サクラソウ*

ユナネコ

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三角関係

LINE

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 家に帰り、自室に入ると私はスマホを開いて通知が来ていないか確かめた。どうしてそんなことをしたかというと、十分前にこんなことがあったのだ。


「ねえねえ、LINE交換しない?」
「え?」
「は?」
 日比谷君の突然の提案に、私達は声をあげて驚いた。
「ほら、友達になったらLINE交換するのってお決まりだと思うんだよ。」
「お決まりって・・・。あんたもしかして中学でボッチだったとか?だからそういう馬鹿なこと言えるの?いや、まぁ、大体は交換するだろうけどさ。」
 未央ちゃんは深くため息をついて言った。
 確かにLINEは交換すると思うけど、いきなり言われて驚いたのだ。
「うん、ボッチだった。」
 うつむいて落ち込んでいるが、そうしている日比谷君が何故だか犬っぽく見えてしまうのは失礼だろうか。
 未央ちゃんは日比谷君の言葉を聞いて慌てて言葉を返した。
「分かった!分かったから!ただ、いきなり言われて驚いただけだから!交換するよ!」
「うん、私も交換したいな。」
 私も未央ちゃんに笑顔で同意した。
「じゃあふるふるしよう。そっちの方が楽そう。」
「・・・・ちょっと待って。あんたっていつスマホ買ったの?」
「入学式の前日。」
「「えぇ!!!??」」
 今度はもっと驚いた。まさかつい最近買ったなんて思っていなかったからだ。
 すると、未央ちゃんは右手を頭の横につけ、目を伏せて言った。
「なんかもう驚きすぎて疲れてきた・・・。」
「あ、あはは・・・。」
 こんな状況でも、日比谷君が犬っぽく見えてしまう私は内心ずっと悶えていた。

 

 そんなこんなでLINEを交換したのだった。
 そして今、私はベッドの上に寝転がりながら迷っている。
 もちろん、先に送信するか向こうから来るのを待つかということだ。
 ましてや相手は好きな人。
 迷わないわけがない。
「どうしよう・・・。先に送った方がいいのかな?あう、でも勇気がー!!」
 ピロリン♪
「!!!」
 LINEの音だ。
 日比谷君からだろうか?
 私はドキドキしながらLINEを開いた。

 日比谷君からだった。

『よろしくな!』
 この一文だった。
 嬉しい。
 私はニヤニヤしながら返信した。
『よろしくね。』
 すぐに既読がつく。
 それもとても嬉しかった。
 私の返信を待っていてくれていた。そのことがただただ嬉しかった。

 ああ、早く明日になってほしい。
 早く、早く日比谷君に会いたい。
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