さがしもの

猫谷 一禾

文字の大きさ
14 / 46
中等部のころ

《14》



 怒りのあまり勢いで部屋から飛び出た進はそのまま、山岡の部屋へと来ていた。

ジジジー

呼出音の後、部屋のドアが開いた。

「あれ?武藤…どうしたの?ってちょっちょっと」

ズンズン部屋に入って行ってしまう。

「山岡、お前……里葉に親衛隊入れって言ったのかよ!?」
「は、はぁ?なに?なんの話し?」
「だから、里葉に……」
「えと……里葉…里葉…森里葉!……え?」
「里葉が親衛隊入るにはどうすんのかって聞いてきたぞ、どうすんだよ!」
「え?え?話が全然見えない…」
「山岡が進めたんじゃないのかよ!」
「進めるわけないでしょ!え?なに、そんな話になってんの?ファンの子なの?」
「違うわっ!ボケっとしてるやつだよ!」
「なんで怒ってんの…好きなの?」
「もっと違うわっ!兄貴に知られたらっ…!」
「お兄さん?え……高等部の生徒会の?」
「ちっ……山岡が薦めたんじゃないのか?」
「してないって…あの…森里葉って…何者?」

沈黙が二人の時を止める。

「武藤……言いがかりしたんだから、説明して」
「っち……森里葉……うちの居候だよ」
「居候?」
「父さんが、里葉の保護者やってんの」
「え!?そうなの?じゃあ……武藤と変わらない立場じゃん…なんで隠してんの?」
「家と関わりたくないんだよ、アイツは…嫌な目に合って来たから…だから…変なことに巻き込みたく無いんだよ…兄貴も猫可愛がりだし…」
「へー……やっぱり…珍しいね」
「だから、興味を持つな。ん?じゃなんでアイツは親衛隊なんかに…」
「あ!あー……あ"ー……はぁ……もしかしたら…」
「あ"?」
「いや~…ごめん……俺の一言だったりして」

央歌が気まずそうに進を見ている。

「親衛隊の子って、上級生から絡まれにくいって話したかも…」
「はぁ!?んで真に受けたのかアイツは…いや、変に具体的な事聞いてきたな…くそっ…分かった、この件はもういい。今後、里葉に変なこと吹き込むなよ」

嵐のように来て、あっという間に帰って行ってしまった進。

「えー武藤も過保護じゃん…」

ポツリと言った央歌だった。

そして部屋に戻った進、今度は里葉を詰問する。

「おい、里葉!山岡の話、真に受けたのか!?」
「なになに……忙しいね…」
「呑気すぎだろっ」
「なんか…進、大変そうだね」
「どの口が言うか!?お前が親衛隊に入りたいなんて言い出すからだろっ!」
「えーそれってそんな大事なの?」
「生徒会のペットか愛人にでもなりたいのかって聞いてんだよ!」
「ペット……愛人……うわぁ…凄い単語」
「なに他人事みたいに言ってんだよ…親衛隊に入るって、一部からそーゆー目で見られんだよ」
「見られるだけで、実害は無いんでしょ?僕思ったけどさぁ…親衛隊の人全員がそんな深い付き合いするかな?それって、ステータスなんでしょ?だったら平にはそんな権限無いんじゃない…僕、親衛隊の平を目指そうかな」
「バカっ!!」
「もぅ…なんでそこまで皆して怒るの?」
「誰に何聞いたが知らないが、親衛隊には入るな、近づくな!兄貴にも言われただろ!…父さんの耳に入ってもいいのかよ…」
「っ!!……卑怯……」
「こうでもしないと聞かないだろ…」
「正しい情報が欲しいって言ってるだけじゃん。頭ごなしに怒んなくてもいいじゃん。知らないから、教えてって……言ってるだけなのに……」
「……悪かった……けどな……辞めた方がいい」
「分からないよ……知らないから、分からない!」

結局この二人は最終的にいつもケンカになってしまう。言葉が足りないのだ。しかし、それに気づくには、まだまだもう少し掛かりそうだ。
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺の兄貴、俺の弟...

日向 ずい
BL
俺の兄貴、俺の弟... 登場人物 兄貴 成瀬 都和 (なるせ とわ) 27歳 身長 184cm 体重 67kg 弟 成瀬 尊 (なるせ たける) 17歳 身長167cm 体重 47kg 久我 子春 (くが こはる) 24歳 女性 都和の同僚で仕事仲間。 音海 恋 (おとみ れん) 18歳 男性 尊の同級生で腐れ縁。 阿澄 璃織 (あずみ りお) 17歳 女性 尊と恋と同じクラスの美女。 上城 志希 (かみじょう しき) 25歳 男性 都和の部下で頼れる友人。 物語内容 一言で言うとBLものです。 恋愛要素と笑い要素が入ったものになる予定ですが、言葉などは私の語彙力が足りないため少し見苦しいところが多々あると思いますが、良ければ読んでいただけるとありがたいです!

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

俺以外を見るのは許さないから

朝飛
BL
赤池凌平は、成瀬真介と出会い、緩やかに親交を深めてやがて恋人同士になるのだったが、時折違和感を抱いていた。  その違和感の正体が明らかになる時には、もう何もかも手遅れになってしまい……。 (女性と付き合うシーンもあります。) ※ネオページ、エブリスタにも同時掲載中。マイペースに更新します。

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。 ※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中