異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
26 / 206
第一章

026「新宿御苑ギルド<日本ギルド本部>」

しおりを挟む


——世界探索者シーカーギルド協会日本支部『ギルドマスター室』

 そこに一人の幼女が、まだお昼だというのにひなあられをポリポリやりながらクイッとウイスキーを飲み干す(※成人です。100歳越えです)。

「ふぅ、まさか彼奴きゃつが『スキル:偽装(極)』を使っていたとは⋯⋯」

 そう言って、空になったグラスにウイスキーをさらに注ぐ櫻子。

 彼女は授与式が終わった後、櫻子は急ぎ自身のホームであるここへと戻ってきていた。

「洋ちゃんにも東堂にもワシの動揺ぶりはバレてたじゃろうな~」

 とはいえ、さすがのワシでもあの驚きを隠すことはできなんだ。

「それにしても、当初は洋ちゃんや東堂が言っていた将来有望な探索者シーカーという話を聞いて、面白半分で会いに行っただけじゃったが、まさかその将来有望という探索者シーカーこの世界に存在しない・・・・・・・・・・『スキル:偽装(極)』を使っていたとは⋯⋯」

 この世界にも『スキル:偽装』というスキルは存在するが、『スキル:偽装(極)』というスキルは現代ここにはない。ワシのいた異世界あっちにしかないスキルじゃ。

「じゃからこそ、ワシの異世界あっちの『スキル:看破(極)』が反応したのじゃが、そうなると彼奴はこの世界の人間じゃないどころか、ワシと同じ世界の住人だと言える」

 しかし、一体どうやって?

「ま、まさか! 異世界と現代ここを行き来できる何かがすでにあるということなのじゃろうか?!」

 い、いや、そんなはずはない。ワシは常に全世界に監視網を敷いている。そんなのが発見・出現すれば何らかの報告があるはず。

「いずれにしても、結城タケルに一度会って話を聞く必要があるのは確実じゃな」

 そう言って、櫻子はクイッとウイスキーを飲み干した。


********************


「おお、ここが新宿御苑にある『世界探索者シーカーギルド協会日本支部』かー!」

 さきほどの駅近のハンバーガーショップを出たあと、俺は『激安の殿堂』でサングラスとマスクを購入し、そのままの足で新宿御苑ダンジョン近くにある『世界探索者シーカーギルド協会日本支部』へとやって来た。

 新宿御苑ダンジョンは日本にいくつかあるダンジョンの中でも最深階層を誇るダンジョンで、現在100階層まで調査が進んでいる。

 ちなみに新宿御苑ダンジョンと同じような最下層がわかっていないダンジョンは世界中にいくつか存在しており、それらはすべて新宿御苑ダンジョンと同じ100階層までしか踏破されていない。

 理由は、101階層から魔物の脅威が跳ね上がるため、世界屈指の実力⋯⋯A級やS級探索者シーカーや、それら探索者シーカーで組織された『クラン』を持ってしても、いまだ101階層の魔物に対応できず、結果その先の調査が進んでいないという現状だった。

「それにしても、探索者シーカーギルドといっても世界探索者シーカーギルド協会日本支部自体が新宿御苑のギルド業務を兼任するだけあって建物も立派だな~」

 この新宿御苑ダンジョンは日本に初めて出現したダンジョンで、しかもダンジョン資源も豊富に取れるダンジョンということもあり、ここを管轄しているのはなんと『世界探索者シーカーギルド協会日本支部』なのだ。

 そのため、ギルド内の設備も規模も人材も他と違って優秀な人材が集まっているらしく、世間一般的に『日本探索者シーカーギルドの総本部』という位置付けがされていた。

 ちなみに、この新宿御苑のギルドの正式名称は『世界探索者シーカーギルド協会日本支部兼新宿御苑ギルド』だが、単純に長ったらしいのと『日本探索者シーカーギルドの総本部』という意味合いも込めて『日本ギルド本部』と呼ばれている。

「フフフ、なるほど。俺の初陣にふさわしい場所だな。気合い入ってきたぜぇ~!」

 俺は内なるやる気の炎をボウボウ燃やしつつ、中へと入って行こうとした時、

「はい、は~い。ストップ、ストップぅ~。君、学生?」

 中に入ろうとした俺を止めるちょっとコワモテのお兄さん。

「え? あ、はい。魁星高校に通う2年生で、今日からF級探索者シーカーになった者です」
「え? そうなの? ていうか高校生なのか、すごいな!」

 お兄さんが手放しに褒めてくれた。うん、そういうのすごい欲しがりです。

「俺はD級の葛西ってもんだ」
「ど、どうも。結城タケルです」

 見た目、20代前半のその男はコワモテではあるものの話すとかなり気さくなお兄さんだった。

「ところでお兄さんは入口で何をやっているんですか?」
「俺? 俺は今バイト中だ」
「バイト中?」
「おう。今、ちょっと腕ケガしててよ。それでここで警備のバイトをしてるんだよ。お前みたいな学生や資格を持たない一般人が興味本位でギルドやダンジョンに入っていかないようにここで警備しているのさ」
「なるほど」

 ふ~ん、探索者シーカーってダンジョン探索やダンジョン配信以外でもこういったバイトみたいなものもあるんだな~。

「結城君はこれからF級ダンジョンに入るのかい?」
「はい、探索者シーカー養成ダンジョン以外のダンジョンが見たかったので、ちょっと見学も兼ねて⋯⋯」
「そうか、そうか。良い心がけだ。最初のうちはそうやって慎重に情報集めるのがいいぞ。F級は新宿御苑ダンジョンここだと9階層の『上層』まではギリギリ探索できるはずだ」
「あ、ありがとうございます!」
「でも、無理しちゃダメだぞ。特に最初のうちは無理せず安全マージンをかなり取っとけよ。そうだな~、5階層でキツイと思ったらそこでしばらくは地道に探索した方がいいぞ」
「あ、ありがとうございます。勉強になります」

 お兄さんがいろいろと為になるアドバイスをしてくれた。すごい良い人だ。

「あ、ダンジョンに入る前はちゃんと受付でダンジョン探索の申請しろよぉ~。受付せずに入ったら不正侵入と疑われて最悪罰金10万円だからな」
「じゅ、10万っ! 申請するの忘れただけでそんなに取られるんですか?!」
「ああ。ダンジョンの入退場は特に厳しいからな。気をつけろよ」
「は、はい、わかりました。いろいろとアドバイスありがとうございます!」
「おう、いいってことよ。そのまままっすぐ行けば突き当たりに受付があるからそこに行きな」
「わかりました。いろいろとありがとうございました」
「おう、頑張れよ!」

 そう言って、俺は葛西さんと別れ受付へと向かった。

「いや~、葛西さんか~。顔は怖いけど良い人だったな~」
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~

尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。 ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。 亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。 ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!? そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。 さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。 コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く! はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

【完結】人前で話せない陰キャな僕がVtuberを始めた結果、クラスにいる国民的美少女のアイドルにガチ恋されてた件

中島健一
恋愛
織原朔真16歳は人前で話せない。息が詰まり、頭が真っ白になる。そんな悩みを抱えていたある日、妹の織原萌にVチューバーになって喋る練習をしたらどうかと持ち掛けられた。 織原朔真の扮するキャラクター、エドヴァルド・ブレインは次第に人気を博していく。そんな中、チャンネル登録者数が1桁の時から応援してくれていた視聴者が、織原朔真と同じ高校に通う国民的アイドル、椎名町45に属する音咲華多莉だったことに気が付く。 彼女に自分がエドヴァルドだとバレたら落胆させてしまうかもしれない。彼女には勿論、学校の生徒達や視聴者達に自分の正体がバレないよう、Vチューバー活動をするのだが、織原朔真は自分の中に異変を感じる。 ネットの中だけの人格であるエドヴァルドが現実世界にも顔を覗かせ始めたのだ。 学校とアルバイトだけの生活から一変、視聴者や同じVチューバー達との交流、eスポーツを経て変わっていく自分の心情や価値観。 これは織原朔真や彼に関わる者達が成長していく物語である。 カクヨム、小説家になろうにも掲載しております。

処理中です...