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第二章 騎士学園編
096「決勝トーナメント一回戦(6)」
しおりを挟む「続いて、第四試合をはじめます! リュウメイ・ヤマト選手、ディーノ・バレンチノ選手の入場です!」
「「「「「ワァァァァァ!!!!」」」」」
フェリシアのアナウンスが響き渡ると、リュウメイ・ヤマトとディーノ・バレンチノーのが舞台に登場。観客が大きな声援を送る。
「初めまして。わたくしクラリオン王国バレンチノ家のディーノ・バレンチノと申します。ヤマト皇国の王太子であるリュウメイ・ヤマト様と拳を交えること光栄に思います」
「そんな、固くならないでください。私もあなたたちと同じクラリオン王国の一回生の生徒ですから」
「勿体無いお言葉です。全力でぶつからせていただきます」
「うむ、こちらこそよろしく」
二人が試合前に軽く挨拶を交わす。普段から貴族の振る舞いを徹底しているディーノらしい挨拶だ。
「それでは第四試合、はじめぇぇぇーーーーーー!!!!」
ゴーーーン。
「⋯⋯」
「⋯⋯」
前の試合とは打って変わって、二人は相手の様子を伺うところから始まった。
「⋯⋯なるほど。隙がないですね」
「ありがとうございます」
二人は会話しながら、しかし、ゆっくりと自身の間合いをはかっている。
「「身体強化」」
二人が同時に身体強化をかけた瞬間、いち早く動いたのは——ディーノ。
「水属性中級魔法『豪流瀑布』!」
ディーノが素早く『豪流瀑布』を展開。手のひらから、かなりの勢いの水流が解き放たれる。しかし、
「龍拳・三位階『龍流流転』」
「何っ!?」
トン⋯⋯、ススーーーーーー⋯⋯。
リュウメイは、なんとディーノの魔法攻撃さえも先ほどと同様、手のひらで受けつつ、体を数回転させ、威力を増した『豪流瀑布』をディーノへと反転させた。
「うぐ⋯⋯っ!?」
ディーノは威力が増した自分の魔法をまともに食らい、そのまま壁へと叩きつけられた。
「なっ!? あ、あれはさっき王太子が見せた『龍拳』! 野郎⋯⋯魔法も受け流して反転させることができるのかよ!!!!」
「ディーノさん!」
観戦しているカートは物理攻撃だけでなく魔法攻撃さえも反転させるリュウメイの龍拳にショックを受け、ザックは威力が増した自分の魔法攻撃をまともに食らったディーノを心配して声を上げる。
しかし、二人の心配を余所にディーノはすぐに立ち上がり舞台へと戻った。
「⋯⋯なるほど。ボクの龍拳を試したんだね?」
「ま、そんなところです」
「「「「「ワァァァァァァァーーーーーー!!!!」」」」」
観客が予選で見せたリュウメイの龍拳の威力を知っていた為、皆、ディーノが負けたと思っていたがすぐに立ち上がったのを見て、大きな歓声を上げた。
「やるな、バレンチノ家の⋯⋯」
「あれ、次男のディーノ・バレンチノですね。それにしても、彼があれほどの実力者だとは⋯⋯⋯⋯驚きですね」
ディーノを見て感心したのは、ジャガー家当主ランドルフ・ジャガーとエミリオ・ジャガー。
「⋯⋯ふむ。ガスはもちろん、カートもこのディーノもだが、なぜこいつらは入学してまだ一ヶ月そこらしか経っていないのに、ここまで魔力量が急成長しているんだ? カスティーノ家の小僧もそうだったが⋯⋯⋯⋯一体、誰の仕業だ?」
ランドルフがディーンを含め、ガスやカートのあまりの急成長に怪訝な顔を示す。
「少し調べたけど、まだよくわからないかな。でも、ただ気になる『噂』が一つあるんだよね」
「なんだ?」
「ガスたちやカスティーノの子もだけど、どうやら二週間前の合同魔法授業の後から強くなった、という話を聞いたんだよね」
「合同魔法授業の後? なんだ、そりゃ? 普通、合同魔法授業の後には特には何も特別授業とか特訓なんてないだろ?!」
ランドルフがエミリオを思わず恫喝する。周囲はその声にビクッとしたが、エミリオは特に動じることもなく、飄々と話を進める。
「そう。だから、彼らの魔力量が急激に増大したのは教師が教えたとか、そういうことではないみたい⋯⋯」
「そりゃ、そうだろ! そんな優秀な教師がいるならジャガー家に引っ張ってるわ!」
「うん。でね、ここからは、あくまで俺の予測でしかないんだけど⋯⋯」
「いい。教えろ」
「あまりにも突拍子もない予測だけど、もしかするとガスたちを強くしたのは⋯⋯⋯⋯生徒の仕業じゃないかなってね」
「何っ!?」
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