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中等部のころ
《14》
怒りのあまり勢いで部屋から飛び出た進はそのまま、山岡の部屋へと来ていた。
ジジジー
呼出音の後、部屋のドアが開いた。
「あれ?武藤…どうしたの?ってちょっちょっと」
ズンズン部屋に入って行ってしまう。
「山岡、お前……里葉に親衛隊入れって言ったのかよ!?」
「は、はぁ?なに?なんの話し?」
「だから、里葉に……」
「えと……里葉…里葉…森里葉!……え?」
「里葉が親衛隊入るにはどうすんのかって聞いてきたぞ、どうすんだよ!」
「え?え?話が全然見えない…」
「山岡が進めたんじゃないのかよ!」
「進めるわけないでしょ!え?なに、そんな話になってんの?ファンの子なの?」
「違うわっ!ボケっとしてるやつだよ!」
「なんで怒ってんの…好きなの?」
「もっと違うわっ!兄貴に知られたらっ…!」
「お兄さん?え……高等部の生徒会の?」
「ちっ……山岡が薦めたんじゃないのか?」
「してないって…あの…森里葉って…何者?」
沈黙が二人の時を止める。
「武藤……言いがかりしたんだから、説明して」
「っち……森里葉……うちの居候だよ」
「居候?」
「父さんが、里葉の保護者やってんの」
「え!?そうなの?じゃあ……武藤と変わらない立場じゃん…なんで隠してんの?」
「家と関わりたくないんだよ、アイツは…嫌な目に合って来たから…だから…変なことに巻き込みたく無いんだよ…兄貴も猫可愛がりだし…」
「へー……やっぱり…珍しいね」
「だから、興味を持つな。ん?じゃなんでアイツは親衛隊なんかに…」
「あ!あー……あ"ー……はぁ……もしかしたら…」
「あ"?」
「いや~…ごめん……俺の一言だったりして」
央歌が気まずそうに進を見ている。
「親衛隊の子って、上級生から絡まれにくいって話したかも…」
「はぁ!?んで真に受けたのかアイツは…いや、変に具体的な事聞いてきたな…くそっ…分かった、この件はもういい。今後、里葉に変なこと吹き込むなよ」
嵐のように来て、あっという間に帰って行ってしまった進。
「えー武藤も過保護じゃん…」
ポツリと言った央歌だった。
そして部屋に戻った進、今度は里葉を詰問する。
「おい、里葉!山岡の話、真に受けたのか!?」
「なになに……忙しいね…」
「呑気すぎだろっ」
「なんか…進、大変そうだね」
「どの口が言うか!?お前が親衛隊に入りたいなんて言い出すからだろっ!」
「えーそれってそんな大事なの?」
「生徒会のペットか愛人にでもなりたいのかって聞いてんだよ!」
「ペット……愛人……うわぁ…凄い単語」
「なに他人事みたいに言ってんだよ…親衛隊に入るって、一部からそーゆー目で見られんだよ」
「見られるだけで、実害は無いんでしょ?僕思ったけどさぁ…親衛隊の人全員がそんな深い付き合いするかな?それって、ステータスなんでしょ?だったら平にはそんな権限無いんじゃない…僕、親衛隊の平を目指そうかな」
「バカっ!!」
「もぅ…なんでそこまで皆して怒るの?」
「誰に何聞いたが知らないが、親衛隊には入るな、近づくな!兄貴にも言われただろ!…父さんの耳に入ってもいいのかよ…」
「っ!!……卑怯……」
「こうでもしないと聞かないだろ…」
「正しい情報が欲しいって言ってるだけじゃん。頭ごなしに怒んなくてもいいじゃん。知らないから、教えてって……言ってるだけなのに……」
「……悪かった……けどな……辞めた方がいい」
「分からないよ……知らないから、分からない!」
結局この二人は最終的にいつもケンカになってしまう。言葉が足りないのだ。しかし、それに気づくには、まだまだもう少し掛かりそうだ。
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