主人公は魔法が使えないのである。

ice cocoア

文字の大きさ
57 / 79
王都エルメニスト編

第53話 アモンベルネーゼヴの力

しおりを挟む
ギムはプラッセの方を向いて無表情で言う。

「お前がプラッセか。」
「なんだよお前、人の賞品奪いやがって!」

フィッシュが青ざめた顔でプラッセに言う。

「お前、この人はレーボルト・ギムだぞ!」
「ああ十戒辞めてった火属性のやつか。たしか闇属性も持ってるんだったよな。」

ギムは言う。

「ああ。この闇属性の大剣を握るだけで力がみなぎってくるよ。」

ギムはアモンベルネーゼヴを舐めるように見ている。
そしてプラッセの方に向き直ったとたん、
ひゅっとその大剣を振る。
すると闇属性の魔素マナを大量にまとった大きな斬撃が飛んでくる。
さすがにプラッセも反応できず、射程内にいたプラッセ、ゼネセスト、フィッシュ、アレス、ジュンなどが飛ばされて、闘技場の壁に衝突する。
被害はそれだけでは収まらず、本来闘技場内の攻撃は通らないとされている観客席にまでもその斬撃が届き、何人かの客は血まみれになって倒れている。
そしてついに闘技場の壁が完全に破壊された。

「はっはっは!なんだこの力は!さすが四大魔聖器ホーリーマジルスィラーフだ!」

ゼネセストが驚きを隠せないというように言う。

「国王はとんでもない武器渡してきやがったな。久しぶりの再会だったがどのように潰してやろうかギム。」
「潰す、か。火属性と闇属性の二属性を持ち合わせ、四大魔聖器ホーリーマジルスィラーフだって手に入れたこの俺を潰すってか?お前らが全員でかかってきたって負ける気がしねぇな。っ!ウェルムとウェルスもいるのか。それに炎の精霊アレスだと!?なかなかやる気にさせてくれるじゃねーか!」

ギムは自身の体長よりも少し大きいぐらいのアモンベルネーゼヴに闇属性の魔素マナと火属性の魔素マナをまとわせて水平に振る。
するとまた大きな斬撃が飛んで行った。
ゼネセストが呪文を唱える。

神光ホーリーフラッシュ!」

そう言ってタイミングよく斬撃に触れるとその斬撃が光属性に変わって跳ね返る...
予定だったのだが実際その斬撃は強すぎてこの程度の魔法ではビクともせず、
先ほど同様に全員飛ばされた。
そこをウェルスが飛び出して来てギムの足元に入ろうとしたが、
ギムも足元に斬撃を放ってきたのでウェルスは仕方なく後退させられた。
そしてウェルムが手のひらをギムの方に向けて呪文を唱えようとするが、
唱え終わる前に斬撃が放たれて呪文を唱えられない。

「ちっ!せこいなその剣!」
「ふはははは!もう怖いものなどない!プラッセ、お前は殺しちゃいけないと言われている。俺たちの仲間にならねーか?」
「なるかよお前らなんかの仲間なんてよ!」

するとギムは血管を浮き立たせ、大剣を構える。

「馬鹿が。」

ギムがまた斬撃を放つとそこに炎の精霊アレスが立ちはだかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

処理中です...