89 / 206
第一章
089「結城亜美の告白『私の犯した罪』(1)」
しおりを挟む——これは、今より少し先のお話
私の名は『結城亜美』。
これから私は自分の犯した『罪』と『嘘のような本当の話』をしようと思う。
まずは『私の犯した罪』の話から。
私は結城家の長女で妹の由美とは双子だ。顔も双子なだけに似ているので、お気に入りのさくらんぼの髪留めを妹の由美とは非対称に留めている。ちなみに私は左だ。
一応、これは別に由美と仲が悪いとかそういうことではない。ただ双子だからって二人とも同じ格好というのには何となく抵抗があったのでそういう風にした⋯⋯ただそれだけだ。
まー『個性を出したい』という感じに近いと思う。それはたぶん由美も同じだろう。
そんな顔が似ている二人だが違うところもある。例えば身長は私の方が由美よりも10cm以上高く、私が165cmで由美が153くらいだったと思う。
でも⋯⋯でもである!
胸のサイズは妹の由美の方が、私よりもなんと、じゅ、10cm以上⋯⋯大きい!
身長は小さく可愛いサイズなのに胸は全然可愛いくないサイズだ!
「な、なんで、双子なのに⋯⋯ここまで違うのよぉぉぉ!!!!」
はっ!? 取り乱してしまった! いけない、いけない。
——閑話休題
さて私、結城亜美は自分で言うのもなんだがスポーツ万能だ。頭の方は⋯⋯ま、まあまあだ。
で、そんなスポーツ万能な私は今とても悩んでいる。何に悩んでいるか、それは⋯⋯『探索者』についてである。
みんなには今でも隠しているけど、実は私は今年の夏休みからずっと探索者になるかどうかずっと考えていた。
ちなみに「探索者になりたい」と最初に思ったのは小学5年生の時。その時にテレビでやっていた『ザ・プロフェッショナル~仕事の矜持~』の『ダンジョンといういまだ謎に包まれた構造物を探索する者たち~ダンジョン探索者を生業とする者~』の放送回を観た時だった。
その中で探索者を仕事にしている人たちの話を聞いた時、私の胸はドクンドクンと高鳴り、
「私、探索者になりたい!」
と、私の中でその想いが爆発した。
その後、すぐにネットで探索者になるにはどうすればいいのかを徹底的に調べた。すると、探索者として活動できるのは『16歳以上』というのを見つけ落胆した。だって、本当ならすぐにでもなりたかったから。
でも、少し冷静になって「そりゃ、そっか」と納得する。だって、ただでさえ危険と隣り合わせの職業⋯⋯それが『ダンジョン探索者』なのだから。
そして、私は考え決断する。
「16歳になるまでのこの6年間は探索者になるための体づくりをする!」
********************
そうして、私は16歳になるまでの6年間——体づくりに全振りした。
元々、運動神経が良かった上にさらに私は自分の体をいじめ抜いた。そのおかげで、中学に入ってからはスポーツに関するものすべて、他の生徒を圧倒した。
わかりやすい例で言うと、毎年の校内陸上大会で本家の陸上部の選手をごぼう抜きした⋯⋯そんな感じだ。
ちなみに部活動はやっていない。理由は『探索者になるための体づくり』がメインだったから。ただ、中学では生徒はもちろん先生たちからも「亜美が何らかの運動系の部活に入れば絶対に全国レベルなんだけどな~」と何度も言われていたし、通知表にも書いていた。
私的にはそういった外部の声が通知表に反映されたのが一番嬉しかった。なぜならそれが『探索者』になる時の母さんを説得するときの『武器』となるからだ。
そうして、探索者になるための準備を万端にした私は高校へと入学。歳も16歳となり、ついに『探索者』の登録ができる年齢となった。
本当なら16歳の誕生日にお母さんに「探索者になる!」と伝えたかった。⋯⋯が、それは一旦待った。
というのも、小学校の時に観たあの番組の中で、女性でしかも現役高校生で探索者になった子が「今は両親も応援してくれてますが、探索者になると言ったときはかなり反対されました」と言っていたからだ。
実績は中学の時に作った。母さんからも「どうしてこんなに先生に褒められるくらい運動神経が良いのに部活やらないの?」と聞かれたこともあった。そんな時、私は「やりたいことがあるんだ。でも、今はまだ秘密!」とはぐらかした。
母さんもそんな私を見て「何か目指しているものがあるのかな?」くらいには思っていると思うし、それが私の狙いだ。
つまり、それらはすべて『探索者になること』と『家族にも応援して欲しい』という願いを成就するための計画なのだ。
だから、私は焦らずに機会を伺っていた。
しかし、そんな時だった⋯⋯。
「えっ? タケル(兄ぃ)が探索者になるぅ?!」
********************
私はタケル兄ぃの告白に耳を疑った。
あのタケル兄ぃが⋯⋯探索者に?
しかも、話によるとF級探索者になるのに必要な『レベル2』にはすでになっているという。夏休みに密かに部屋から抜け出して『探索者養成ダンジョン』に通っていた⋯⋯と。
え? そ、そんなに早く?!
だって、夏休みの間って約2ヶ月くらいだよ!
正直タケル兄ぃは運動神経が良い方ではない。だから、その話は到底信じられなかった。でもタケル兄ぃは「明日F級探索者の登録に行く」という。「登録料は貯金で出せるから心配しないで」とも。
そこまで言うということは『本当に探索者になれる状況』だということだ。
私はまさか家族から⋯⋯しかも自分より早く探索者になる人が現れるなんて想像すらしていなかった。まして、運動神経は可もなく不可でもないタケル兄ぃがなるなんて⋯⋯。
その場では、そんなショックは微塵も見せないよう振る舞っていたが、私の心は大きく掻き乱されていた。
そして、次の日——私はタケル兄ぃが家に帰るのをずっと待っていた。理由はもちろん『本当に探索者になれたのかどうか』を知りたかったから。
そんな時だった。
突然、友達から連絡が入ったので取ると「なんか今めっちゃ面白いDストリーマーが現れたー! このチャンネル観て!」とワーワーと興奮気味な様子で早口であるDストリーマーの配信を観るよう言ってきた。
「わ、わかったから!? そんなに急かさないでよ!」
まー実際タケル兄ぃが帰るのは夕方くらいだろうと思っていたので、その間どうやって時間を潰すか考えていたところだったのでタイミングがよかった。
ということで、早速そのDストリーマーのチャンネルの配信を由美と一緒に観た。
「え? 何、これ?」
そこには『オメガ』なるサングラスとマスク、それに格好は青のチェック柄の長袖シャツにジーパンという、何とも残念な出立ちをしていた。
そんな私の初見の感想は、
「ただの不審者じゃん!」
である。
69
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる
暁刀魚
ファンタジー
社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。
なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。
食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。
そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」
コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。
かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。
もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。
なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。
カクヨム様にも投稿しています。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる