異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

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第一章

067「今そこにある危機(タケルのやらかし後始末)(1)」

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「少し話疲れたのじゃ。一旦休憩でも取るのじゃ!」

 と、のじゃロリがのじゃのじゃ呟いた後、俺にさっきのコーヒーのおかわりを要求してきた。俺もちょうどカップにコーヒーが無くなるところだったので、櫻子ちゃんのカップを受け取りさっきのコーヒーメーカーの所へいき、二人分のコーヒーを入れて戻ってきた。

「ほい」
「おお、ありがとう。ズズズ⋯⋯はぁ、お主コーヒー作るのうまいな」
「いえ、それほどでも⋯⋯ズズズ」

 まー俺が作ったわけではないが。

 そんな感じで、雑談をしながらしばしリラックスムードの俺と櫻子ちゃん。

 その時、櫻子ちゃんが「あ、そうじゃった!」と何かを思い出したかのような仕草を見せるとおもむろにテレビのリモコンを手に取り、

「さて、ちょっと様子でも観るか⋯⋯」

 とリモコンのスイッチをポチッとな、した。すると⋯⋯、

「⋯⋯速報です! 本日、新宿御苑ダンジョン70階層以上に存在すると兼ねてから噂されていた『喋る魔物』が49階層にて出現。その際、遭遇したDストリーマーの配信映像に『喋る魔物』の姿が初めてカメラに収められました! さらには、そのDストリーマーオメガなるデスマスクの仮面を被った怪しい人物は⋯⋯」
「「ぶーーーっ!!!!」」

 俺と櫻子ちゃんは盛大にコーヒーを吹いた。


********************


「な、ななななな⋯⋯?!」

 櫻子ちゃんが青ざめた表情でテレビを観ながら震えている。

「どうしたんだい、櫻子。怖い夢でも観たのかい?(イケボ)」

 俺は混乱している櫻子ちゃんを安心させるべく『大人の包容力』と『魅惑のイケボ』をもって声をかけた。すると、

「⋯⋯のじゃ」
「のじゃ?(イケボ)」
「これらはすべて⋯⋯お前のやらかしが招いた結果なのじゃ、このバカチンがぁぁぁっ!!」

 フッ⋯⋯! ドゴォォォン!!!!

「おぐふぅぅ⋯⋯!!」

 櫻子ちゃんが『空間転移ジャンパー』を使って、本日二度目の『鳩尾みぞおちブロー』が綺麗に決まった。俺⋯⋯悶絶中。

「さ、櫻子ちゃん⋯⋯。『空間転移ジャンパー』使うとか⋯⋯本気すぎ⋯⋯」
「当たり前じゃ! この騒ぎは全てお前のやらかしが原因なのにその後始末はワシがせんといかんのじゃぞ! 鳩尾ブローこれくらいせにゃ、ワシの気が収まらん!」
「うっ⋯⋯」

 ごもっともです。

 さーせん。

 その後、『オメガちゃんねる』と『戦乙女ヴァルキュリーチャンネル』を確認してみた。すると、先ほどの配信映像の再生数が⋯⋯70万を超えていた。

「さ、再生数⋯⋯70万! こ、これが、バズっているというやつかっ!? すげぇぇ!!」

 俺は自分のチャンネルの再生数を観て歓喜を上げる。⋯⋯が、その横では、

「マ、マズイ⋯⋯マズイのじゃ!『オメガちゃんねる』だけでなく『戦乙女ヴァルキュリーチャンネル』のほうもバズっておる⋯⋯。しかも、あっちはすでに150万再生超え⋯⋯」
「1、150万⋯⋯っ!? すげぇ! さすが『戦乙女ヴァルキュリーチャンネル』!」
「ぬぅぅ⋯⋯本当は動画を先に『非公開』にするはずじゃったのに⋯⋯ワシとしたことがっ!!」

 と、ものすごい剣幕の櫻子ちゃんがおもむろにスマホを取り出し電話をかける(ものすごい剣幕⋯⋯だが可愛い)。

「ワシじゃ! 情報室の方で『オメガちゃんねる』と『戦乙女ヴァルキュリーチャンネル』の今日の配信動画を非公開にするんじゃ! 急げ!」
「ええっ!?」

 そ、そんな! せっかくのバズり動画広告収入が⋯⋯。

「後生です、櫻子ぱいせん! どうかご一考を!?」
「ええい、離れろ! 心配するでない、非公開にした動画の広告収入分の補填はギルドこちらで賄う!」

 あ、そうなの?

 なら良し!(お金大事)

「よし、非公開にしたな! こちらでも確認した! ご苦労様なのじゃ!!」

 どうやらギルドの『情報室』なる部署の方で俺のチャンネルと『戦乙女ヴァルキュリーチャンネル』の動画の非公開申請をDストリーマーの運営に行い、それが受理され動画は非公開となり観れなくなった。

 ちなみに、情報室が非公開申請を上げたDストリーマーを運営しているところというのは、なんと『世界探索者シーカーギルド協会イギリス総本部』⋯⋯つまり全世界の探索者シーカーギルドをまとめている総本部とのこと。

 いや~そんなところに電話一本入れて、動画の非公開が即座に承認・実行されるなんて普通あり得ないと思う。

 もしかしたら、これがこれまでの20年間で積み上げた櫻子ちゃんの『影響力』なのかもしれない。


********************


「ふぅ⋯⋯やれやれなのじゃ」

 そう言って、櫻子ちゃんがグビッとコーヒーを一気に飲み干す。

 それを見た俺は、再度コーヒーメーカーを取りに行き、今度は櫻子ちゃんだけにコーヒーを注ぐ。

「ほい」
「おお、ありがとう。ズズズ⋯⋯はぁ、やっぱりお主コーヒー作るのがうまいのじゃ!」
「いえ、それほどでも⋯⋯ズズズ」

 再三言うが、俺が作ったわけではない。

 まーそれはそれとして。

 雑談をする俺と櫻子ちゃんの間には、またもゆったりとしたリラックスムードが流れる。

 すると、櫻子ちゃんが「さて、混乱は収まっておるかの」などと言いながら、おもむろにテレビのリモコンを手に取りスイッチをポチッとな、した。すると⋯⋯、

「⋯⋯中継! 中継です! わたくしは今、ここ⋯⋯新宿御苑ギルドビルの目の前に来ております! そして、見てください、この人の数を! 話を聞くと、どうやらこれは例の『喋る魔物』が映っていた動画が突然観れなくなったということで、『オメガちゃんねる』『戦乙女ヴァルキュリーチャンネル』の視聴者が抗議をしにここに詰めかけたとのことです! 現場は大変混乱しております! 繰り返します! ただいま新宿御苑ギルドビルの前には⋯⋯」
「「ぶーーーっ!!!!」」

 俺と櫻子ちゃんは再度盛大にコーヒーを吹いた。
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