。
唯一の相棒は、飼い猫のなつきバアチャン。
動けずにじっと車庫にいる間もずっと、そばにいてくれる。埃が積もり、ますます薄汚くなる車で。
 だから、こんなポンコツ車、おとなしくしていればいいものを、とにかくどこへでも行きたがる。
性能が良ければ、世界の果てまでもという意気込みに、まわりはあきれ果てている。

(あっ、エンジンがかかった!)
「わーい、さあ、なっちゃん、行くよ! どこへ行こう?」
 トラブル続きなのに、陽気で、進む気満々なのが誰にも分からない謎だ。
 ポコポコポコ
 ニヤ~!
 トコトコトッコトッコ……
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感想 2

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みんなの感想(2件)

真田奈依
2024.08.07 真田奈依

すてきなお話。相棒なっちゃんとまだまだ突っ走ってほしいですね。応援してます。

解除
2024.01.20 ユーザー名の登録がありません

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