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中等部のころ
《18》
放課後、週に一度集まり情報交換と定期報告を行う親衛隊。その他の活動は毎朝の警護という名の触れ合いタイム、掃除の順番、小間使いの如く雑用。多岐にわたるがそこまで忙しいわけではなかった。自由に出来る時間はかなり有り、里葉は勉強の時間が削られる心配が無くほっとしていた。
その日も里葉は図書室に寄ってから寮に帰ろうとしていた。
「森ちゃんっ」
後ろから肩を捕まれ、声を掛けられた。びっくりして後ろを振り向けば、いつかの3年だった。
「久しぶり~君って…さとはって名前なんだね」
驚愕に目をひらく。ゾッとした、なぜ知っているのか。
「へへ~驚いた?調べようと思えば結構簡単に分かっちゃうんだよ~さとはちゃんっ」
「あ…………」
辺りをきょろりと見る。人通りの多い場所を選んで居るので少ないが人はいる。
「あの……僕に……なんの用ですか?」
「分かってるでしょ~?俺、さとはちゃんに目ぇ付けちゃったんだよね~」
ここ最近の努力の成果で、いつでも笑顔が保てるようになって来ていた。それでもこの上級生を見ると引きつってしまう。
「あのさぁ……流し目。忘れられなくてさぁ」
「僕、これから用事があって…」
「へぇ……なんの?」
「っ……掃除、掃除に行かないと、いけないんです」
「ふぅん……サボっちゃえば?それか俺待ってるし。イイことしようよ」
「!?いや……無理です」
(うっわ……直接来た…)
「俺一人に決めちゃえばぁ?こう見えても俺Sよ」
「僕……親衛隊なんです。だから掃除行かないと」
「ふっはは…親衛隊って言えば、俺がビビると思った?知ってるよ~さとはちゃん穏健派でしょ」
「えっ……」
ぐいっと近くに顔を寄せてくる。
「調べたんだってぇ…俺、君とヤリたいからさ」
「ちょっ…と…」
「さとはちゃん、あと少ししたらぁもうちょっと大きくなるでしょぉ?そしたら面倒臭いからさ…今の内に既成事実ってやつを作っちゃおうかと思ってね」
(最低だっコイツ!!)
はっとする、周りに丁度人が居なくなってしまった。一瞬周りに気を取られた隙に腕を強く掴まれてしまった。
「こっち来いよっ」
叫ぶ前に口を塞がれる、引っ張られて空いている教室に連れ込まれてしまった。図書室に行くまでの通り道、人はそこそこ通るが空き教室が幾つかあった。この3年はそこまで調べていたようだ。
「んぅっ!ん"ん"っ!!」
(ヤバいヤバい!!力強いっ)
「ちょーと静かにしてねぇ~ほら……暴れっ…ないで…コイツ……」
しっちゃかめっちゃかに暴れる里葉。なんの為に親衛隊に入ったのか、なんの為に笑顔で頑張ってきたのか、全てはこんな目に遭わない為のはずだった。
(くっそ~~なんでっっ!!)
「はぁい、さとはちゃん……大人しくねぇ……あんまり暴れると…」
「ぐっっ…………」
「痛い目、見ちゃうよ~?」
お腹を殴られた。初めての経験だった、鈍い痛みがお腹から体のもっと奥まで広がっていくようだ。息が上手く出来ない、心臓がバクバクする。
「ほらほら……言わんこっちゃない」
(なんで……なんで僕ばっかり……なんで……)
ジワリと涙で前がかすんでくる。
(頑張ったって……頑張ったって…僕はいつも……結局こんな目に合うんだ……。どうしようも無くなってからしか…誰も助けてくれない…自分の力が弱くて……嫌になるっ)
「あ~泣いちゃった?やっぱり可愛いねぇ」
「うっけほ……や…」
「そうそう……それ、その目。しかも涙目!良いねぇ~その年でその色気?将来が楽しみだねぇ」
「なに……いっ…て」
「俺が……仕込んでやろうか?…男の夢だし…」
(気持ち悪いっ!)
「う"っ……」
急にせり上がってくるお腹の底のものと、たまらない嫌悪の気持ち。公園の木の影、あの時の興奮したお兄さんの息遣いが聞こえた気がした。
里葉は空き教室の床に横向きで転がされていた。痛みと気持ち悪さに蹲る里葉に覆い被さってくる3年の男。
「やっと大人しくなったな…可愛がってやるから心配すんなよ」
(安いセリフ……本当、最低……)
目の前にあった椅子を掴み引っ張る里葉。しかし、その手首を捕まれ止められてしまう。
「油断も隙もないのかよ、大人しそうな顔して跳ねっ返りかよ!」
(げっ……その単語……)
興奮した顔の3年、青ざめる里葉。空き教室の空気が動いたのはその教室のドアが開けられた瞬間だった。
「誰かいるんですか?」
(あ!あの人は…)
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