異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

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第一章

024「お主、この世界の人間ではないな?」

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 授与式も粛々と進み、残るは俺のみとなった。

「次の方どうぞ~」

 例のギルドマスターの前に立つ。目の前には、身長149センチ銀髪ハーフロングの幼女が立っている⋯⋯椅子の上に。

 はい、可愛い。

「F級探索者シーカーおめで⋯⋯っ!?」
「??」

 突然、櫻子ちゃんが俺と目を合わせた瞬間、言葉を詰まらせる。あれ? 俺なんか失礼なことした?

「あ、あのぅ~?」
「あ、す、すまぬ⋯⋯?! 改めて、F級探索者シーカーおめでとう⋯⋯なのじゃ」
「! あ、ありがとうございます」

 おお! まごうことなき、のじゃロリがそこにいる!

 しかし、何だろう? さっきからずっと妙に戸惑っている様に見える。本当にどうしたのだろうか?

「お、お主、名前は?」
「あ、結城タケルと申しま⋯⋯」
「お主が結城タケルか!」
「えっ!?」

 ざわっ⋯⋯。

 名前を聞かれたので答えたら、櫻子ちゃんが食い気味に俺の名前をおうむ返ししてきた。そんな、すでに俺のことを知っているかのようなリアクションに俺も思わずビックリする。すると周囲も「なんだ? なんだ?」とざわつき出した。すると、

「はーい、ごめんね、タケル君。ギルドマスター⋯⋯ちょこ~っと、最近疲れているのか誰かと勘違いしているみたいで⋯⋯お、おほほほほっ!」
「むぐっ! も、もごぉぉっ?!」

 隣にいた洋子さんが『のじゃロリギルマス櫻子ちゃん』の口を後ろから無造作に塞ぐ。

 え? その幼女、ギルドマスターですよね? そんな失礼なことして大丈夫???

「うおっほん! し、失礼した。許せ」
「い、いえ⋯⋯」

 櫻子ちゃんは特に洋子さんを咎めるようなことはしないようだ。よかった、よかった。

「では、改めて⋯⋯これが結城タケルのF級探索者シーカー登録証じゃ」
「ありがとうございます」
「登録証は基本、首からぶら下げるものじゃ。どれ、ワシが特別に首にかけてやろう」
「えっ?!」

 そう言うと、櫻子ちゃんが「ほれ、回れ右じゃ」と言うので、俺はそのまま従う。チラッと横目で洋子さんを見ると少しハラハラしている様子が伺える⋯⋯が止める気はないようだ。

 まー俺的にも、正直特に問題ない⋯⋯ご褒美ありがとうございますっ!!

 そうして、櫻子ちゃんが俺の首に『鉄製』のF級探索者シーカー登録証を首にかけようと後ろから顔を近づけた⋯⋯その時だった。

「お主⋯⋯この世界の人間・・・・・・・ではないな?」
「な⋯⋯っ!?」
「シー⋯⋯静かに。大丈夫じゃ、誰にも言わんから今はおとなしくしておけ」
「⋯⋯は、はい」

 な、なんだ! 何だ、何だ!?

 何でこの人、俺の秘密をっ?!

 俺が心臓バクバク鼓動を早くする中、さらに話を続ける櫻子ちゃん。

「今度、個人的にワシのほうから会いに行くからそれまで目立った行動はするでないぞ?」
「⋯⋯は、はい。わかりました」
「うむ」

 そう言って、櫻子ちゃんは一度小さく深呼吸をすると、

「おお、似合うではないか!」

 と、元のテンションに戻った。

「あ、ありがとう⋯⋯ございます」
「うむ。では今後もダンジョン探索者シーカーとして精進するようにな! では⋯⋯またの・・・
「は、はい」

 俺は授与式を終えると、逃げるように会場を後にした。


********************


「な、なんだ! 何だったんだ、さっきのギルマスの⋯⋯櫻子ちゃんの言葉は!?」

 俺は外に出たあと、人気のいないビルとビルの間の路地に行きさっきの状況を振り返る。

「さ、櫻子ちゃんは初対面だ。なのに、どうして俺の正体を⋯⋯見抜いたんだ?」

 俺は『能力継承』を知った後からは用心して他者にステータスを見抜かれないよう『スキル:偽装(極)』でステータスを『レベル2』に偽っていた。なのにどうして?

 あと、気になったのがもう一つ。俺のことをすでに知っている・・・・・・・・という点だ。

「まあ、可能性としては⋯⋯というか間違いなく洋子さんから聞いたんだと思うけど。でも、だからと言って、俺の正体がバレるということには結びつかない。しかも櫻子ちゃんがこっそり俺に耳打ちしたということは、俺の正体については櫻子ちゃん本人だけが知っているものだと思うが⋯⋯」

 しかし、それはあくまで俺の主観であり仮定に過ぎない。もしかしたら、ギルドのほうですでにマークされているかも⋯⋯って、

「い、いやいやいやいや、それはさすがにあり得ないだろ?! 洋子さんの態度に違和感は感じられなかったし⋯⋯」

 もし、俺の本当のステータスが見抜かれてギルド関係者全員に共有されていたのであれば、もっと違った形で接触してきたはずだ。

「ふぅ~、とりあえず一旦その話は置いておこう。どのみち、櫻子ちゃん本人が俺を尋ねるとも言ってたし。その時にいろいろ聞いてみよう」

 そう言って、俺は一旦気持ちを落ち着かせ冷静になると、今度は逆にこう考え始めた。

「ていうか、ぶっちゃけそもそも論⋯⋯『俺が異世界から戻ってきた人間』と皆にバレたところで、別に問題なんかないのでは?」

 そう、俺が「異世界に転移して帰ってきた」と言ったところで正直誰も信じないだろうし、俺だって逆の立場なら信じない。「こいつ痛い奴だな」と白い目で見られて終わりだ。

 白い目で見られるのは嫌ではあるが、しかしだからと言って、別に俺のハートが傷つくだけで誰かに迷惑をかけるわけではない。

「あれ? だったらいよいよ問題ないなぁ。な~んだ、深刻に考えて損した」

 と、俺はそういう考えに至ったおかげで一気に気が楽になった。

「よしよし、ノープロブレムだな。うんうん。さて、そうとわかったら⋯⋯」

 グウゥゥ。

「お腹⋯⋯空いてきたなぁ~」

 ということで、この後、特に用事もなかったので適当に駅近のハンバーガーチェーン店へと足を運んだ。
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