百人一首で対戦!? 和歌(わか)ってる、このままじゃ『嵐吹く』って

にけみ柚寿

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「聖くんっ!」

 と大声をだしながら、勢いよく飛びこんできたのはこの学校の女子生徒。
 顔だけみれば美少女だけど、声や動作の強引さが、なんだかすごく猛烈な印象をあたえる同級生、守城 美華もり きみか。あ、『印象をあたえている』だけにはおさまらず、事実彼女は強引で猛烈なんだ。
 カルタ愛好クラブとはちがうクラブに所属しているはずの守城さんがズイズイと教室内に入ってきた。

(……そりゃ、まだクラブの開始時間になってないし、ここには聖と私しかいないけどさぁ。守城さんは別のクラブなんだから、自分のクラブの活動場所に行ったほうがいいと思うよ。他人事ながら)

 とはいえ、私には彼女の目的はわかっている。
 守城さんは私には目もくれず、私の隣にいる聖めがけて突進していく。
 あきらかに聖はうろたえている。守城さんは叫ぶ。

「聖くんっ! 最近わたしのこと、避けてるよね? なんで、なんで!?」 

 守城さんにじわりじわりと追いつめられる聖。

(私たちの背後は壁だから距離的にも追いつめられているし、聖の表情からは心理的にも追いつめられているようにみえる)

 守城さんは男子からみても女子からみても美人だと思う。(その点はうらやましいの一言につきる)
 だけど、守城さんの猛烈アタックに聖はおよび腰。そう、ちかごろの守城さんは聖に熱烈アプローチをしているのだ。
 守城さんの友達の友達が、私と同じクラスにいるのだけどその子の話では、守城さんは聖の見た目をいたくお気に入りらしい。

 そりゃ、聖は儚《はかな》げな雰囲気がするほど華奢とはいえ、よくみるとかなりきれいな男の子だ。
 イケメンというより美少年という言葉がしっくりくる感じ。
 守城さんはかっこいい男の子よりも線がほそくて可愛い感じの男の子が好みだと友達に話しているらしい。

 現に今、守城さんは聖の隣にいる私には気にもとめてない感じで、聖に熱い視線を送っている。
 そして彼女から目をそらしたがっている(ようにしかみえない)気弱な聖を真正面からみつめたまま――。

「聖くんは、わたしのこと嫌い?」

 単刀直入に聞いてきた!
 ほんと守城さん、私が聖の横にいることなんて気にしてないなぁ。 
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