「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

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第三章 騎士学園/騒乱編

129「脅威と初任務」

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「では、ここから話す内容は君たちがこれから受ける『任務』に関係するものであり、国の最重要機密事項トップ・シークレットとなる。よって、これからの話はすべて他言無用とする⋯⋯よいな?」
「「「「「は、はい⋯⋯っ!!!!(ごくり)」」」」」

 俺も含めて、皆が学園長の言葉に緊張のギアがさらに一段階・・・・・・上がる。

「今回の任務は⋯⋯⋯⋯ある対象者・・・・・の捕獲または討伐じゃ」
「対象者?」
「今回の対象者は⋯⋯⋯⋯『大規模な洗脳魔法を使う者』じゃ」
「「「「「せ、洗脳⋯⋯魔法⋯⋯っ!?」」」」」

 初めて聞く魔法だ。しかも『洗脳』って⋯⋯。

「洗脳魔法⋯⋯といっても、実際そのような名称の魔法かどうかはわからぬ、というところが実情じゃ。そして、それだけ厄介な任務とも言える」
「え? そうなの?」
「うむ。敵⋯⋯この対象者がそもそも何者かもよくわかっておらん。ただ、この国で何か『きな臭い』ことをしていることは確かでな。その一つがこの『大規模洗脳魔法』じゃ。この洗脳魔法のせいで『ある者たちの存在』がクラリオン王国内の王国民の中から消え去ってしまっておる」
「え? 何それ?」
「さらに、その者たちは『王国内の歴史書』にも記録が残されていない」
「はぁ~っ?! そ、そんな大規模な『虚偽の情報』を国レベルで操作されているってことですか?!」
「そうじゃ。始まりは『五大国大戦』終結後である十五年前くらいから始まっていると思われる」
「そ、そんな前から⋯⋯」
「もちろん、これまでもワシやラディット国王も犯人探しをしているが、一向に尻尾さえ掴めぬままじゃ」
「そ、そんな⋯⋯学園長や国王様が動いても尻尾さえ掴めないだなんて⋯⋯」
「そんな相手を、俺たち⋯⋯『学園騎士団』で捕縛または討伐するんですか?!」

 生徒からは不安の声が上がる。当然だ。二大曲者・・・・である学園長とラディット国王でも尻尾を掴めない相手を、俺たちが捕縛・討伐なんて無理ゲーでしかない。

「ちなみに、なぜお前たちにこんな『難解な任務』を与えるのかというのは⋯⋯⋯⋯カイト・シュタイナーに関係しているからだ」
「え? 俺?」
「この大規模洗脳魔法を使って、王国民の記憶から存在を消し去っている人物⋯⋯。それは、かつて『五大国大戦』で英雄級の活躍をし、他国からクラリオン王国を死守した『ベクター・シュタイナー』『ジェーン・シュタイナー』⋯⋯⋯⋯つまり、カイトの両親じゃ」
「「「「「えええええええええええっ!!!!!!!!!」」」」」

 学園長の言葉に俺も含めた皆が驚きの声を上げる。

「そ、それは、おかしくないですか!? お、俺は、ベクター・シュタイナー様やジェーン・シュタイナー様のことはちゃんと記憶にありますし、忘れたことなど一度もありません!」

 そう、激しく声を上げたのは⋯⋯⋯⋯カート・マロン。

 カートは『騎士団オタク』で有名で、その中でも『五大国大戦時代の騎士団オタク』らしい。

 そして、その中で特にファンなのが俺の両親だと⋯⋯大会が終わった後、しつこいくらいに聞かされたのを俺は思い出した。

「うむ。そこがこの大規模洗脳魔法の厄介なところでな。どうやら調べていくと、この大規模洗脳魔法は『効果範囲こそ広いが、そこまで強力なものではない』ということがわかった。じゃから、カート君のような『二人のことが常に頭にある者』であれば、その者の記憶から消え去ることはない。なので、ワシや他の二人と近い者たちの記憶にはちゃんと残っておる」

 なるほど。

 確かに、学園長や騎士団長のアルフレッドさんは覚えていたな。

「ただし、そのようなあいまいな洗脳効果・・・・・・・・・じゃからこそ、かえって気づく・・・のが遅れた。そして、そのあいまいな効果のおかげで、これまで人々に怪しまれることが一度もなかったのじゃ」

 何となくだが、俺は学園長が言っていることがわかった。『しっかりした効果』よりも『あいまいな効果』のほうが、じわりじわりとゆっくり浸透していく⋯⋯そんな感じだろう。

 はっきりとした効果じゃないからこそ、気づきにくいし、見つかりにくい。

 そう考えると、この大規模洗脳魔法を使役している人物は⋯⋯⋯⋯『相当な切れ者・・・・・・』であることは間違いないだろうな。

「そ、それでしたら⋯⋯⋯⋯いくら、カイトの両親が関係しているものとはいえ、尚更、私たち学生では、あまりに困難な任務ではないでしょうか!?」

 レイアが学園長に進言する。みんなも同じことを思っているようで『うんうん』と頷いている。しかし、

「話はまだ終わっておらんぞ、レイア・クラリオンよ? この任務を君たちにやってもらう理由でカイト・シュタイナーが関係しているというのは何も⋯⋯⋯⋯『両親が関係しているから』だけではない」
「え?」
「カイト君。君、この洗脳魔法⋯⋯⋯⋯どうにかできない?」
「へ?」

 何を言っているんだ、このおっさんは?

「どう⋯⋯とは?」
「カイト君に望んでいるのは大まかに言うと3つじゃ。1つは⋯⋯」

 そう言って、学園長おっさんがいくつか要求してきた。
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