「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
142 / 145
第三章 騎士学園/騒乱編

142「ドキがムネムネ!魔法開発(全属性持ちは軽くスルー)」

しおりを挟む


——休憩終了

「さ、さて! 気を取り直して! カイト君の仮説を軸に洗脳魔法の研究を進めたいと思いますが、みんなどうですか?」
「「「い、意義なしっ!!!!」」」
「え? そ、そうなの? ありがとう⋯⋯ございます」

 どうやら、俺の仮説は受け入れられたらしい。うれしい。

「ところで、カイト君⋯⋯君の意見を聞きたいんだけど、ボクは『洗脳魔法』というのは『脳内に魔法で干渉して記憶を消している』と思うんだけどどうかな?」
「えーと⋯⋯自分が思うに洗脳魔法は『記憶を消しているのではなく、元あった記憶の上に記憶を重ねている・・・・・・・・・・のではないか』と考えています」
「『元あった記憶の上に記憶を重ねている』⋯⋯。上書き・・・ではなくて⋯⋯かい?」
「はい」

 どうやら、ソフィア室長はこの『洗脳魔法』の効果は『記憶の上書き』だと見ているようだ。

「根拠は?」
「根拠は⋯⋯⋯⋯さっき三人が初めて俺の名前を聞いたとき、セイラが『両親が元騎士団長と副団長のベクター・シュタイナー様とジェーン・シュタイナー様っていう、サラブレッド中のサラブレッド』と言ってました。そして、それを聞いた二人⋯⋯マイルズとシーファもまたその情報を知っていた⋯⋯⋯⋯これが根拠です」
「なるほど! 確かに『記憶の上書き』なら、誰もカイトの両親を知らない・・・・・・・・・・・・・・というわけか!」
「はい。実際、トーナメントのときも舞台で俺が両親の名前を言うと、会場の観客も俺の両親の名前に見覚えがあるという反応から、少ししたら『完全に思い出した』というような感じになってました」
「ふむ。ということは、どうやら、カイト君の言うように『記憶の上書き』ではなく『元記憶の上に別記憶を重ねている』のほうが正しいようだな。そうなると、やはり『洗脳魔法』の正体は『脳の記憶領域への干渉』で間違いないかもしれないね」
「はい。あ、それと⋯⋯」
「何だい?」
「もしかすると『洗脳魔法の無効化魔法開発』は⋯⋯⋯⋯思ったより早く実現できるかもしれません」
「は?」
「「「え?」」」

 再度、ソフィア室長と三人が固まった。

 もう! 固まり過ぎですよ!

「ど、どどどど、どういうことだい、カイト君っ?!」
「え? だって、ここまで仮説を話したら、洗脳魔法はやっぱり『記憶の重ねがけ』の可能性が高いことがわかったじゃないですか」
「そ、そうだね」
「そこまでわかっているのなら、『洗脳魔法』を実際に作ってみようかと⋯⋯」
「「「「⋯⋯は?」」」」
「『洗脳魔法』を作ることができれば、それを無効化する魔法も同時に作れると思います。いや、待てよ? その『洗脳魔法』をさらに分析すれば⋯⋯⋯⋯いろいろ役に立ちそうな魔法・・・・・・・・・・・・・を作れるんじゃないか? うん、うん! オラ、ワクワクすっぞ(By孫くん)!」
「「「⋯⋯⋯⋯」」」

 四人は、もはやマッドサイエンティズムなカイトの思考に誰もついていけず、ただただ呆然と見つめるだけでしたとさ。


********************


——放心状態からしばらくした後

「た、確かに、カイト君の言っていることはに叶ってはいるけど、洗脳魔法なんて本当に⋯⋯作れるの?」
「うーん、わからないです。けど、何となくですが、さっき話しててイメージが湧いたのでやってみますね」
「え? あ⋯⋯う、うん」

 とりあえず、俺はみんながいちいち固まるのに疲れたので、ちょっと強引に『洗脳魔法の作成』を始めようと集中した、その時、

「え? ちょ、ちょっとカイト! あんた、闇属性魔法なんて使えんの?! そもそも闇属性魔法を使える人なんて、ほとんどいない⋯⋯」
「魔法は全属性・・・使えます! もう! そんなことよりも・・・・・・・・、こっちは集中しているんですから、今は声をかけないでください!」
「「「「⋯⋯へ? 全⋯⋯属性?」」」」

 セイラが俺の集中を邪魔するかのように話しかけてきたので、俺はムッとして少し強めな言い方をしてしまった。

 あーしまった⋯⋯。セイラだけでなく、みんなまで俺の強めな言葉・・・・・に引いてるじゃーん。⋯⋯ちょっと謝っとくか。

「す、すみません、セイラさん、みなさん。ちょっと強い言い方をしてしまいました。で、でも、自分も今、魔法作成に集中していたので⋯⋯」
「「「「いい! いい! そんなことはいい! ていうか、そこ・・じゃないからぁぁぁーーー!!!!」」」」
「え?」

 あれ? そこ・・じゃない? じゃあ⋯⋯⋯⋯どこ・・

「カ、カカカ、カイト君って、『全属性持ちエヴリ・シン』だったのぉぉぉーーーっ!?」

 セイラが口をパクパクさせながら、そんなことを聞いてきた。

「『全属性持ちエヴリ・シン』? あ、ああ⋯⋯そういえば魔法属性を全部使える人って、そういう言い方でしたっけ? はい、そうです」
「い、いや、『はい、そうです』て、あんた⋯⋯」
「う、嘘だろ⋯⋯? 知識だけじゃなく、『全属性持ちエヴリ・シン』でもあるなんて⋯⋯⋯⋯モテモテじゃん?」
「「「今、そういう話は⋯⋯いらないからっ!!!!」」」

 ズビシっ! ズビシっ! ズビシっ!

「ごふ⋯⋯っ!?」

 マイルズのいらない感想・・・・・・に、女子三人から三連ツッコミジェットストリームツッコミをお見舞いされたマイルズはあっという間に意識を刈り取られた。⋯⋯何それ、女子こわい!

「ということで、カイト君?」
「は、はひっ!?」
「もう少し、君の話を⋯⋯」
「聞かせて⋯⋯くれませんか?」
「ひ、ひぃぃ⋯⋯っ!?」

 ドキがムネムネ⋯⋯て、そっちの・・・・ドキがムネムネかーいっ!

 つづく!
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...