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第四章
140「そして現在」
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「ねぇ、ソラく~ん。もう今日はダンジョン探索は終わってもいいんじゃない? それより、お姉さんと楽しいことしようよ~」
「ちょっと、あんた! 真面目に戦いなさいよ、この中国雑技団オンナっ!」
「あら? ありがとう。私、中国雑技団好きよ、メイベル~」
「ああああ~、もうっ!! ああ言えばこう言う! ちょっと、ソラ! 何、ボサっとしてんのよ! あんたからも注意しなさいよ!」
わーわー! ギャーギャー!
「ちょ、ちょっと、みなさん! これ全部カメラに映ってますからねっ?!」
明凛、ソラ、メイベルがいつものように戦闘しながら遊んでいる光景にカメラマンのエリンが、これまたいつものように注意をする。
「ちょっと待ちなさいよ、エリン! 私は真面目にやってるわよ! おかしいのは、やたらソラにおべっか使う明凛と、それに鼻の下をデレデレと伸ばすソラじゃないのっ!!」
「し、失敬なっ!? お、俺は、別に鼻の下なんて伸ばしてな⋯⋯」
「嘘おっしゃい! まったく、これだから童○は⋯⋯」
「ど、どどど、童◯ちゃうわぁぁ~!!」
「大丈夫よ、ソラくん。私がソラくんのチェリー⋯⋯もらってあげる」
「め、めめめ、明凛さん~っ?!」
「ふ、ふふ、不潔よぉぉ~!!!!」
そんな痴話喧嘩のようなやり取りをしながら、Sランクダンジョンの魔物を軽々と屠っていく3人の姿をカメラで捉えるエリンがため息をつく。
「はぁぁぁぁぁぁぁ⋯⋯。何でSランクダンジョンの魔物相手に『舐めプ』できんのよ。本当にこの3人ってヤバすぎだわ」
Sランク戦場カメラマンのエリンの苦悩は続く。
「いや~、今日も大漁ね~」
明凛が魔物からゲットしたアイテムや目をキラキラしながらそう呟くと、
「何よ、どうせあんた元々金はあるじゃない。どうして、そんなに盛り上がれるのよ」
と、半ば呆れ気味にツッコミを入れるメイベル。
「何言ってんの、メイベル。自分たちの探索者としての活動で得られるものだからこそ、良いんじゃない」
「ま、まあ、それはそうだけど⋯⋯」
そして、最後は明凛の正論に納得させられるメイベル⋯⋯。いつもの光景である。
「さて、じゃあ、これから事務所に戻って⋯⋯」
「はい。撮影した映像を編集しますので、それが終わったらいつものように⋯⋯」
「『オーディオコメンタリー』⋯⋯だっけ? それやるんでしょ?」
「はい、そうです」
「お? メイベル、やっと『オーディオコメンタリー』の意味を理解したみたいだな」
「何よ、ソラ。喧嘩売ってるわけ? まーそりゃ、理解もするわよ。毎回毎回、ダンジョン探索後、映像にコメントを入れることをさせられているんだもの」
「何よ、そんなこと言って、メイベルが一番ノリノリでしゃべってるじゃない!」
「ちょっ?! な、何を言ってんのよ、明凛! わ、私は別にそんなノリノリでしゃべってなどいな⋯⋯」
「え~? しゃべってるわよ⋯⋯⋯⋯ね~?」
「「ああ(はい)」」
「ちょ、ちょっとぉぉ! どうして、ソラとエリンはそこで即答なのよぉぉ!!!!」
「え~? だって⋯⋯⋯⋯ノリノリですよねぇ、エリンさん?」
「ええ。ノリノリね」
「いやぁぁぁぁ~!!」
5ヶ月前にカメラマンとなったエリンさんは、まだ『さん付け』ではあるものの、最近では明凛やメイベルとも仲良くなったのでちょっとした冗談が言えるようになっていた。
「まあまあ。でも、メイベルさんがしゃべってくれるのはとても助かってますよ。なんせ、動画を見ている視聴者の反応がいいですもの!」
「あ~、たしかにそうだな。やたらチャット欄でメイベルのこと絶賛しているもんな」
「そうね。さすがにメイベルがいるのといないので動画の視聴数が変わることが多いものね」
「え? そ、そう⋯⋯? ふ、ふふん! そうでしょ、そうでしょ! どう、私のコメント力! あなたたちも見習いなさい!! そして、そんな万能な私をもっと讃えなさい!!」
「いつも、ありがとう。メイベル」
「いつも、助かってます。メイベルさん!」
「ありがとうな、メイベル」
「おほほほほほ! よきにはからいなさい!!」
(((⋯⋯ちょろいん)))
メイベル以外の3人の中で、最近のメイベルへの『愛称』である。
そんなこんなで事務所に戻ったソラたち。エリンの撮影したダンジョン探索の映像の編集が終わると、
「えー皆さん、準備はいいですか? これから『ライブ配信』しますよ~」
「いいわよ」
「ああ」
「う~、いつも配信前が一番緊張するぅぅ~!!!!」
エリンは、今編集した映像をグリーンバックのクロマキーを使ってバックに流しながら、3人が姿を出しての『オーディオコメンタリー付きライブ配信』を開始した。
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