103 / 206
第二章
103「『英雄旅団』——新宿御苑ダンジョンへ参る!(2)」
しおりを挟むダンジョンに入る前——俺たちはステータスを見せあった。
——————————————————
結城 タケル(ゆうき たける)
レベル:7
スキル:双剣
——————————————————
雨宮 理恵(あまみや りえ)
レベル:41
スキル:乙女剣聖
技:一刀両断/凛舞斬り/乱舞天昇
——————————————————
佐川 卓(さがわ すぐる)
レベル:11
スキル:拳闘武者
技:百裂拳
——————————————————
「佐川って、意外とレベルあるんだな」
俺は佐川のレベルが二桁行っているとは思っていなかったので単純に驚く。
「たりめーだろ! 俺は1年前から探索者やってんだから!」
すると、
「フン! その割には少しレベルが低いんじゃないかしら?」
と、理恵たんから辛辣な言葉が飛ぶ。
「う、ううう、うっせ! いいだろ、別に! 俺の勝手だろ!」
「私が言いたいのは、ダンジョン探索を怠けていたのは、タケル君をいじめたり、ロクでもない連中と付き合っていたからでしょ、って言いたいのよ!」
「うっ!? す、すまん」
「⋯⋯」
うんうん。姉さん女房かな? てか、もうこれ付き合ってるよね?
そんな2人とクラン組む俺って、もしかして、ドの付くMかな?
さて、そんな悲しい話は置いといて、それでもやっぱり仲間と一緒にダンジョン探索をするのは楽しいと感じる。
「それにしても、タケル君のレベル⋯⋯今日が初ダンジョンにしては高いですね。それに、すでに『双剣』のスキルを持っているだなんて⋯⋯すごいです!」
う⋯⋯。
「え、えーと⋯⋯実はこれまで池袋の探索者養成ダンジョンでレベル上げをしていたんだよね、はは。で、その時に宝箱を見つけてそこに双剣のスキルがあったんだよね。そ、それで双剣をいっぱい練習してたってわけさ! だ、だから、このくらい⋯⋯普通だよ、普通。あっはははは」
「⋯⋯」
「⋯⋯」
あ、あれ? 二人がすごいジト目してる⋯⋯。やっぱ、初ダンジョンで『レベル7でスキル持ち』て違和感バリバリなのか?!
「へ、へーそうなんですね、さすがです!」
「す、すごいな、タケル。よ、よっぽど双剣の練習⋯⋯したんだな!」
「え? あ、うん! そうなんだよ! あはははは!」
よし、なんとか誤魔化せた!
——————————————————
——雨宮 理恵
(い、いやいやいやいや、タケル君!「うまく誤魔化せた!」みたいな顔してるけど、全然誤魔化せてないからぁ!)
——佐川 卓
(やばい⋯⋯。こいつ俺の想像以上にわかってないぞ!? むしろ「うまく誤魔化せた!」と思っている節さえある。早いうちにこの勘違いヤローにわからせないと!)
——————————————————
二人の心配をよそに、タケルは「いやぁ、チョロいチョロい」などと見当違いな自信に満ち溢れていた。
********************
「あ、ゴブリン」
「おらぁぁ!」
「へぇ~、やるじゃない。佐川」
今、俺たちは3階層まで降りてきた。
「えっと、まずF級である佐川とタケル君がメインで戦うっていう形にしましょう。私は必要なときに入る『サポート役』に徹するから」
「おう!」
「わかった」
と理恵たんの指示のもと、佐川と俺で前衛のような立ち位置で戦っていた。
ちなみに、現在ダンジョン配信はしていない。というのも、俺的には「別に配信してもいいのでは?」と思ったのだが、
「い、いえ、とりあえず、今日がクランとして初ダンジョンなので初めは配信無しでいきましょう!」
「そ、そうだぜ、タケル! 人気Dストリーマーの雨宮が言っているんだ、今は素直に聞いとけって!」
と、二人が頑なに「ダンジョン配信は今はやめておこう」というようなことを言ってくるので、とりあえず俺もそれに従った。まぁ実際、佐川の言う通り、ここは経験豊富な理恵たんの言葉に従うのが吉だろう。
——昨日、理恵たんの家から戻った俺は、この日のための『ステータス偽装』を施した。
理由はもちろん、一撃パァーン防止のためだ。ということで、パッシブスキルの『身体覚醒(極)』はすでに解除した。
というのも、元々、異世界では魔物や魔族と戦う日常だったり、暗殺者に狙われるような日常だったので『身体覚醒(極)』は常に発動状態での生活を余儀なくされていたのだが、現代では日本ということもあって平和なので『身体覚醒(極)』を常時発動する必要性がなくなったのだ。
あと、ダンジョン探索にしても今のところ『身体覚醒(極)』を発動しなくても、現代に来て成長したレベルの身体能力でも十分やっていけることがわかったから⋯⋯というのもある。
ちなみに、俺のレベルは『31』。オメガとしてダンジョン探索する前、つまりデビュー前の俺は『池袋の探索者養成ダンジョン』でレベル20まで上げていたが、あの2回目の配信で『喋る魔物バロン』を倒したあと、一気に『31』まで上がった。まぁそれだけ、あのバロンは強キャラだったということだ。
というわけで、俺はこの『レベル31』をどう偽装するかに頭を悩ませていた。当然ステータスの偽装だけでなく『実際の身体能力』も落とす必要があった。
「そうでもしないと、うっかり攻撃したり動いたりして『レベル31』の身体能力がすぐにバレるだろうからなぁ~」
そこで、俺は、
「テテテテン!⋯⋯異世界産アイテム『脱力の指輪』~」
と、未来からやってきた猫型ロボット風に宣言しながら、強力なデバフ効果のある指輪を装着した。
——————————————————
『脱力の指輪』
・装着した者のレベルを50%減少
・指輪所有者の許可なく指輪を外すことはできない
・指輪の個数分デバフ効果が発動する(最大4個(90~93%減少))
——————————————————
主に、犯罪者などを捕らえた際に『隷属の首輪』とセットで装着させる指輪だ。見ての通り、かなり強力なデバフ効果を持つアイテムで、当然『超貴重品&高級品』である。日本円に換算すると1個『10億』はくだらない代物。
そんな超高級アイテムを2個持っている俺はそれを右手にはめた。結果、現在のレベルは『31の半分の半分』⋯⋯およそ75%ダウンの『レベル7』となった。
「か、体⋯⋯重ぉぉ~」
ついさっきまで、パッシブスキル『身体覚醒(極)』を利用していたこともあり、現在はその身体能力が著しく下がったため、体の重さや倦怠感が半端ない。
「う、ううう⋯⋯わかっていたことだけど⋯⋯こりゃキツい」
そして、深夜まで及ぶことになったものの、俺はなんとか75%減少した『身体能力』に慣れた。
27
あなたにおすすめの小説
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~
尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。
ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。
亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。
ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!?
そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。
さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。
コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く!
はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる