2 / 2
after story
しおりを挟む先日、黒い棺を見送った。
この告別式に参列者など、私「相沢 立華」と吉田先生の他に、数名程しか存在していない。
彼が亡くなったというのに、この場では故人に涙を流す者や、別れを惜しむ者など、私と吉田先生以外にはいないのですね。
一年生の終わり頃に、「鏡 康太」の一件で、鏡率いる半グレ集団「attacker」が風吹川高校を占拠した。
理由は勿論、私と彼への報復の為に。
その抗争により、自分の命と引き換えにし構成員諸共の占拠を無力化した一人の青年は、今ではネットニュースで誹謗中傷を受けている。
私を守る為に、身を挺してこの騒動の鎮静化に努めた彼は、この事件の実行犯として報道されてしまったからだ。
そんな、作られた悪者に弔う人はどれだけいただろうか。
「また、私は守られてばかりだね……」
返事などする訳でも無いけど、そんなことでもしてないと、この現実が受け入れられそうに無い。
「どうしてまた私を置いていくのよ! 草十郎!」
式場に私の言葉だけが、激しく響き渡った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる