異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
138 / 206
第二章

138「エリクサー(2)」

しおりを挟む


 な、なんとか、りんねちゃんに『俺にエリクサーを使わせた』という『重荷』を解き放ってあげなければ⋯⋯そ、そうだ!

「り、りんねちゃん、大丈夫だよ! これまでずっとエリクサーこれを使う機会なんてなかったから⋯⋯だからちょうどよかったんだ!」
「で、でもぉ~⋯⋯」
「そ、それにね! エリクサー⋯⋯ストックあるから・・・・・・・・!」

 俺はそう言ってりんねちゃんを安心させた。ふ~、おそらくりんねちゃんはエリクサーが一つだけしかないと思ったからここまで責任を負ってしまったのだろう。だから「エリクサーにストックがある」とわかれば、気持ちもだいぶラクにな⋯⋯、

「「「「「⋯⋯え?」」」」」

 突然——りんねちゃんはおろか、その場にいた全員が凍りついた。


 あれ? 流れ変わったな。


「こ、こほん! え、えーと⋯⋯オメガさん?」
「は、はい、何でしょう⋯⋯亜由美さん」

 亜由美さんがすげー真剣な顔で迫りながら質問してきた。⋯⋯俺ガクブル。

「つかぬことをお聞きしますが⋯⋯」
「はい」
「エリクサーのストック・・・・⋯⋯あるんですか?」
「え? あ、はい。10個・・・ほど⋯⋯」
「「「「「じゅ、10⋯⋯っ!!!!」」」」」

 全員が顔面蒼白となり固まる。

「エ、エエエ、エリクサーが⋯⋯10個ですかっ!?」
「はい。エリクサーが10個です」

 俺が亜由美さんの質問に答えると、その横にいたともちーさんが、

「あれ? え~と⋯⋯エリクサーってそもそも存在自体が都市伝説レベルの逸品だったはずだと⋯⋯私の中のゴーストが囁くんだけど⋯⋯。あれ? 私、間違ってる?」

 と、瞳孔が開いた状態で虚空を眺めながら電脳な呟きを放つ。

「ううん、大丈夫。間違ってないよ、ともちー!」
「うん! だから現実に戻ってきて!」

 と、ともちーの言葉に返答するりんなちゃんと、その後ろから「現実に戻るよう」必死に呼びかけるりんねちゃん。また、今度はチラッと反対側の戦乙女ヴァルキュリーたちを見てみると、

「エ、エエエ、エリクサーが⋯⋯10個。私には⋯⋯そう聞こえたわ。オメガ様がそう言ったように聞こえたの。ねぇ、わたし間違ってる? ねぇ、間違ってるぅぅぅ~~~っ!!!!」
「間違ってない! 間違ってないよー、渚ー!」
「渚、気を確かに~~!!!!」
「あいえーなー(おおーっと)! この子、マブヤー(魂)落としてるさー! マブヤ~マブヤ~ウーティクーヨー、マブヤ~マブヤ~ウーティクーヨー⋯⋯(魂~魂~戻っておいで~、魂、魂、戻っておいで~⋯⋯)」

 渚さんがともちーさんと同じように目を見開きながら『宝◯歌劇団』さながらに虚空を見て叫んでいた。そして、その横では亜由美さんや有紀さんがりんなちゃん・りんねちゃんと同じように必死になって渚さんに「現実に戻るよう」訴えてる。

 あと、渚さんの後ろに立っているちょっちゅねさんは「マブヤーマブヤーウーティクーヨー」と、渚さんの背中に手を当てながら謎の呪文を唱えていた。

 うん。しっかりカオスだね。


********************


「み、皆さん⋯⋯落ち着きましたか?」

 あれから1~2分ほど経過して、なんとか全員が落ち着いた。

「はぁぁぁ⋯⋯なんか疲れた」
「わ、私もぉぉ⋯⋯」

 そう言って、うなだれるともちーさんと渚さん。⋯⋯その時だった。

「あ、そうだ! すみません、実は⋯⋯!」

 と、ともちーさんが突然声を上げると、自分たちがここにいる経緯を説明してくれた。

「喋る魔物が⋯⋯?」
「は、はい! 中層最深部29階層の階層ボス部屋の前にいて⋯⋯そこでいま私たちのクラン仲間が戦っていて⋯⋯それで今29階層ではクランリーダーの越智くんと百合姫が応援が来るまでの時間稼ぎで喋る魔物と対峙していて⋯⋯」
「わ、私たちは、ギルドへ応援要請と、りんねを病院に連れていくために戦線を離脱してここまで走ってきて⋯⋯! で、でも、ここでビッグマングースの群れに囲まれてしまって⋯⋯それで⋯⋯」

 二人は29階層で戦っている仲間のことを思い出したのか、一生懸命に俺たちにそのことを伝えようとしているが焦るあまりうまいこと説明できていない様子。

 だが、何を訴えているのかはすぐに理解できた。

「大丈夫ですよ、二人とも。ちゃんと意図は伝わりましたから」
「「「⋯⋯オメガ様!」」」
「それじゃあ、俺⋯⋯ちょっといってきますね」

 俺はちょっちゅねさんと戦乙女ヴァルキュリーにサラッとそう伝える。すると、

「あ、でも! あの喋る魔物⋯⋯『試作100号改』ていう奴なんですけど、すごく強いですから自分たちも一緒に⋯⋯」

 と、ともちーさんやりんなちゃん、りんねちゃんが一緒に行くと言ってくる。しかし、

「あ、大丈夫大丈夫。一人で行ってくるから⋯⋯」
「で、でも⋯⋯!」
「それに⋯⋯」
「?」
「めちゃめちゃ急いで行くので追いつけないと思いますから⋯⋯」
「え?」
「それじゃ⋯⋯いってきます」

 フッ⋯⋯。

「えっ!? き、消えたっ!!」
「ううん! い、今のは、足で移動しただけだと思うけど⋯⋯全く見えなかった」
「目の前から⋯⋯消えちゃった」
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...